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住宅関連 制度・マーケット情報

一次取得層が住宅の購入を検討する・業者選びをするときの最初の行動を想定してみます。初めから注文住宅を建てることを計画している場合は、総合展示場や完成見学会等で各社を比較検討して、業者選びを始めるのが一般的な行動と言えるでしょう。
しかし最近は、一次取得者の住まい方の選択肢は広がってきています。新築の戸建でも注文住宅と建売住宅がありますが、中古戸建住宅を購入してリフォームして住むというのも選択肢に入るようになってきました。それ以外にも、分譲マンション、中古マンション、戸建賃貸、親との同居リフォーム等、様々な住まい方が候補にあがります。
住まい方が定まっていなくて、必ずしも注文住宅が第一候補ではない場合は、最初の情報収集の場は展示場や見学会ではないはずです。今後は、様々な情報が集約されている複合型店舗や、不動産仲介店舗で情報収集を始めるエンドユーザーが増えるのではないかと推測されます。

最近では、社内に新たに不動産部門を設けるビルダーや、センチュリー21やハウスドゥなどの不動産FCに新規加盟する住宅会社が増えてきているように見受けられます。また、自社で不動産仲介の部門や店舗を持たない場合でも、地域の不動産業者との提携を強めることによって、土地情報を充実させ、紹介を増やすことができます。特に土地無し一次取得者をターゲットとしている住宅会社は、豊富な土地情報が武器となります。今回は、不動産仲介や業者との連携を強め、注文住宅の集客・受注に結びつけている地域ビルダーの事例をご紹介します。

1不動産業者からの紹介が受注の4割〜クリエイト礼文

山形県No.1の住宅会社であるクリエイト礼文は、県内では年間300棟弱を手掛け、戸建着工シェアの7〜8%を握っています。
同社の主力商品である「ユニテハウス」は、ガルバリウム外壁・キューブ型のシンプルな外観の、2×4工法の準規格住宅です。サイズごとに本体価格が決まっていて、屋根形状、外壁の色、窓の配置などを順に決めていき、スケルトンインフィル構造の2階の間取りは自由に設計でき、オプションを選択すれば総額が算出できるというわかりやすい商品です。価格は36坪・1,100万円〜で、オプション込みで平均は1,750万円。チラシ等には仲介土地と参考プランの総額を掲載し、アパートとそう変わらないローン月額をアピールして若年の土地無し一次取得層を掴んでいます。
集客の起点となるのは、加盟している不動産仲介のセンチュリー21の店舗。そこから隣接する「ユニテハウス」ショールーム、単独モデルハウスとガーデニング展示場、大型分譲地の3棟のモデルハウス、ショールーム併設のプレカット工場を、早いケースでは初回接客からその日のうちに案内するという流れを確立しています。

センチュリー21の店舗には賃貸住宅や中古住宅を探しに来る客も少なくありませんが、新築戸建以外の検討客にも、必ず新築のメリットを説明します。賃貸や中古を検討していた客が、数年後に同社で新築を建てるということもありますが、初回から新築の商談にスムーズに進むケースは多くはありません。
実は、同社の新築受注の大半を占めるのは紹介であり、4割は不動産業者からの紹介です。営業マンは、土日は展示場接客や管理客との商談を進めますが、平日は主に不動産業者を訪問し、土地情報の収集やコラボ販売の提案を行います。ユニテハウスの間口3間の基本サイズは最低42坪の敷地に収まるため、他社の建物を建てるよりも敷地を細かく分けてより多くの区画を販売できます。不動産業者が売り残している土地にユニテハウスを建てれば、区画数分の手数料で他社物件よりも多くの利益を出せるというメリットを訴求し、コラボ販売で地元の多くの不動産業者と関係性を築いています。
不動産業者からの紹介ルートを確立することで、山形10人、宮城4人の営業マンで、1人当り年間25棟超という高生産性を生んでいます。

2新規エリア開拓は不動産業者を味方につける〜秀光ビルド

石川県の秀光ビルドは、地元の北陸から近畿、東海へとエリアを拡大し、ローコストの新興勢力としては極めて速いスピードで急成長しています。最近では特に尼崎、東大阪、京都など近畿エリアでの出店が多く、会社全体の売上に占めるエリア別比率では、近畿が北陸を上回るようになりました。その要因は、地元北陸と、その他の新規出店エリアで異なるビジネスモデルを築いているからです。
新しいエリアに出る際には、まず地元の不動産会社を押さえに行きます。同社の注文住宅の平均価格は約1,300万円と安く、不動産業者が売り残している土地に秀光が建てて、周辺のローコストビルダーの建売物件よりも安い値付けで販売するというビジネスモデルとしています。
クリエイト礼文のコラボ分譲と異なるのは、不動産業者を協力店・代理店として、販売も一部委託しています。事前に地元の不動産業者を代理店として囲い込み、営業の本体が進出する前の準備室の段階で、先行して不動産業者に客付けをしてもらうため、新店舗を早期に軌道に乗せることができています。
また、新店舗の営業マンは現地での中途採用が多いですが、なるべく地元の不動産業者に顔が利く営業マンを採用するようにしています。

今回ご紹介した事例のように、不動産業者との関係性を強くすることで、集客の入り口を増やすことができ、紹介受注も期待できます。それだけでなく、今後の住宅市場はストックを活かす方向に進みます。中古住宅の流通に伴うリフォームの獲得を狙っていく上でも、不動産との連携を強化することは有効であると思われます。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 布施 哲朗さん)