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住宅関連 制度・マーケット情報

地球温暖化対策として、温室効果ガスの排出を抑制していくことは、世界中の大きな環境課題です。COP21のパリ協定で定められたように、日本では2030年度までに、温室効果ガスを13年度比で26%削減することを目標としています。中でも、家庭部門では4割の削減という高い目標が掲げられています。
その動きに伴い、国ではエネルギー消費がゼロ、またはマイナスになるゼロエネルギー住宅、いわゆるZEH(ゼッチ)の普及に力を入れ始めました。国が掲げるZEH普及の目標値は、2020年度の新築住宅において50%の達成です。その普及目標に向かって、昨年末にロードマップも敷かれ、今年度の補助金制度からは、ZEHビルダー登録制度や蓄電池補助金など、新たな仕組みとなってスタートしました。今年はZEH普及元年とも言える年になります。

1ZEH補助金のビルダー登録新制度がスタート

経産省によるゼロエネ住宅に対する補助金制度「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業(ZEH)」は、スタートから既に4年目になります。環境共創イニシアチブが事務局となり、補助金額は、その年によって異なります。補助金申請も先着順といったこともあり、ハウスメーカーが取得することが多かったというのも、従来の制度の特徴でした。
今年のZEH補助金は、1戸当り125万円の補助額となることが決まり、北海道等一部地域が該当する1、2地域の寒冷地特別外皮強化仕様(UA値0.25以下)の場合は1戸当り150万円と定められました。またその寒冷地においてはNearlyZEHにも125万円の補助金が出ます。現在、二次公募〜三次公募へかけての受付時期で、最終六次公募の締め切りは、今年の9月2日までとなります。

また今年度から同制度では、大きくは3つの変更点があります。
第一には、補助金を受けるためには、ZEHビルダーに登録することが条件になります。ZEHビルダーの登録をしないと補助金が申請できないというルールです。登録するためには、2020年の時点で普及率を50%まで持って行くという計画を立て、その目標値を年度ごとに示すこと。またそれを一般に公開し、更には結果も公表していくという条件が付けられています。4月22日、第1回目のZEHビルダーの登録業者が発表となり、大手ハウスメーカーから中小工務店まで、現在検索してみると1,000件を超えています。

第二には、予算枠以上に応募があった場合、性能評価点の高い順で補助金が付与されるということ。つまり基準を満たしても、相対的に性能が低ければ補助金はもらえないという仕組みです。年間一次エネルギー消費削減量が多い方が良いということですが、いわゆるUA値などの性能の高さが競われます。交付要件のUA値より20%以上断熱性能が高ければ、評価点が加算されますし、また新たな性能表示制度であるBELS認定を受けた物件や、高性能HEMSを搭載している場合も、ポイントが加点されます。

第三は、ZEH仕様を満たして、そこに蓄電池を導入した場合には、蓄電池用に最大50万円の補助が付加されるというものです。現在は蓄電池単体での補助金が出ないため、ZEHと合わせた蓄電池搭載という勧め方もあるでしょう。

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2今年度は10〜20%のZEH普及目標、5年後で50%が中心

ZEH補助金制度の細かいところは、紙面に限りがあるため割愛しますが、今回は登録された住宅会社の目標値について見てみたいと思います。
まず住宅各社の目標値には大きなバラつきがあります。今回のZEHビルダー登録は、5年後の2020年度に50%をクリアするということが目標にすることが求められますから、特に無理をせずに最終50%を目標に置くところが目立ちましたが、一方では実現できるのかと思われるような高い数値目標を掲げるところもありました。

ビルダーの多くは、今年度の目標は10%足らずです。ハウスメーカーでも、住友林業やトヨタホームは、5%程度の達成に留めています。固めの数値と言えるでしょう。その他、固めと言えば、一条工務店もそうで、今年度目標は10%、最終目標も50%としています。同社の場合、性能値は非常に高いものが出せますが、太陽光の搭載のうち、全量買取が7割程度と高いことが、ZEHの妨げとなっているようです。ZEHの要件として、10kW以上の太陽光を載せる場合、余剰買取のみはZEHとして認め、全量買取は認められないということがあるためです。他の高性能ビルダーもそうかもしれませんが、大容量の場合は施主に全量買取かZEHを選んでもらうというやり方もあるでしょう。
その他木造住宅系で窓断熱などの性能を重視しているスウェーデンハウスも、UA値0.43を標準仕様で実現し、4kW弱の太陽光搭載でZEHを可能とします。ただ屋根形状も含めて創エネに頼り過ぎず、低めの目標値で最終50%超えに留めています。

大手ハウスメーカーでは、今年度は積水ハウスとセキスイハイムが高いZEH普及率を計画しています。中でもZEHといえば、積水ハウスが今もグリーンファースト・ゼロの高い採用率ということから、今年度目標を71%に定めています。同社はエネファームの搭載率が高いこともZEHにしやすい要因です。5年目標ではじわりと普及を進めて、2020年度の最終に80%まで持って行く計画です。
セキスイハイムは、今年度は30%と他社に比べれば高めの目標を出していますが、最終年度も65%と、かなり固めの数値目標としています。同社は従来までは、太陽光設置家庭の1年間の実測値におけるゼロエネ比率を発表しており、2015年度は家電込みのZEHでも32%を達成、NearlyZEHを含むと79%のZEH比率という数値を出していました。
今回のビルダー登録による目標値は固めですが、今後太陽光のFIT制度も縮小していくという中では、セキスイハイムは先を見据えた実力値に近い目標設定をしていると言えるでしょう。また同社では蓄電池搭載率も全体のうちの2〜3割と高く、ZEH補助金が大きなアドバンテージになりそうです。

いずれにしてもZEHビルダーに登録するということは、住宅業界にて攻めていく上で必要です。その武器が使えるのと使えないのでは全く違います。また無理だからとか、面倒だから登録していないとなると、省エネ住宅への取り組みの積極性が足りないという見られ方をされる可能性があります。数少ないせっかくの補助金制度には、積極的に取り組んでいくべきです。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 博計さん)