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経済産業省は8月末、2016年度の予算概算要求を発表しました。この中で住宅に関連するものに「住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業費補助金」として190億円が計上されています。
前年は2015年度補正予算で150億円が成立していますが、来年度はこれを上回る予算要求が提出されており、年々拡大の傾向にあります。また今年9月には、ZEH普及に関するロードマップ案を提示しています。
①これまであいまいだったZEHの定義を今年度中に確定させる
②ZEHに準ずる「Nearly ZEH(仮称)」を設定する
といった項目が盛り込まれていて、現状2つ存在するZEHの定義を確定させることで、混乱をなくそうという狙いと見られます。
住宅分野での省エネ化を目標に、2010年から構想がスタートしたZEHですが、いよいよ本格的に普及を目指そうという段階に差し掛かっています。今回はハウスメーカー各社のZEHへの取り組みについてご紹介します。

1ZEHで業界をリードする積水ハウスの取組み

住宅メーカーの中でもZEHに対して積極的な取り組みを見せているのが積水ハウスです。同社では、2014年度の請負住宅の内59%でZEHを達成しており、ZEH市場シェアの48%と約半数は同社が供給した物件だと推計しています。

積水ハウスのZEH商品である「グリーンファーストゼロ」のポイントは、標準地域よりも高いハイグレード断熱仕様(東北北部レベル)を採用している点と、各種の省エネ、創エネ設備が充実している点です。

太陽光発電は既に住宅メーカーが供給する住宅の半数以上に搭載されていますが、他社との大きな違いはエネファームの採用率が高いということです。2014年度の同社のエネファーム採用率は49%と半数近くの住宅で採用されており、これが年間の一次エネルギー消費量が正味でゼロになるZEHの基準を満たす、ZEH達成邸の増加につながっているものと見られます。

これまで高い導入目標を掲げて取り組んできたことで、省エネ・創エネ設備の集中購買によるコスト低減をアピール。グリーンファーストゼロの販売価格は同社の通常の住宅の1.2倍程度に収まっているとしています。
ZEHとすることで建築コストは上がるものの、光熱費の大幅削減と、今までにない快適性が得られるとして、コストアップに見合う価値を訴求している点が、同社でZEH達成率が高い理由と見られます。

積水ハウスの事例からも分かるように、ZEHの普及のポイントとなっているのが、エネファームです。東京ガスが供給しているエネファームでは、災害などで停電が発生した際(※)にも、照明や通信機能など必要最低限の電力が確保される仕組みとなっています。
また、エネルギーの分散化によって、ZEH達成や地球環境保全に加えて、災害時の安心にもつながる点が大きな特徴で、これから標準的な住宅での達成を目指す際のキーアイテムだと言えそうです。

※停電時にエネファームを発電させるための都市ガスと水道が供給状態であることが必要。

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2実邸調査で家電含むZEH化率を公表〜積水化学工業

省エネや住宅内の光熱費削減に力を入れている積水化学工業では、

・2011年「スマートハイム」
〜大容量太陽光発電にHEMSを標準搭載
・2012年「進・スマートハイム」
〜スマートハイムに大容量蓄電池を搭載
・2013年「ミライクラス」
〜高断熱仕様を搭載しZEHを標準化
「スマートパワーステーション」
〜10kW以上の太陽光発電を搭載
・2014年「V to heim」
〜電気自動車とソーラー住宅の連携
・2015年「V to heim(対応車種拡大)」
〜プラグインハイブリッド自動車に対応

というように、次々に新しい商品を投入することで需要を喚起してきました。

また、同社はスマートハウス投入前から、太陽光発電システムの普及を会社の戦略として注力しており、入居者へのアンケート等による、光熱費削減効果などのアピールを得意としています。
例えば、今年2月の「太陽光発電システム搭載住宅の電力収支実態調査(2014)」では、2014年のZEH達成邸は66%だったと発表しています。この内、2014年度ZEH補助金要件(家電抜き)が49%、今後目標とされる家電込のZEHについても17%が達成したと発表しました。

さらに、ZEH(家電込み)邸での年間光熱費収支は約11万5千円のプラスになったとし、家計にも優しい住宅であることを訴求しています。

このように、新商品の開発・投入と、入居者データを活用した訴求により、2020年には家電も含めたZEHの標準化を目指していく構えです。

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32018年までに100%ZEH化を目指す〜パナホーム

積水ハウス、積水化学に並んで、ZEHの普及に力を入れているのがパナホームです。同社では、2014年4月に住宅のZEH化を進化させエネルギー収支ゼロを超えるエコ性能を備えた「ゼロエコ」仕様を新しく設定しました。

・「太陽光+蓄電システム」
・「家まるごと断熱」+「エコナビ搭載換気システム HEPAプラス」
・「スマートHEMS」+「プライベート・ビエラ」
という装備によりZEH化を目指すものです。

ゼロエネルギーを達成するだけでなく、太陽光発電システム「HIT」による効率的な発電、「エコナビ機能搭載」の換気システムによる健康への配慮、HEMSと持ち運び可能なテレビ「プライベート・ビエラ」との連動といったように、パナソニックの技術を応用した快適な住まいをアピールしています。

パナホームは、パナソニック創業100周年記念の年である2018年には、戸建て全商品の100%ZEH化を目指すということを掲げていますので、今後の動向にも注目です。

このように政府が補助金やロードマップを整備し、住宅メーカーが業界を先導する形で取り組むことでZEHの普及は進んでいくと見られますので、今後も業界の動向に注意が必要だと言えそうです。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 和則さん)