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ハウスメーカーは主に総合展示場、ローコストビルダーはロードサイド型の単独展示場というように、業態や狙うターゲット層によって、住宅会社の集客拠点には様々な形態があります。総合展示場に出展せず、大きなショールームや単独展示場を持たない中小ビルダー・工務店の場合は、完成見学会や街中モデルのオープニングイベントが主な集客源泉となっているのではないでしょうか。今回は濃い客を集める見学会の事例を見てみます。

1濃い客を集める完全予約制の現場見学会〜リアン・コーポレーション

完成見学会でも、新規名簿を増やすために数を多く集めたいのか、数は少なくても濃い客を集めたいのか、管理客のランクアップやクロージングに使うのか、その目的によって広告宣伝や当日の運営方法は変わってきます。
見学会集客の数を追うのであれば、新聞折込チラシやポスティングなどの広告宣伝を仕掛け、来場者プレゼント等のノベルティを設けるといった方法が考えられます。ただし、数を多く集めても、濃い客と薄い客の見極めが難しく、その場で営業マンが対応できる人数が限られるため、来場者が集中して訪れたときに対応しきれません。営業ツールや商談スペースを揃えている常設型の集客拠点とは違い、見学会会場では具体的な商談を進めにくいものです。

最近では、数を集めることよりも、より濃い客を集めて商談を進めることを目的とした完成見学会を実施しているビルダーも少なくありません。具体的な販促事例をご紹介します。

栃木県のリアン・コーポレーションは、展示場・ショールーム等の集客装置を持たず、月1回開催する完成見学会のみの集客で年間60棟の受注を獲得しています。同社では完成見学会を完全予約制とすることで成約率を高めています。

完成見学会は土日2日間で行い、午前10時から2時間刻みで1日5組、計10組に限定しています。見学会の会場・日時が決まると、会場から半径2km以内の約1万世帯を対象に、4週間前から4回に分けてポスティングでチラシを投下します。4回のチラシは、価格、土地情報、商品情報等、毎回異なる内容を掲載し、情報量を多くして飽きさせないようにしています。見学会の予約表も添付し、ポスティングチラシが届く度に、10組限定の予約が埋まって行く状況を演出します。

予約の受付はホームページの専用フォームのみとしています。必ず1回は自社のホームページを見てもらい、会社のことを知ってもらうことに加え、住所・電話番号などの情報を入力してもらうことが目的です。ホームページに個人情報を打ち込んでまで予約するということは、冷やかしではなく、それなりに本気度が高いはずです。「自社の顧客となり得るか」の最初の見極めとなっています。

予約情報を受信すると、結婚式の招待状をイメージしたデザインの見学会招待状を即日発送します。また、当日はスムーズに会場に辿り着けるように、予約者の自宅から見学会会場までの推奨ルート地図も必ず添付します。招待状を送ってからも、例えば4週間前に予約した客には、残りの3回分のポスティングチラシを送付します。予約から見学会当日までの間に、気持ちを離れさせないようにする工夫です。

見学会当日は、何時に誰が来るかが事前に分かっているため、駐車場には「〇〇様専用」、玄関を開けると「〇〇様、お待ちしていました」という看板を準備し、「これから2時間は〇〇様だけの時間です」という特別感を演出します。そして、初回接客から2時間じっくりと着座商談ができます。

過去に完全予約制ではない通常の見学会を実施したときは、2日間で40組を集めたものの、そこから成約に至ったのは0件だったそうです。完全予約制として、1組に2時間かけてじっくり接客するスタイルに変えたところ、成約率は約50%に上がりました。1回10組×12回=年間120組を集客し、成約率50%で年間60棟の受注を獲得しているということです。

21つの現場で行う4回シリーズ勉強会〜リバティホーム

東京都のリバティホームでは、1つの現場で基礎、構造・断熱、木工事、完成の4回シリーズで勉強会形式の見学会を行っています。営業マンだけでなく、設計担当や工事担当、現場の職人がそれぞれの回を担当し、施工の実演を交えながら得意分野の説明をします。

単なる見学会ではなく勉強会ということで、住宅の購入が具体化している/本気度が高い客層を集められ、参加者は疑問に思ったことや知りたいことを質問しやすいというメリットもあります。こちらの見学会も完全予約制で、建築中の建物に椅子を入れての講義形式なので、定員は10組に限定しています。

1回あたりの集客人数は少なくても、4回の接点を持てるので、来場者との関係が密になり、自社の家づくりについて深く説明できるため、具体的な商談に進められることが多いそうです。勉強会からの成約率は6〜7割を目標としています。

完成見学会の役割は、新規客の集客目的から、具体的な商談に進むランクアップのステージへと、少し変化してきています。例えば、ショールームを持っているビルダーでは、以前は完成見学会で集めてショールームでファン化するという流れが主流でした。
最近の傾向としては、なるべくショールームで集客して先にファン化した上で、完成見学会で実物を見てもらい具体的な商談に進む戦略を取るビルダーが増えてきています。

完成見学会での集客からの受注が上手くいっていないというビルダー・工務店は、集客から受注までの過程で、完成見学会をどのような役割でどの位置に置くのかを改めて見直してみるのも良いのではないでしょうか。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 布施 哲朗さん)

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