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家事楽・時短の先の住まいのヒント 〜生活者からみるマーケティング〜第1回 生活定点観測調査に見る「家事楽・時短」

データのビジネスへの活用は、昨今注目を集めています。
本稿では生活者データをマーケティング視点でどう読み解くかについて解読し、マーケティングのヒントを読みとるポイントを4回に分けてご紹介します。
第1回は「家事楽・時短」をテーマに生活者の変化を捉えたデータを紹介します。

1夕食を作る時間は短く、調理の手間はかけない方向へ

都市生活研究所の生活定点観測調査とは1990年を始点に3年ごとに毎回同じ質問をする調査で、2014年で9回目を迎えています。これにより24年間の生活者の意識と行動の変化をとらえることができます。
その中から「家事楽・時短」に関わるいくつかのデータをご紹介します。図1は夕食を作る時間を調べたものですが、1時間未満の割合が1993年には4割程度だったものが、2014年には約6割に増えています。
図2は調理の意識を調べたものですが、やはり手間をかけないという人の割合が増加しており、調理は時間をかけず、手間を省く「時短・省力化」が進んでいることがわかります。

[図1] 夕食を作る時間は平均してどれくらいですか。/[図2] 料理に関して「A. 調理の手間はかけないほうである。」「B. 調理の手間かけるほうである。」

2共働き主婦と専業主婦の「家事楽・時短」意識の差が縮まる

家事楽・時短が進んでいる理由として、昨今の共働き主婦の増加が考えられます。このことを確かめるために、20代から50代の共働き主婦と専業主婦という二つのセグメントを比較し、それぞれの20年間の変化を見てみます。
生活定点観測調査のデータから1993年と2014年のデータを比較したものをご紹介します。主婦に着目した理由としては、現状、家事や育児を中心に行っている人が多数を占めており、家事楽・時短に関する住まいや住宅設備、家電製品、サービスなどへのニーズを持っていると考えられるからです。
図3は「調理の手間はかけないほうである」と答えた人の割合です。専業主婦と共働き主婦共に全体的に増えていますが、特に40代・50代で増加幅が大きくなっています。
次に図4の「夕食を作る時間が1時間未満」と答えた人の割合ですが、全体的に増加している中で、専業主婦の30代・40代の増加幅は共働き主婦よりも大きいことがわかりました。図3、4から、1993年に比べて2014年は専業主婦、共働き主婦の料理に関する「家事楽・時短」の意識や実態の差は縮まっていることがわかります。

[図3] 調理の手間はかけないほうである。/[図4] 夕食を作る時間【1時間未満】

3専業主婦の夫も家事を「主に担当」する人が増加

次に夫の家事参加について見て行きます。
図5は、夫が家事を「主に担当する」と答えた人の割合の変化を表しています。専業主婦の夫は1993年、2002年は共働きの夫に比べて家事を「主に担当する」割合は低くなっています。ところが2014年を見てみると夫が家事を「主に担当する」割合が大幅に増加していることがわかります。それぞれの項目を比べても「主に担当する」割合が、共働きの夫と同程度になっています。

[図5] 夫はどの程度家事をするか「主に担当する」割合

4夫が家事に参加すると妻のストレスが減る

[図6] 仕事や家庭での生活で、ストレスを感じている【あてはまる+ややあてはまる】夫の家事参加が妻のストレスにどう影響するのでしょうか。図6の横軸は「夫の家事参加」の状況、縦軸は仕事や家庭での生活で「妻がストレスを感じている」人の割合を表しています。両方とも「ほとんどやらない」夫よりも「主に担当」している夫をもつ妻のほうがストレスを感じる人が少ないことがわかりました。

◆まとめ◆

○「家事楽・時短」は、専業主婦と共働き主婦の両方で進んでおり、両者の差は20年間で小さくなっていることがわかった。

○ 男性の家事参加も進んでおり、それによって「家事楽・時短」ニーズの男女差も小さくなっていくと考えられる。

○「家事楽・時短」は専業主婦、共働き主婦、男女を問わず、すべての人にとって当然のことになっていくと予測される。

東京ガス 都市生活研究所 主任研究員 大野 明子
東京ガス 都市生活研究所
主任研究員 大野 明子

2006年東京ガス株式会社入社。新築マンション営業部門を経て、現在は都市生活研究所にて、1990年から3年ごとに行っている「生活定点観測調査」を担当。生活者の食・入浴・住まい・環境等に関する経年的な行動・意識の変化を分析し、将来のライフスタイルやニーズの予測を行なっている。

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