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目的に合わせた収納計画の考え方 2016/2/19号

収納計画は各家庭によってルールがあります。これが正解というものはありませんが、あえて定義付けると「モノ」と「ヒト」との関係を再構築する作業だといえます。

LDKの壁面すべてを収納家具で構成した例 [photo by Nacasa & Partners designed by 今永環境計画+STUDIO KAZ]

LDKの壁面すべてを収納家具で構成した例。色を合わせた9種類の素材を使い、大きさの違う扉で構成することで単純になることを避け、カジュアルで居心地がいい空間になった。
photo by Nacasa & Partners designed by 今永環境計画+STUDIO KAZ

分類すること

まず第一にしなければならない作業は「分類すること」。つまりモノに秩序を与え、仕分けする作業です。分類の仕方はひとりひとりの生活によって異なります。たとえば時間軸で、使用頻度で、使用する場所で、家族の誰が使うかによって、といった分類が考えられます。基本的には使う場所の近くに収納すべきであり、取り出しやすく、しまいやすい仕組みを作りたいものです。
収納する場所を考えるとき、最も注意すべきことは奥行きです。収納した物が前後に並ぶとモノが出しにくくなり、結局、奥のモノを使わなくなります。だからといって、モノに合わせて様々な奥行きの収納家具を並べると、よほどセンスよく細心の注意を払って計画しない限り、見た目が著しく悪くなります。また、収納するモノの大きさに合わせて扉の大きさを変える方法は効率が良いといえますが、慎重に計画しないと落ち着かない空間になってしまうほか、将来家族の形態や暮らし方が変わった際の収納に対応できなくなります。収納の全体幅を同じ大きさの扉で分割するときれいに納まりますが、空間が単調になり、冷たい印象になることもあるので、注意したいところです。

キッチンの脇に設けた小さなウォークインパントリー [photo by Mariko Yamamoto]

キッチンの脇に設けた小さなウォークインパントリー。ストック食材だけでなく、犬の餌なども入れられ、キッチンをスッキリ片付けることができる。
photo by Mariko Yamamoto

設計段階で解決できる収納

使用頻度の少ない物や季節物は納戸にしまうと良いでしょう。天井高などの条件によっては居室として面積に参入しなくてもいい場合もあるので、特に新築時にはかなり有効な収納空間といえます。マンションでも空間構成の工夫で設置は可能です。
ウォークインクローゼットは多くの住宅に取り入れられています。洋服だけでなく、なんでも無造作に仕舞うことができるので非常に便利です。同様にキッチンの周囲には「ウォークインパントリー」をおススメしています。キッチンには食材だけでなく家電も含めて、形や色が揃わない物で溢れています。それらをウォークインパントリーに「突っ込む」ことでキッチンがすっきりします。
これらの空間は一般的に建築工事の一部として製作しますから、同じ収納量の家具工事に比べると、はるかに安価に作ることができ、加えてフレキシビリティーに富んだ場所になります。

見せる収納の一例 [photo by Kohshi Tarumi]

キッチン側に設けた冷蔵庫スペース(700mm)と対面カウンター(900mm)の奥行きの差をダイニング側に飾り棚として利用することで、生活に豊かさと楽しみをもたらすことができた
photo by Kohshi Tarumi

見せる収納

生活の中には色やカタチ、大きさが不揃いのモノが散在してしまいます。そのすべてを扉で隠すと、確かにスッキリとした空間になります。しかし、そのような空間は人間味に欠け、イマドキとしてはちょっと流行遅れの感は否めません。どこか緩やかに「出しっ放しでもいいんだよ」という場所を作ることで気が楽になり、飾る楽しみもでき、飾るセンスも養われます。また、モノを買う時に「飾ること」を意識するようにもなります。

廊下の一部にコレクションを飾るための棚 [photo by Nacasa & Partners]

廊下の一部にコレクションを飾るための棚を設け、美術館のような空間に変身
photo by Nacasa & Partners

趣味や思いつきで集めはじめたものは自然と増え、いつの間にか居住空間のあちこちに散らばりがちです。そこで、リノベーションなどの機会に一ヶ所にまとめて飾ることを考えます。普段生活するリビングでコレクションを見るという楽しみが倍増しますが、リビングには家具やAV機器など様々な物があるため、煩雑になってしまうことも。たとえば廊下に飾る場所を設けるのはどうでしょう。単に通過するだけだった場所が美術館のように楽しい空間になります。比較的小さなものだったら壁厚を有効に利用するのもいいでしょう。

収納は生活の永遠のテーマと言えます。生活の可変性も加味しながら検討しなければならないところですが、それを考えるのも楽しみのひとつと言えるのではないでしょうか。

監修:リビングデザインセンターOZONE(ライター:インテリアデザイナー STUDIO KAZ 和田浩一)