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現代住宅における和の設え 2017/1/20号

日本の伝統文化に触れることが多い1月。
改めて和の空間にフォーカスし、日本の伝統的なデザインについて、建築家 丸谷博男さんに解説していただきます。

今、フランス料理が日本料理の影響を大きく受けていると感じます。それも、きらびやかな和ではなく、「侘び」「寂び」の和に多くの関心が持たれています。また、造園やディスプレイについても、造り込む世界ではなく、より「無」に近い方に強い関心が持たれていると思います。 今回は「日本のデザイン」や「日本人の感性」について概観してみましょう。

国宝茶室「待庵」スケッチ

国宝茶室「待庵」スケッチ
たった二畳の極限の茶室。床の間の幅、天井のデザインに注目。

アシンメトリー(非対称)というバランスの美学

お茶室は、床の位置、炉の位置、窓などはじめから、左右対称でないアシンメトリーの世界です。千利休作と言われている国宝茶室「待庵」のスケッチを見てください。何処にも対象形はありません。天井のデザインも平面配置と共に自由に変則的なデザインが繰り広げられています。
また、禅寺の石庭も対象形を見つけることはできません。全ては、バランスの世界なのです。日本一の御殿である「二条城」の大広間でも、将軍の座る位置に対して、決してその設えはシンメトリーではないのです。
身近な例では、和室の「床の間」を考えてみてください。部屋の真ん中には無く、片側に寄っていますよね。このように和の世界は静止画ではなくバランスと動きの世界なのです。

「雁行」という完結しない動きのデザイン

自然の一部を取り上げてみると、その形は不完全であり、不整形です。その形は常に動きを持ちさらに増殖できる可能性も包含しています。その定式化されたものが「雁行」のデザインであると言えます。
例えば、増築を繰り返して出来上がった「桂離宮」。結果として雁行する美しい建築となっています。またそれは、一つの大きな建築ではないため庭園の樹木や石等の大きさとも調和のとれたものとなっているのです。一つの大きなものにしない分節、分割のデザインともいえます。
日本をはじめとする東洋の文化に感銘を受け、浮世絵や仏像のコレクターでもあった建築家フランク・ロイド・ライトの設計した落水荘は、雁行プランの大規模でダイナミックな事例といえます。内外の一体感、内と外との境界を流動化した空間は、訪れるもの皆を感動させ続けます。

須恵の家 平面図
須恵の家 平面図
玄関アプローチが南からのため、樹木と塀を「結界」として居間のプライバシーを確保。
須恵の家 吹き抜けLDK
須恵の家 吹き抜けLDK
家族皆がつかず離れず暮らす関係づくりが、流動的に繋がる空間。和室と居間との仕切りは障子。

雁行プランで設計した「須恵の家」

日本のデザインの特徴「雁行」するプランの典型として、私が設計したのは、「須恵の家」です。
南から見ると、居間食堂が東南の角、続いて玄関も東南の角、さらに主寝室が東から西へと繋がって行きます。北側を見ると、まずはキッチンが北西の角、続いて和室が北西の角、さらに浴室が一番端の北西の角に配置されています。家の内側から見ると不思議なくらいに、閉鎖感がなく、開放感があり、明るい室内となっています。
(須恵の家 写真:大野博之)

須恵の家 外観
須恵の家 外観

須恵の家 外観
日本の原風景には焼き杉板の外壁があるので、建物の色を黒に。また漆のイメージとして朱のアクセントカラーも。

菩提寺「弧蓬庵」

菩提寺「弧蓬庵」
江戸の作事方大名として活躍した小堀遠州作の庭園。有名な忘栓という茶室もここにある。

「間」と言う「無」に意味を持たせるデザイン

日本家屋の各部屋は、「無題」、「非特定性」、「多用途=非特定用途=無目的=ユニバーサルスペース」に特徴があります。造作家具もほとんどありません。20世紀初頭のモダニズム建築がそうであったように、部屋と部屋との違いをつくることなく、置き家具によって機能が性格付けられて行く。これほど合理的でモダンな切れ味の良いデザインはありません。7世紀のことですが、法隆寺は境内の真ん中に本来おくべき五重塔(釈迦の墓)を脇に外し、中心には何も配置していない。驚くべき表現だったと思います。
右の写真の庭園は、京都大徳寺にある小堀遠州の菩提寺「弧蓬庵」です。大変大胆な庭園で、枯山水どころか、本当に何もないのです。夏は白砂、冬は枯れ松葉敷。なんとモダンなデザインでしょうか。ただ圧倒され、驚かされるだけです。

このように、日本のデザインを紐解くと、「和の心」は決して「古いもの」ではなく、現代もなお輝いています。
周囲とのバランスや自然との調和を重んじながら、時に大胆なデザインで空間を切り取る手法は、現代の日本人の暮らしに活かせるものかもしれません。
私も60才を過ぎてお茶の稽古を始めましたが、日本の伝統文化に触れて、その奥深さを体感してみるのも良いでしょう。

監修:リビングデザインセンターOZONE(テキスト:建築家 丸谷博男)

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「現代住宅における和の設え」のための製品のご紹介

柔らかに空間を仕切る扉

株式会社イマガワ 透かし格子戸「漣REN」

■メーカー名:株式会社イマガワ
■URL:http://www.k-imagawa.co.jp
■製品名:透かし格子戸「漣REN」
■素材:国産杉
■カラー:無塗装(生地色)
■サイズ:W809 × H1983 × D36(mm)
■価格(税抜き): 276,000円

■商品の特徴:
日本の住まいは近年、高気密高断熱をはじめ、室内全循環型の空調システムが採用され、襖や障子のような柔らかに空間を仕切る機能に注目が集まっています。
空気や光や音を遮断するのではなく、「気配」を感じられる新しい概念の“扉を超えた扉”。
「日本の自然が育てた貴重な天然資源“杉”」と「日本の住文化を基調にした簡素で上質なデザイン」、そして「日本の精密加工技術と職人の感性」を融合した百年の時を超える建具を提案します。

グッドデザイン賞受賞 ウッドデザイン賞受賞

癒しの空間 Jパネルの茶室

丸天星工業株式会社 ステンレスキッチン(オーダーメイドキッチン)

■メーカー名:丸天星工業株式会社
■URL:http://www.marutenboshi.co.jp
■製品名:JPキューブ
■素材:杉Jパネル
■カラー:無塗装(杉の色)
■サイズ:W2000 × H2000 × D2400 (mm)
■価格(税抜き):標準タイプ:680,000円  収納庫付:880,000円

■製品の特徴:
畳の無い家が多くなっています。また、スケルトン&インフィルで間仕切りの少ない家も増えています。
そんな居住空間に癒しの空間を創りたいという思いで開発されたのがJパネルの茶室「JPキューブ」です。
床の間と畳(半畳×4)、Jパネルのルーバーが特徴で、収納庫付のタイプは公共スペースなどで防災グッズの保管庫としても役立ちます。
素材は畳以外全てJパネルですが、厚みは通常の36mmではなく30mmタイプを使用しています。
薄いことでデザイン性も良く、建具や家具材としても好評です。

これら2社の製品は、リビングデザインセンターOZONE7階 CLUB OZONEスクエア 企画展「日本の住まい-和の素材と製品の選び方-」でご覧いただけます。
(2017年3月28(火)まで)