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住宅会社の集客拠点というと、総合展示場や単独展示場のモデルハウスが思い浮かびますが、これらは「建物」を見せる集客拠点と言えます。「建物」を見てもらうことを入り口として商談が始まり、「構造」や「性能」についてより深く知ってもらうために、ショールームや工場見学に参加してもらって、ランクアップするという商談の流れとなります。
一方、最近の商談の流れの傾向として、ショールームやセミナー形式のイベントで集客し、先に自社の建物の「性能」や「構造」、「家づくりへの想い」や「家づくりの進め方」を理解してもらいファン化した上で、完成見学会などで実際の「建物」を見てもらうという進め方も一部では見られます。この流れだと、先に自社の家づくりを気に入ってもらえるかを選別した上で商談に進むため、歩留まりは高くなります。
また、ビルダーの中でも、先進的な技術を取り入れているショールームも出てきました。今回は最近話題のショールームの具体的な事例をいくつかご紹介します。

1全国初、ショールームにプロジェクションマッピングを導入〜タツミプランニング

ハウスメーカーのここ数年の集客拠点のトレンドとして、積水ハウスが大阪グランフロントに開設した「住ムフムラボ」や、大和ハウスが東京本社内に設けた「TRY家Lab」など、体感型施設を新設するケースが多く見られます。体感を通して強い印象を与えることでファン化し、具体的な商談に進む流れの入り口となる集客拠点と言えます。
ビルダーでも、見込み客を早期にファン化するために、ショールームの中身を充実させているケースが増えてきています。

神奈川県のタツミプランニングは、横浜市を中心にデザイン性の高い自由設計の住宅を手掛けているビルダーです。同社では2014年9月に、メインの集客拠点である横浜クイーンズスクエアのショールームをリニューアルし、「la bola」という新名称で新規オープンしました。

このショールームは4つの「CORE」と呼ばれるスペースに分かれています。受付の「FIRST CORE」を通った来場者は、まずは「DREAM CORE」と名付けられた小部屋に案内されます。この部屋では壁と床の4面に3Dプロジェクションマッピングで映像が映し出されます。このショールームの開設当時では、3Dプロジェクションマッピングをショールームに導入するのは、住宅会社としては全国初の試みでした。

約6分間の映像は、家づくりの楽しさや同社の住宅の技術・性能をストーリー仕立てで構成した内容です。同社が採用している発泡ウレタン断熱の「魔法びんハウス」の性能を伝えるため、家が南極や砂漠に移動し、気密性を表現するため、家が水の中に潜るといった映像が映し出されます。
また映像(視覚)だけでなく、音響(聴覚)、香り(嗅覚)も連動させ、感覚的に同社の家づくりの楽しさを知ってもらうような演出をしています。

「DREAM CORE」の映像でイメージ訴求をした後は、「CENTER CORE」で会社のことをより詳しく知ってもらいます。この部屋には70インチのタッチパネル式モニターを設け、来場者が画面をタッチすると、注文住宅やリフォームの施工事例やモデルハウス、訪問看護やメガソーラーなどのグループ事業の紹介を見られます。コンテンツは常にアップデートされ、iPadでも各コンテンツを見られるようになっています。

最後にミーティングルームの「NEXT CORE」で着座し、具体的に商談を進めていきます。このショールーム「la bola」で集客し、イメージ先行でファン化した上で、モデルハウスや現場を案内してリアルな建物を見てもらうという商談の流れを確立しています。

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23Dでリアルに体感させるショールーム〜豊栄建設、オダケホーム

北海道の豊栄建設でも、2015年4月にリニューアルした自社ショールームに、3Dプロジェクションマッピングの技術を導入しています。同社のショールーム「ハウジングラボサッポロ」は、3階建のビルを2棟連結した構成で、南館は構造や標準仕様の建材・設備を展示する一般的なショールーム、北館は同社の家づくりのコンセプトを訴求する提案型ショールームとしています。
北館は地上3階、地下1階の構成で、1階の「スタイリングラボ」は少し変わった輸入建材や照明器具を展示して、遊び心のあるインテリアを提案しています。2階は「収納ギャラリー」として、リビングや玄関回り等、各室のスペースを活かす収納計画の提案。3階に新たに設けた「緑と水のカフェ」は、自然を住まいに取り込むアイディアを訴求する空間として、室内に豊富な植栽や池を配しています。そして、この北館の地下1階の「ムービーラボ」にプロジェクションマッピングを導入し、“家づくりを自由に楽しむ”コンセプトの約7分間のイメージ映像を壁一面に映し出すスペースとしています。

富山県のオダケホームでは、2015年2月から自社ショールームに「3D-CADバーチャルルーム」という新たな体験スペースを加えました。このスペースでは、壁・床・天井に3D-CADで描いたプランのイメージパースを映し出し、専用の3Dメガネをかけてその場に立つと、実際にパースで描かれた室内にいるように感じられるようになっています。専用のコントローラーを操作することで、室内を移動したり、視点を切り替えることもできます。

パース図や模型ではなく、施主が実際に建てる家の完成形を、3Dによりリアルサイズで体験できることで、仕様決めが進めやすくなり、また引き渡した時に施主から「思っていたイメージと違う」という不満が発生しにくくなっています。

新しい技術の導入は少しハードルが高いかもしれませんが、【ショールームで強く印象付けてファン化】→【完成見学会で具体的な建物を見せる】という商談の流れは、取り入れてみてもいいかもしれません。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 布施 哲朗さん)