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要点

平日の時間のない朝はシャワーを浴びてリフレッシュしたり、週末や休日はたっぷりの湯船につかってリラックスしたり、読書をしながらぬるめのお湯に長めにつかって半身浴を楽しむ・・・。
日本人は湯船につかる入浴法を主流としていますが、人によってはシャワーだけで済ませたり、時間・季節、気分に合わせてさまざまな入浴法を使い分けている人もいるようです。今回は肩までお湯につかる「全身浴」とシャワーだけの「シャワー浴」を続けた場合に、心身にどんな影響を与えるのか、東京ガス都市生活研究所の実験結果をもとに考えてみました。

1約9割の人がお湯につかることが好き。しかし入浴の方法も目的も多様化している

世界を見回してみても、日常的にバスタブにお湯を張って全身でつかる習慣を持つ国は多くないようです。日本は温泉好きのお国柄だけあって、図1のように約9割の人がお湯につかる入浴が好きと答えています。しかし多様化するライフスタイルを反映してか、入浴の目的も方法も人によって異なってきています。図2を見てもわかるように、身体の汚れを落として清潔に保つという、入浴本来の目的にとどまらず、「身体を温める」「リラックス」「心身の疲れをとる」など、実にいろいろな役割を入浴が担っていることがわかります。風呂好きの日本人ならではの傾向と言えそうです。そしてその目的に合わせた入浴法を上手に選んで、取り入れているのが現代人であり、多くの目的を同時に果たすことができる入浴法が全身浴なのです。

[図1]お湯につかる入浴が好きか [図2]入浴の目的(冬季)
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2心と体の疲労の解消には肩までしっかりとお湯につかるのがベスト

仕事に追われる多忙な時間を過ごす現代人にとって、安住の場であるマイホームから一歩外に出れば、精神的なストレスはもちろんの事、通勤などによる肉体的な疲れもあることでしょう。翌日も元気に働くために、その日一日の疲れを入浴によって解消しようと考える方が多いのは、先にご紹介した図2でもわかります。入浴の疲労回復効果について、全身浴とシャワー浴とを比べたところ、精神疲労(図3)、筋肉疲労(図4)ともに、回復が見られたのは全身浴という結果が得られました。

[図3]精神疲労の蓄積(入浴前後での変化) [図4]筋肉疲労の回復(入浴後15分後の値)
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3緊張を和らげてリラックス。眠りの質も改善されグッスリと

[図5]副交感神経の指標(HF)の変化率一日の終わりに我が家のお風呂につかったり、長いドライブの後に目的地である温泉の露天風呂などに身体をあずけると、解き放たれたような気持ち良さを味わえます。こういったリラックスした気分は、シャワーでは感じることのできないものではないでしょうか。図5は、休息している時やリラックスしている時、眠っている時などに働く副交感神経の変化率を全身浴とシャワー浴で比べたものですが、全身浴の方がよりリラックスしている状態であることがうかがえます。こうした状態は、睡眠の質にも好影響をおよぼします。睡眠の質を表すPSQIの点数で睡眠障害の可能性があるとされた15名の被験者について、1カ月間、全身浴とシャワー浴を続けた時のPSQIの点数変化を見てみました。その結果、図7のように全身浴を続けた方が睡眠の質が改善していることがわかりました。

※ PSQI(ピッツバーグ睡眠質問票):過去1か月間の睡眠の状態について19の設問に回答することで得点化を行う。5.5ポイント以上だと睡眠障害の可能性があると評価する。

[図6]PSQI 点数表 [図7]PSQI 変化量(事前測定5.5以上)
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4心臓や血管への負担を軽減。全身浴は体質改善の可能性も

継続的な全身浴は精神面に好影響をおよぼすだけではなく、身体にとってもうれしい効果があるようです。とくに心臓や血管などの循環機能への負担軽減が期待できるほか、体質を改善する可能性があることがわかりました。図8は拡張期血圧(最低血圧)を表したものですが、全身浴の方が低くなる傾向が見られました。心拍数を表した図9では、同様に全身浴の方が低くなりました。また、体質の改善効果については、ニキビが出やすい、鼻が脂ぎるなどの体質である「湿熱質(しつねつしつ)」について入浴による変化が表れました。シャワー浴よりも全身浴の方が、ニキビのほか、目の充血やイライラなどの兆候を改善する可能性があることが結果に表れています。

[図8]拡張期血圧 [図9]心拍数 [図10]湿熱質値の変化量
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5季節湯の薬湯で、目でも香りでも季節を感じながら全身浴を満喫!

さまざまな効果を期待できる全身浴ですが、身近にある季節の植物を活用して薬湯にすることで、浴室でも季節感を楽しみながら一年中全身浴を満喫できます。薬湯といった習慣は日本では古くから季節の行事として行われてきました。端午の節句の「菖蒲湯」、冬至の「柚子湯」などは、現在でも広く親しまれています。薬湯は、「薬」の湯と言うだけあって、身体に対してさまざまな効能を提供してくれます。例えば春の薬湯をご紹介すると、よもぎの葉を刻んで煮出してろ過し浴槽に入れる「よもぎ湯」は、血行促進に効果があります。乾燥した桜の樹皮を布袋に入れて煮出し、その煮汁を布袋ごと湯船に入れる「桜湯」は、皮膚の炎症を抑える働きがあります。子供の日の「菖蒲湯」は、血行促進に効果があり、入浴後もしばらくその傾向が続きます。図11)先にご紹介した全身浴の効果に加え、四季折々の植物ならではの効能が期待できる薬湯で、より健やかなバスタイムを楽しみたいものです。

[図11]菖蒲湯による血流量の変化 [右]菖蒲湯イメージ