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住宅メーカーでは、新構法の投入や構造躯体へのテコ入れといった動きを進めています。背景としては、消費増税の駆け込みで予算にシビアな一次取得層を刈り取った後、比較的動きがあるのが富裕層向けの住宅だという点が挙げられます。こだわりの強いユーザーに対して魅力的な空間を訴求しようという戦略です。
構造を進化させる目的は、耐震性を高めることで繰り返す地震に対応したり、断熱性を向上させることで省エネ・ゼロエネを実現したりと様々な狙いがありますが、ユーザーへの訴求として増えているのが、躯体を強化することで「大空間・大開口」を実現するという内容です。
最近では、大手住宅メーカーを始め、有力な地域ビルダーでも性能表示の「構造の安定」の項目で最高等級に対応するものが多くなっていますが、更に躯体の強度を上げることで内部空間を拡張し、これまで難しかった大スパンによる広々とした空間の確保や、大開口による開放感のある空間が提案されています。
リビングなどの居住空間を広げることは、省エネ効率の観点から見ると不利になりますが、大手メーカーではZEH実現に向けて断熱性の向上を図っており、「大空間を確保しながらエネルギー収支ゼロ」といったように、快適性と省エネ性を両立するというアピールも進んでいます。

1邸宅感と快適性を進化させた高級商品「NEWイズ・シリーズ」〜積水ハウス

積水ハウスは住宅メーカーの中でも平均単価が高く、中高級価格帯を基本に富裕層など高額客の取得を進めています。同社が販売する戸建住宅の平均床面積は140m2弱程度であり、邸宅風の大きな家が多いのが特徴です。富裕層の中には、自宅でホームパーティを開く人も多いことから、大きなダイニングや、居心地の良さにこだわったリビングなど独自の提案が進んでいます。

同社では2014年9月に累計7万棟の実績を誇る高級商品「イズ・シリーズ」をリニューアル発売しました。彫りの深いダインコンクリート外壁による外観特徴に加えて、外部と内部をつなぐ中間領域「スローリビング」の提案が特徴的です。これは大開口により建物の内と外をつなぐ縁側のような境界空間のことで、同社の研究により多くの人が心地よいと感じるという事が科学的に検証されているものです。新商品では、2階の床オーバーハングや、キャノピー(水平庇)を組み合わせることで「2方向オーバーハング」を実現し、2方向に1mずつ広がる中間領域の快適性を訴求しています。

また、鉄骨を主力としている積水ハウスですが、最近ではセカンドブランドとして木造「シャーウッド」にも力を入れています。2014年8月には、在来工法の4倍の強度を持つ耐力壁などを導入した「ハイブリッドS-MJ」工法を開発し、シャーウッド全商品を新構法へと移行させています。
狙いは鉄骨と同じように開放的な空間を実現しようというもので、高い構造強度が必要な3階建や多雪地域などでも大空間・大開口の提案を可能としています。もともと同社の木造住宅は、他の鉄骨系メーカーが展開している木質系商品に比べて価格が高いですが、大空間+木質感を訴求することで、落ち着きのある木質系高級ブランドとして競争力を高めています。

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2ヒット商品「ジーヴォΣ」に天井高3m8cmのグランデ仕様追加〜大和ハウス工業

大和ハウスが2014年1月に投入した新構法「ジーヴォΣ」は、2.72mの天井高、ZEHを目指した高断熱仕様など、これまで同社の主力だったジーヴォEを超える性能が売りの商品です。徹底した販促の効果もあり、発売から約1年半後の2015年8月末までの累計で3,000棟を販売するなどヒット商品となりました。発売当初は、岡山工場の生産ラインによる月産100棟体制でしたが、2015年8月にはジーヴォΣの主力工場岡山工場でのライン拡充と、栃木二宮工場へのライン新設により月産350棟体制を整え更なる拡販を目指しています。

さらに2015年9月には最大3m8cmの天井高となる「ジーヴォΣグランデ仕様」も追加しています。元々2m72cmの天井高をアピールポイントとしてきたジーヴォΣに、リビングの床を36cm掘り下げることで空間に変化を付け、下げた床から最大の天井高が3m8cmとなりました。さらに、従来の3段階の断熱仕様の上から2番目に「ハイクラスプラス」という断熱仕様を追加しています。これは、北海道エリアを除くと最も断熱性能の良い仕様という事になります。
大空間を確保すると問題となるのは、エアコンが効きにくいといった省エネ効率の低下ですが、高断熱仕様を追加することで大空間・大開口を確保しながらZEHにも対応しやすくなっています。同社が実施した「ジーヴォΣ」契約者に向けたアンケート調査によると、多くのオーナーが「高天井」に対する満足度が高いと回答したようで、新仕様の追加で更なる満足度向上を目指しています。

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3企画型低価格商品で約3mの天井高を実現〜ミサワホーム

ミサワホームでは、約3mのリビング天井高と特徴とする「スマートスタイルH」という商品を2015年10月に発売しました。スマートスタイルシリーズは、同社を代表する“カスタマイズが可能な企画型商品”として2002年に発売された商品シリーズで、同商品で9タイプ目となります。
同商品のポイントは前述した2社が、高級商品で大空間・大開口を訴求しているのに対し、企画型低価格商品で大空間を実現したという点です。約3mの天井高に合わせたハイサイドサッシや間接照明などにより、同じ床面積でものびのびと過ごすことができるとしてキッズファミリー向けの提案を強化しています。

大手各社が邸別設計による自由度の高さを訴求していく中で、ミサワホームではこれまで培ってきたノウハウを結集し、プロが考え抜いたプランとしてアピールすることで、「初めて建てても満足できる住宅」として企画型商品の魅力を追求しています。最近のトレンドである高天井を取り入れながら、坪単価は58.5万円からと値頃感のある価格設定を魅力として若年層への訴求を強化しています。同シリーズの2014年度の実績は1,400棟弱程度でしたが、新商品の投入で年間1,800棟への拡販を目指しています。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 和則さん)