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都市型住宅の植栽計画 2016/3/18号

都市における緑の存在は、住人や周辺環境に様々な作用をもたらし、住宅の魅力を大きく左右します。しかし、建築と緑地の取り合いをどうするか苦慮するケースが少なくありません。ここでは、都市型住宅に植栽を取り込むための実践的なアイデアやポイントを解説します。

限られた空間に効果的な緑地づくり

都市部の住宅では、敷地面積や建蔽率などの様々な制約から、駐車スペースを確保するのが精いっぱいで、植物を楽しむ空間の確保をあきらめているケースが多いのではないでしょうか。植物の楽しみ方は、庭というカテゴリーにこだわることなく、花瓶に花を飾るように、敷地内のちょっとしたスペースに緑地をとりいれるだけで、豊かな緑地空間をつくることができます。ただ、なんでも好きなものを植えればいいというのではなく、いくつか注意点があります。今回は毎年楽しめるよう、植え替えなくても良い樹木の選定の仕方と、それらを植栽する際の空間のチェックポイントを説明します。
※東京都23区内を指標にしています。

幅40cm程度の空間に植栽されたアジサイとシモツケ

幅40cm程度の空間に植栽されたアジサイとシモツケ

幅30cm程度の空間に植えられたアオシダレモミジ

幅30cm程度の空間に植えられたアオシダレモミジ

1. 空間の把握

スペースさえ許せば、ツツジのような低い小さな植物から、大木になるケヤキまで、様々な樹木を植えることができます。樹木を植えたいスペースの大きさを把握して、適している大きさの樹種を選ぶことが重要です。樹木の形態と植えるために最低必要な面積は以下の通りです。

樹木の形態 平面スペースとして
最低必要な面積
手入れが簡単で使いやすい樹種
低木
(高さ0.5m〜1.0m程度)
0.5m×0.5m アジサイ、アベリア、サツキツツジ、ヒラドツツジ
中木
(高さ1.5m〜2.5m程度)
0.6m×0.6m オリーブ、カラタネオガタマ、キンモクセイ、ソヨゴ
高木
(高さ3.0m〜4.0m程度)
1.0m×1.0m エゴノキ、ジューンベリー、ヤマボウシ

玄関脇に作られた半ツボ程度の緑地。耐陰性のあるハマヒサキとヘデラヘリックスで構成。

玄関脇に作られた半ツボ程度の緑地。耐陰性のあるハマヒサキとヘデラヘリックスで構成。

2. 環境の把握

樹木が育つには、日照、水分、良質土壌、適度な通風が必要です。これらが確保されないと、病虫害の発生が起こりやすくなります。軒下は雨が当らないため植栽地には不向きです。室外機のそばは常時乾燥した風が発生するため、植栽地にはお勧めできません。

植栽地の環境 適した樹木
低木中木高木
日当たりが悪くやや湿りがち アオキ、アセビ、ハマヒサカキ、ヒイラギナテンテン カクレミノ、シロダモ、ソヨゴ イヌマキ、エゾユズリハ、シラカシ
午前中のみ日当たりがありやや湿りがち サツキ、ヤマブキ、ヤマアジサイ サザンカ、ツバキ類、コバノトネリコ モッコク、イロハモミジ、コブシ、ヤマボウシ
西日は当りにくいが日当たりがよく乾燥しない程度に水分保持 ヒラドツツジ、アジサイ、ユキヤナギ、レンギョウ ベニカナメモチ、コニファー類、シデコブシ、ハナカイドウ シラカシ、カリン、ジューンベリー、マメザクラ
西日が当り乾燥しがち ギンバイカ、シャリンバイ、ローズマリー オリーブ、フェイジョア、ムクゲ アキニレ、サルスベリ

玄関脇にヤマボウシ1本とサツキで植栽した例

玄関脇にヤマボウシ1本とサツキで植栽した例

3. 視線の把握

緑を楽しむ時間や、場所はどこにするかも大切なポイント。いつも目につくところにお気に入りの樹木を植栽したいものです。一番は玄関アプローチ周辺。いつも目にすることで、樹木の状態が解りますので、健康な状態が維持されやすい場所です。2番目は食事をしたりくつろいだりする部屋の先の空間。季節の変化を感じ、食卓の話題になる可能性大です。

制限のある都市部の住宅でも、このような点を注意すれば、十分に植栽を楽しむことができます。これらのことをふまえて、魅力的な外構空間をつくってみてください。

監修:リビングデザインセンターOZONE(ライター:植栽家/一級建築士/一級造園施工管理技士 山﨑誠子)