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住宅関連 制度・マーケット情報

日本国内でウェブ(インターネット)が広がり始めてから、およそ20年が経過しました。いまや、誰もがパソコンや携帯電話からウェブを利用し、買い物や旅行の予約など幅広く活用されていることは、言うまでもありません。
とりわけ、多くの住宅会社がメインターゲットとしている20代〜40代は、ウェブによる情報収集やコミュニケーションが当たり前の世代です。これらの顧客層を取り込むためには、ウェブによる集客スキルの向上が至上命題といえます。

その一方で、多くの住宅会社は今もなお、ウェブ集客、特に自社ウェブサイト(ホームページ)からの顧客獲得に苦戦しています。「ウェブ集客は大手ハウスメーカーがやるもので、地域密着型のビルダーや工務店には向いていない」とお考えの方も、まだまだ多いようです。
しかし、全国のビルダー・工務店を見渡すと、“本気でウェブ集客に取り組んでいる”企業の中には、ウェブによる見込み客獲得に成功している例が多く見られます。
今回は、これらの企業の中から事例をいくつか紹介したうえで、成功のポイントを解説します。

1自社サイトだけで、ファンになってもらう〜住まいず

鹿児島県霧島市に本社を構える住まいずは、年間25棟ほどの注文住宅を手掛ける会社です。現在の代表は11代目、初代は400年以上前に遡るという長い歴史を持ちます。ただし、山林業メインだった会社が住宅事業に本格参入したのは20年ほど前であり、住宅会社としては比較的新しい会社と言えます。
同社では注文住宅契約客のおよそ7割が、自社ウェブサイト経由のお客様です。自社サイトへの1ヶ月間の訪問者数は約5,000件、自社サイトを経由した資料請求やお問い合わせの件数は月に10件前後にのぼります。地元のフリーペーパーや雑誌にも広告を掲載し、自社サイトを見るよう促しているため、一概にウェブのみの成果とは言い切れませんが、同社の集客の要が自社サイトであることは間違いありません。
同社サイトの特長は、読み物記事を中心とした膨大な情報量です。自社に興味を持ったお客様にじっくり読み込んでいただき、サイトだけで自社のファンになっていただくことを狙ったものです。
会社紹介ページを見ると、会長・社長・専務・常務がリレー形式で、同社の400年以上に及ぶ歴史や、家づくりや木材に関する自身の考え方を丁寧に伝えています。お客様の声ページも、単に会社の印象を聞くだけでなく、家づくりを考えたきっかけや会社選びのプロセス、建物で工夫した点などを、お客様自身の言葉を用いて細かく説明しています。写真数も1事例で20枚前後と、一般的な事例紹介に比べて多くの写真を使用しています。

住まいずサイトイメージ

また、重要な集客施策の1つである「宿泊体験」も、自社サイトで詳細に解説し、申し込みを促しています。まずOBのお客様の協力のもと、宿泊体験用のモデルハウスで過ごす1泊2日の具体的な流れを、写真つきで説明しています。その後、宿泊体験に参加した方の感想として、参加者による手書きのコメントを60件以上掲載しています。
このような情報を掲載した結果、同社へのお問い合わせの中には、1度もお会いしたことのないお客様から「宿泊体験に参加したい」という質問もあるといいます。資料請求やお問い合わせに比べてハードルが高そうな宿泊体験の申し込みも、「詳細な説明」と「多くの参加者の声」によって、ウェブサイトだけで参加意欲を高められているようです。

2成功のポイントは「コンセプト」「ストーリー」の明確化

この他にも、ウェブ集客で成果を挙げている住宅会社は多く存在します。
愛知県名古屋市で年間24棟限定の家づくりを手掛ける阿部建設は、今から12年前の2004年から、ウェブ集客の取り組みを本格化しました。全国の住宅会社でも、特に早い取り組みといえます。
自社サイトからの資料請求は、多い時で月10件前後にのぼり、そのうち半数がモデルハウスへの来場に至っています。サイト内のモデルハウス紹介ページを見ると、建物の写真やアクセスマップに加え、詳細な間取り図と、建物内の見どころも掲載しています。紹介されている「見どころ」は19ヶ所におよび、ページを見た人が自然とモデルハウスに足を運びたくなるよう工夫されています。

富山県富山市で年間50〜60棟の注文住宅を手掛ける正栄産業も、ウェブを経由した展示場への直接来場が多いといいます。
デザイン住宅を得意とする同社のサイトを見ると、100点を超える建築実例を掲載しています。いずれの事例も6枚程度の写真を掲載しており、デザインカタログをめくる感覚で、住まいのイメージを膨らませることができるページ構成です。
また、住宅ページと別に設けているサイト「SHOEI CHANNEL」は、住宅の情報だけではなく、同社グループが展開するインテリアショップや飲食店などの情報も掲載し、グループ全体の規模感を伝えています。スタッフによるおすすめのお店紹介や料理レシピなども掲載し、親しみの持てる会社というイメージを醸成しています。

阿部建設サイトイメージ

地域密着型の住宅会社による自社ウェブサイトの事例を、いくつかご紹介しました。
ウェブ集客で成果を出せている企業の共通点として、「自社サイトのコンセプトやストーリーを明確にしたうえで、サイト内で自社の特長を表現できている」という点が挙げられます。自社サイトを訪問したお客様に、どのようなイメージを持っていただき、最終的に何をして欲しいかという視点を持って、サイトの内容や構成を決めているのです。

現在、ウェブ集客で苦戦していると感じる方は、まず自社のウェブサイトを顧客目線で見直し、お客様へ伝えるべき自社の特長やメッセージが、正しく伝えられているのかを確認することから始めると良いでしょう。自社サイトは「コスト」や「デザイン」も大切ですが、それ以上に「コンセプト」と「ストーリー」が大切です。

正栄産業サイトイメージ

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 高田 宏幸さん)