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集客の戦略を考える上で、「どのような客層を集めるのか」というターゲットの選定は重要です。ターゲットの選定には、年齢層や土地の有無、建物の好みといった顧客属性による考え方があります。もう一つの基準として、「住宅の計画が具体化している=顕在客」と「住宅の計画がまだ具体化していない=潜在客」のどちらをターゲットとするかという考え方もできます。
顕在客はすでに情報収集を始めていて、モデルハウスや完成見学会に来場し、各社の建物や営業マンを比較検討しながら業者選びを進めます。顕在客をターゲットとする場合は、計画が具体化しているため、商談を進めやすい一方で、ほぼ確実に他社との競合が発生します。
他社との競合を避けて優位に商談を進めるためには、情報収集を始める前の段階の潜在客を集客して、自社のファンに育て、住宅の計画が具体化したときに刈り取るという方法が考えられます。潜在客は、住宅を見に自発的に展示場や見学会に訪れることはほぼありません。住宅をまだ具体的に検討していなくても興味が持てるようなイベントで大量集客し、そこから受注を獲得しているビルダーの事例をご紹介します。

1定番イベント「C級グルメグランプリ」〜丸和住宅

栃木県の丸和住宅は、地元栃木市の戸建着工の10%超のシェアを握っている地域密着型ビルダーです。常設モデルを持っていないため、通常の集客活動は分譲地のモデル棟や完成見学会で行っています。それ以外に年に数回は、地域密着型のユニークなイベント企画で潜在客を大量に集めて囲い込んでいます。

具体的なイベントの内容をいくつか見ていきましょう。
大型分譲地では、地主の土地の一部を借りて田圃にし、春に田植え体験、秋には収穫祭を行います。その分譲地にすでに住んでいる入居者と、見込み客の交流を促進するイベントと言えます。
子育て世帯を集める「子供職人」は、子供にショベルカーに触れさせたり、工具を使って釘打ちの体験をさせながら、親には基礎や構造の説明をするイベントです。

この他にも、地元サッカーチームの試合を観戦・応援するイベントや、婚活を目的とした「縁結び交流会」など、住宅に直接関係の無い、地域を盛り上げるためのイベントも多数開催しています。リフォーム事業部では地元のイオン内のテナントに出店していることもあり、イオンの駐車場でお祭りイベントを行うこともあります。
そして周辺住民やOB客を集めるための、丸和住宅の最も大きなイベントが、毎年1月に開催している「C級グルメグランプリ」です。社員が全員参加し、部署ごとのチームに分かれて自作の料理を振る舞うイベントで、協力業者も1チームとして参加して、来場者の投票によってグランプリを決めます。同イベントでは住宅関連の催しは行わず、イベントを楽しんでもらうことを重視します。社員が扮した戦隊ショーなどもあって大変な盛り上がりで、地元のケーブルTV局で取り上げられることも多く、OB客、新規客合わせて毎回500組弱を集めています。

これらの、住宅とは直接関係ない各種イベントで潜在客の集客を図り、会社の姿勢や社員の人柄をアピールしてファン化します。集めた潜在客に対しては、ほぼ毎週行っている家づくりセミナーへの参加を促します。セミナーの内容は土地探しのポイントや資金計画など、まだ情報収集を始めていない客層に対して、家づくりの基本的な進め方を教える内容で、外部講師ではなく社員自身が講師を務めます。イベントでは社員が率先して会場を盛り上げて人柄や親近感をアピールし、セミナーでは住宅のプロとしての顔を見せることで、社員に対する信頼感を高めています。

2子育て世代をターゲットとしたイベント企画〜第一建設

静岡県富士市の第一建設では、主に子育て世代をターゲットとしているため、子ども参加型の地域密着イベント等で顧客との接点を増やし、商談の過程においても子どもへの対応が受注の決め手となることが多いと言います。
同社の最大のイベントが、地域のホールを借りて年1回開催する感謝祭イベントです。住設のアウトレット販売やメンテナンス教室、プレゼント抽選、ご当地グルメの屋台などに加え、子どもを中心とした内容を充実させています。
地域の音楽教室やダンススクールとコラボして、ステージで発表会を行うほか、「ちびっこ一級建築士」と称して、地域の幼稚園児に「将来の夢の家」の絵を描かせて、会場に全作品を掲示し優秀賞を表彰します。それまで第一建設との接点がなくても、自分や友人の子どもの発表や作品を見るために、ターゲットである子育て層の家族が多数来場する仕掛けです。毎回約1500組を集め、来場数は年々増加しています。

また、展示場では地域に向けた様々なイベントを行っています。カルチャースクールでは、ベビーマッサージや英語教室、親子ヨガ教室などの子どもが参加できるイベントや、雑貨づくりや写真教室などの主婦向け講座、片付け教室やメンテナンス教室などの住まいに関する講座など、ターゲットである子育て世代に人気の高いコンテンツを取り揃えています。モデルハウスには「子どもと家族」をテーマに、150冊の書籍を集めたライブラリーコーナーを作ったり、キャンドルの明かりの中で絵本の読み聞かせや音楽ライブを行うキャンドルナイトなどのイベントも行っています。

丸和住宅と同様に、イベント等で同社を知って家づくりを検討し始めた客向けに、住宅ローン教室、土地探し教室などのセミナー「家づくりキャンパス」をほぼ毎週開催し、同セミナーに何度か参加して、具体的に購入を考え始めた客は土地探しツアーに進みます。 土地探しツアーでは、大型のレンタカーを借りて、営業マン、支店長、設計、女性スタッフの4名が同行し、家族全員にマンツーマンで対応します。子どもの対応は女性スタッフが対応し、1日がかりで数件の土地を見終えて、営業所に帰ってきた時点で子どもが懐いていれば、競合無しで受注となることが多いと言います。

住宅の計画がまだ具体化していない潜在客を集客するのは一見遠回りに見えますが、そこから受注につなげるステップをしっかりと確立していれば、競合無しで商談を進められることが多く、常に大量の見込み客をストックできます。顕在客を狙うか、潜在客を狙うか、改めて自社の集客戦略を見直してみましょう。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 布施 哲朗さん)

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