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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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ビルダー販促事例 人が集まる店舗として本社を活用する

INDEX 2018.5.18

住宅メーカーの集客拠点のタイプを大きく分けると、モデルハウス型、ショールーム型、店舗型の3種類があります。
最も一般的なのはモデルハウス型です。総合展示場・単独展示場、モデルハウスとして一定期間公開した後に分譲で販売する移動型モデル、完成見学会等がこのタイプです。建物を見せながら自社の家づくりを説明することで、来場者に自社の構造・性能の強みやプランのこだわり、完成後のイメージを伝えることができます。
住宅購入検討者が最初に訪れるのは、モデルハウス型の集客拠点が多いでしょう。これに対して、ショールーム型は主にモデルハウスで集めた管理客をランクアップするために使われることが多いようです。実物大の構造模型や体感型の装置、モデルルームや設備・建材等を展示して、自社への理解をより深めてもらい、ファン化して契約に近づけることが目的です。
店舗型の集客拠点は、土地探しから家づくりを始める客層向けに土地情報を集約する不動産仲介店舗、設備・建材や構造の一部を展示する小型ショールーム、主に勉強会や相談会を行うセミナールーム・商談ルーム等、いくつかの機能を組み合わせているケースが見られます。多拠点展開せずに本社1拠点の地域密着型ビルダーの場合は、本社の一部を店舗として活用していることが多いです。

モデルハウス型拠点と店舗型拠点を比較すると、住宅メーカーの拠点としてエンドユーザーからイメージされやすいモデルハウス型のほうが、集客数は多いでしょう。ただし来場者は濃い客から薄い客までまちまちで、「参考までに建物を見に来ている」という客層も少なくないため、着座商談まで進められるとは限りません。他社との比較検討の段階に入っていることも多いため、競合対策が必要です。
一方で店舗型の場合は、モデルハウス型よりも来場のハードルが高い分、検討先として自社を高く評価している濃い客が多い傾向があり、初回から長時間の着座商談ができる可能性が高いと言えます。本社併設型の店舗では、自社の建物の情報だけでなく、会社全体の雰囲気を伝えることもできます。
店舗型の拠点に集客するには、住宅メーカーとして地域で認知され、家づくりを考え始めた時に気軽に相談に行けるような店づくりが重要です。本社の移転・開設で、集客拠点として機能させるための店づくりをしているビルダーの事例をご紹介します。

1インスタ映えするメニューでカフェ集客~ひかりハウジング

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岐阜県多治見市で住宅着工棟数No.1の地域密着型のひかりハウジングでは、3年前に移転した本社の1階にカフェを設けています。同社の主力商品の「ひかりプラスの家」は、女性スタッフと近隣の主婦の意見を取り入れ、家事動線への配慮や収納にこだわったプランを特徴とする、主婦層をターゲットとした商品です。このターゲット層への認知度向上を図るため、本社にカフェを併設しました。

ビルダーが営業拠点に併設するカフェというと、単体での採算は無視していることも多いですが、同社のカフェは常時4名のパート社員で運営して黒字が出ています。1枚のウッドプレートに一口サイズでお洒落な9~15種類の惣菜が並ぶランチメニューがインスタ映えすると話題になり、情報誌などで取り上げられたこともあって、近隣の主婦層を中心に県内広域から幅広い年齢層の女性客を集めています。メニューは月替わりのため、リピート客も多いそうです。カフェはあくまで潜在客に対する認知度向上が目的で、来店客からの住宅の受注は大きく期待はしていませんでしたが、カフェをきっかけに同社を知った客からの受注が年間3~4件はあるといいます。

このカフェを会場として、月に1回、家づくりセミナーも開催しています。カフェからは飲み物とデザートを提供し、資金の考え方や土地探し等を解説する2時間のセミナーで毎回3~4組を集め、セミナー後の個別相談から現場見学会のアポを取るのが基本的な流れになっています。

2子育て支援で主婦層を集める~ライフステージ

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広島県福山市のライフステージは、以前は年間40棟内外を推移していましたが、2年前に本社店舗を移転してリニューアルオープンし、地域に密着して潜在客を掘り起こして育てるという営業戦略にシフトして、年間受注が100棟を超えるようになりました。

店舗の入り口には子ども服や雑貨の販売スペースを設け、キッズスペースを広く採り、住宅の営業所の雰囲気を消して、来場者の緊張感を解くようにしています。セミナールームでは、毎週平日午前にヨガ教室や雑貨作り「ナチュママサークル」を実施し、地域の子育て世代の主婦を集めています。月1回開催する朝市マルシェでは、OB客が趣味で作った小物を販売したり、近隣で野菜を作っているシニアの出店を募ります。このために本社前の駐車場を広く採っています。中庭にはBBQができるスペースを設けて週1回はBBQを行い、社員同士や職人、OB客とのコミュニケーションを図っています。

「ナチュママサークル」等で日頃から気軽に訪れやすい環境を作っていることもあって、新規集客は店舗への直接来店が約5割を占めます。モデルハウスや完成見学会ではなく、相談会という形で店舗に集客することで、初回接客から長時間の着座商談ができようにしています。

3シェアオフィス、ミーティングルーム貸し出し~リヴ

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京都府向日市のリヴが一昨年開設した新社屋の「スバコ」は、1階はRC造、2~5階は2×4工法の木造大型建築で、2階を事務所として打ち合わせスペースを設け、集客拠点として活用しています。木質感のある内装や、サッシ等の建材は住宅用の製品を使用しています。1階にはカフェスペースを設けている他、育児支援のNPO法人を同居させて、地域住民に開放しています。屋上もレンタル可能とし、BBQ用品の貸し出しも行っています。3~5階は貸事務所、シェアオフィスとして、住宅に関連する士業や自社の嘱託社員等を入居させています。日常的に社員以外も訪れる場所として地域に開放することで、住宅購入検討者も気軽に訪れやすいようにしています。

住宅営業以外の機能を持ち、地域とつながる店舗づくりは、地域密着型のビルダー・工務店が目指すべき形の一つです。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 布施 哲朗さん)