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住宅関連 制度・マーケット情報

前回の消費増税後、先の読みにくい市況環境を背景に、大手住宅メーカーでは新商品の投入を控える傾向にありましたが、2017年4月に予定されている10%への消費増税が迫ってきたことで、ようやく商品投入の動きが見られ始めました。新商品の傾向として読み取れるのは、次の10%への消費増税駆け込みを見据えた比較的安い価格帯の規格型商品が多いということです。
規格型商品は、2014年4月に実施された前回の消費増税時にも、数多く投入されました。規格化されたプランを応用することで、商談の効率化やスピード対応を図り、少しでも多くの駆け込み客を取ろうという目的で、駆け込みによって動くと想定された若年ボリューム層へのアピールが見られました。駆け込みの対応により、若年一次取得者層を刈り取ったことで、しばらく規格型商品の投入は見られませんでしたが、次の増税が目前に迫ってきたことで、再び商品投入が見られ始めたという状況です。今回は、大手各社の規格型低価格商品のご紹介をします。

1「規格住宅」ではなく「企画住宅」としたミサワホームのこだわり

大手住宅メーカーの中で最も規格(企画)型商品に注力しているのがミサワホームです。同社では、間取り・仕様・設備の規格化を意味する「規格住宅」を、明確なコンセプトとそれを実現するための暮らし方を盛り込んだ「企画住宅」と表現しました。邸別設計による家づくりを標榜する大手メーカーが多い中、同社では「企画住宅」を住まいのプロが考え抜いた完成度の高い住宅と位置づけています。

ミサワホームを代表する企画型商品が、2002年に発売された「スマートスタイル」という商品です。発売から10年以上が経つロングセラー商品ですが、時代の流れに合わせ、これまでに何度もリニューアルが重ねられ、洗練された商品となっています。発売当時からシリーズの根底にあるテーマが、「プロの知恵と工夫」+「自分流へのカスタマイズ」です。

初めて家を建てる一次取得者をターゲットとしているため、住宅のプロが考えたプランをベースに、こだわりのある部分に関しては、存分にカスタマイズを楽しむことができるというアピールです。同コンセプトをベースとして、
・スマートスタイルB〜ベーシックな総2階、企画型定番商品
・スマートスタイルS〜ZEH対応(PV5.62kW以上で対応)、エコフォルム
・スマートスタイルH〜約3mの天井高のリビング
といったように豊富なラインアップを取り揃えています。
例えば、2015年10月に発売された新商品の「スマートスタイルH」は、約3mのリビング天井と、天井高までの高さのハイサイドサッシを採用し、開放的で広がりのある空間を提案しています。本体参考価格は2,358万円(税別)ということで、平均価格3,000万円台が中心のメーカー商品としては、値頃感のある価格が魅力となっています。

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2新工法で現地施工工数を削減して低価格化〜積水化学工業「グランツーユーf」

積水化学工業でも今年1月に、「セキスイハイム」45周年記念の第1弾商品として木質系「グランツーユーf」を投入しました。同商品のポイントは、2×6工法でありながら、2×4工法並みの価格を実現したという点です。
グランツーユーとは、同社の2×6ユニット工法を採用した住宅のブランド名です。高断熱仕様とすることが可能で、元々は2,000万円台後半から3,000万円台を狙った商品でしたが、新工法の導入や施工工数の削減によるコストダウンを図り、坪価格を62.5万円からに抑えています。延べ床面積は30〜40坪程度の61プランということで、本体価格で2,000万円台前半となってくると見られます。
コストダウンのポイントは、新工法の導入による販売・設計・工場生産・建築現場までの全工程の効率化と省力化です。ユニット構造の剛性を大きく向上させた構造体を導入したことで、これまで建築現場で行っていた天井パネルの微調整や、一部の内装・設備工事を工場内で行う事が可能となり、現場での施工工数は従来から約20%削減されたといいます。

さらに販売面では「セレクトオーダーシステム」として、お客様自身が、①プラン、②インテリアスタイル、③外装、④設備・仕様の流れでプランを選択していくことで、満足度の高い設計ができる点もアピールしています。これにより打ち合わせ回数を削減してコストダウンし、スピード対応を図ろうという狙いです。 さらに同商品のUA値は、0.5W/m²K以下を標準でクリアするレベルとしており、30歳代の世帯でも容易に取得できるZEH(ゼロエネルギーハウス)としても訴求されています。

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3大手メーカーが展開する在来系新ブランドにも注目

低価格商品という意味では、大手メーカーが新しく投入し始めている在来系商品にも注目が必要です。上記に挙げた商品は、工場で生産をするプレハブ工法の商品ですが、大手メーカー各社では、さらに下の価格帯を狙う在来工法の「新ブランド」を立ち上げるケースが目立っています。本体価格で、2,000万円前後からそれ以下の価格帯を狙ったものが基本で、住宅メーカーとして展開している価格帯よりも下の、ビルダーや工務店の市場を狙ったものとなっています。
例えば、ミサワホームは2009年よりMJ-WOODという在来工法の新ブランドを立ち上げており、既に年間1,000棟規模の販売ボリュームがあります。また、積水ハウスの子会社で施工部隊である積和建設では、2010年頃より「積和の木の家」として販売を開始しています。2016年度からは、資材の調達を集中的に担う組織を新設するといった動きもあり、いよいよ本格的に販売拡大を目指すものと見られます。

その他、パナホームでも2016年度より在来木造工法(オープン構法)へ参入することを発表しています。当面は坪単価100万円を超える高級注文住宅として展開するようで、2016年4月には駒沢展示場もオープンの予定としています。ただし、下の価格帯を狙った分譲事業についても在来木造工法での展開を予定しているとのことで、住宅メーカーの在来工法による低価格戦略が激化していくことが予想されます。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 和則さん)