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進化する断熱材 2017/11/16号

冬に暖かく、夏に涼しく暮らしたい、という住む人の自然な願いをかなえるためには、建物の断熱性能を高めることが不可欠です。家の内と外の好ましくない熱の移動をシャットアウトすることで、少しの熱とエネルギーで快適な室内の温熱環境を作ることが可能になります。本稿では断熱の変遷と最近の事情についてみていくことにしましょう。

図1 住宅の省エネ基準の推移とHEAT20

図1.住宅の省エネ基準の推移とHEAT20

住宅の省エネルギー基準の進化

従来より、国は省エネルギー基準により、住宅の断熱性能の向上を誘導してきました。図1に基準の変遷を整理してみました。オイルショック直後の昭和55年(1980年)に初めて住宅の省エネ基準が作られ、望ましい断熱の仕様が示されました。その後、基準は平成4年(1992年)と平成11年(1999年)に改正され、断熱性能が強化されました。
国は平成28年(2016年)に省エネルギー基準の規定を大きく変更し、住宅が消費する1次エネルギー量を規制することになりました。外皮性能の規定も残っていますが、そのレベルは平成11年基準の「断熱等級4」と同レベルであり、暖かくて省エネな家を作るには必ずしも十分ではありません。

図2 HEAT20グレード

HEAT20 G1 G2

近年の窓や断熱材は高性能化してきていることから、断熱等級4を上回る高断熱住宅の規定が、「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会(通称HEAT20)」で策定されました。HEAT20では、図2にあげるように室内の温度低下を防ぎ暖房に必要な熱負荷を削減するため、コストパフォーマンスの高いG1とより高断熱なG2レベルの2つを規定しています。

図2 HEAT20断熱が目標とする温熱環境と省エネルギー性能

図2.HEAT20断熱が目標とする温熱環境と省エネルギー性能

図3 断熱・気密の違いによる温熱環境の赤外線画像

図3.断熱・気密の違いによる温熱環境の赤外線画像

断熱性能の向上は快適で健康な室内をつくる

断熱性能を向上させるは、暖房の省エネにつながるだけではありません。室内の温度ムラを減らすことで快適性が向上し、さらに血圧が低下するなど様々な健康上のメリットがあることが分かってきました。図3の低断熱の家とHEAT20 G2レベルの家を比較すれば、どちらが快適かは一目瞭然ですね。

断熱性能の向上と断熱材の進化

住宅の断熱性能は、外皮平均熱貫流率UA値の値が小さいほど、熱が逃げにくく高断熱と判断されます。図4を見ると、省エネ基準に比べてHEAT20 G2ではUA値が半分近くとなっており、断熱性能が大幅に強化されていることが分かります。
最近普及が目覚ましい「ゼロエネルギー住宅(通称ZEH)」においては、達成必須の標準レベルと、オプションですが補助金採択が有利になる「外皮強化型」の2つのレベルが示されています。そのUA値はそれぞれHEAT20のG1とG2におおむね対応しています。近年ではHEAT20の認知が広がり、全物件でG1やG2レベル以上を達成するハウスメーカーや工務店が全国で増えてきています。

図4 外皮平均熱貫流率の規定

図4.外皮平均熱貫流率の規定

断熱材の進歩

断熱性能を向上させるには、熱を通しにくい部材「断熱材」をより多く入れる必要があります。断熱性能の向上にともない、図5に示すように建物の壁は厚くなってきています。断熱材そのものの性能を上げることで、限られた壁体内のスペースで断熱性能の向上を図ることが可能になります。
平成25年に断熱材のトップランナー基準がはじまり、平成34年の目標達成に向けて断熱材メーカーは性能向上に取り組んでいます。断熱材の熱の通しにくさは熱伝導率λ(ラムダ)によって評価されます。断熱材と呼ばれるにはこのλ値が0.05[W/(m・K)]以下であることが必要ですが、最近では図6のようにλ値が大幅に小さくなった高性能な断熱材が多く登場してきています。
こうした高性能な断熱材も活用しながら、日本の全ての家の断熱性能を向上させ、みんなが快適で省エネな生活をおくれる社会を実現していくことが、住宅産業の大事な使命なのではないでしょうか。

図5 各規準の外皮構成の例(6地域)

図5.各規準の外皮構成の例(6地域)

図6 最新の高性能断熱材の例(断熱材は熱伝導率λ値0.050以下)

図6.最新の高性能断熱材の例(断熱材は熱伝導率λ値0.050以下)

監修:リビングデザインセンターOZONE
テキスト:前真之(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻准教授)

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進化する断熱材 製品のご紹介

ポリエステル繊維100%の安全で環境に優しい断熱材

エンデバーハウス株式会社 ポリエステル健康断熱材 パーフェクトバリア

■メーカー名:エンデバーハウス株式会社
■URL:http://www.endeavorhouse.co.jp/
■製品名:製品名:ポリエステル健康断熱材 パーフェクトバリア
■種類:繊維系断熱材
■主な原料:ポリエステル100%
■工法:充填工法 ブローイング工法
■熱伝導率:0.035〜0.045W/m・K
■形状:ボード状、ロール状、ブロー用粒状
■価格(税抜):スタンダード10K・100mm厚 1,303円/m² ※材料のみ

湿気に強く、耐久性に優れたポリエステル繊維を熱融着成型した断熱吸音材。接着剤、防腐剤等の有害物質を一切使用していない為、シックハウスの原因物質を放散しません。又、柔らかい肌触りで施工者にも快適な素材で、正確で丁寧な施工が可能です。
ペットボトルからの再生ポリエステル繊維を使用し、エコマークを取得しています。100%ポリエステル素材の為、再度のリサイクルも可能な地球環境に優しい断熱材です。又、万一の火災の際にも有毒ガスを発生させることもありません。
断熱用途に応じて、ボード状・ロール状・ブロー用と各種製品を揃えており、勿論ZEH基準にも対応可能な高性能断熱材です。

新聞古紙を再利用してできた自然素材の断熱材

株式会社マツナガ MSグリーンファイバー(スーパーZ工法)

■メーカー名:株式会社マツナガ
■URL:http://www.ms-matsunaga.jp
■製品名:MSグリーンファイバー(スーパーZ工法)
■種類:セルローズファイバー
■主な原料:新聞古紙、ホウ酸・ホウ砂、撥水剤
■工法:吹き込み工法
■熱伝導率:0.040W/m・K
■形状:綿状
■価格(税抜):5500円〜(壁100mm厚み 密度60kg/m³) ※材工価格

天然木質繊維である古紙を綿状に解繊し、沈降防止の為に麻を添加したリサイクル断熱材。
セルローズファイバー唯一の欠点であった経年による沈下を、麻の弾力性により解決した乾式工法。工事は直営の社員体制で確実に行われるため高い断熱効果が確実に得られるので、高い快適性と冷暖房のランニングコストを大幅に削減できる高性能断熱工法。そして吸放湿性能による結露防止効果と調湿効果、温暖地においては防湿層不要で呼吸する壁を実現。また、高い防音性、・高い耐火性能など数多くのメリットも得られる。解体時においても回収可能で再度吹き込み材料として再利用可能なサスティナブルな材料。