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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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制度・マーケット情報 新しいZEH制度が始まる

INDEX 2018.6.15

ZEH標準化を目標に掲げた2020年まで、あと3年を切りました。国がZEHを推進するのは、家庭からの消費電力を抑え、地球環境に貢献するということが大きいわけですが、住宅購入者にとっても、ZEHは経済的メリットが大きいと言えます。
6,000社を超える住宅メーカーが、ZEHビルダーとして登録し、ZEHに取り組む姿勢を見せていますが、2016~17年度に掛けては、大きく普及が進んだとは言えなかったようです。まだ一般的な知名度が低く、もうしばらくは様子見といった面があるかもしれません。ただ一方で、積極派はかなりの比率をZEH対応の住宅としていますので、現状は二極化しているという状況です。
今年度から、ZEH制度の仕組みも変わり、三省連携(経産省、環境省、国交省)による政策課題となります。新しいロードマップを見据えて、ZEHへの取り組みを強化していく時です。

12017年度もあまり普及は進んでいない

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2017年度の各社のZEH普及率は、思ったほど伸びませんでした。
延べ6,600社ほどがZEHビルダーに登録していますが、5月末時点までに17年度実績を報告済みのビルダーは3,852社に留まっています。この報告済みビルダーの普及率を単純平均すると、17年度ZEH普及率は13.4%。前年度よりもわずかに上昇したというレベルに留まりました。

ZEH着工実績が「0」というビルダーが2,307社にも上り、これは報告済みビルダーの6割にもなります。とりあえず登録はしたけど実績はなしというビルダーがまだ大半であると言えそうです。一方、ZEH普及率50%以上というビルダーも422社あり、全体の11%を占めました。「普及率1~49%」が1,123社で全体の29%です。いずれにしても、取り組み姿勢の格差は歴然としています。

大手ハウスメーカーは比較的ZEHの取り組みには積極的ですが、その中でも差は開いています。トップは積水ハウスで変わらず、普及率は76%。16年度よりも2ポイント上昇しました。次いで一条工務店72%、前年度よりも19ポイントも上昇して、首位の積水ハウスに迫ります。セキスイハイムも50%と、28%から大きく飛躍しました。他のハウスメーカーも普及率が下がったところはありません。ほとんどのハウスメーカーは20%を超えて来ています。こうしてみると、ZEHは普及しているようにも見えますが、実態としては、まだまだ格差があるといった状況です。

22018年度の新ZEH制度、三省連携と5つ星制度

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今年度からのZEH制度は昨年度までとは様変わりしてスタートしました。大きな変更点について見ていきます。

第一は、経産省、環境省、国土交通省の三省連携での支援事業となることです。従来主力となってZEH支援事業を行ってきたのは経産省ですが、18年度からは環境省が従来のZEH支援事業の役回りになります。経産省は更にエネルギー消費が少ないZEH+の支援事業に携わることになります。国交省は、従来通りの地域型住宅グリーン化事業の一環として、中小工務店に向けての補助金の管轄となり、三省が連携するということで、国の力の入れ方も強まっていると言えそうです。

第二は、ZEHタイプが大きく5タイプに増えるということ。先ほどの三省での連携とも絡みますが、高度なZEHから、ZEHが難しいエリアでの条件を緩和したZEHまで、ZEHのタイプを増やして、それぞれで管轄も補助金も異なるといった仕組みになります。
従来のZEH(エネルギー削減率100%)を『ZEH』として中心に据え、寒冷地向けにエネルギー削減率75%としたものをNearly ZEH。この2つは以前からありました。環境省管轄で、補助金額は70万円です。新設されたのは、再生可能エネルギーを除く省エネ率を高めた、上のクラスのZEH+とNearly ZEH+、また都市部の狭小地向けに設けたZEH Orientedが設けられました。
ZEH Orientedは敷地85m²未満などの都市部狭小地で、太陽光が載りにくいといった立地において、建物の断熱性能(再生可能エネルギーを除く省エネ率)がZEH基準を満たしていれば、太陽光なしでも補助金対象の物件と見なすということで設けられました。これは通常のZEHと同様に環境省の管轄で、補助金額は70万円です。
ZEH+は、従来の『ZEH』が一次エネルギー消費量20%削減(再生可能エネルギーを除く省エネ率)だったのに対して、25%の削減としたもので、より高い断熱性能が求められます。ハードルが高い分、補助金額は115万円と多く出されています。

第三は、「5つ星制度」が始まるということ。5つの条件を満たす場合、5つ星マークが表示される仕組みです。具体的には、①ZEH実績の報告、②ホームページでの告知、③ZEHシリーズの建築実績、④普及目標の達成、または50%以上のZEH普及率、⑤UA値ならびにエネルギー消費削減率の分布を報告、もしくはBELS表示の目標を掲げて毎年BELS表示割合を報告する、といった5項目となります。このうち④の条件は、目標達成に至らなかった場合は、5つ星が受けられないことになります。よってあまり高い目標は掲げない方が良いと言えるかもしれません。

第四に、「ZEHプランナー」が追加されます。従来は施工業者を対象とした「ZEHビルダー」という名称のみでしたが、設計事務所の登録も促進させるということで、ZEHプランナーという制度も追加されています。

3新ロードマップ、2020年の標準化、2030年には平均でZEH化へ

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ZEHの制度が大きく変わっていますが、住宅メーカーの意識はまだそれほど変わっていないようにも思えます。現在の登録ビルダーは6,000社を超えていて、これらのビルダーの施工実績は注文住宅着工のうちの76%程度を占めるまでになっています。2020年にはZEH標準化というところまで持って行く目標を掲げており、これはZEHビルダーへの登録の条件です。これも非常に高いハードルだと思いますが、2030年の目標は分譲戸建や集合住宅も含めて、新築住宅の平均でZEH化ということを目標に据えています。2050年にはストックを含めたZEHを目標に掲げられていますが、まず第一歩として、新築注文住宅でのZEHを目指すことが求められています。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 博計さん)