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住宅関連 制度・マーケット情報

住宅業界の最近のトレンドの一つに「スマート&ウェルネス住宅」があります。スマートとは、省エネ設備や、太陽光発電システムといった創エネ設備を組み合わせ、ICT技術(情報通信技術)を使って制御することでエネルギー効率の良い住宅を目指すもので、いわゆるスマートハウスの事を指します。
一方、ウェルネスとは「健康」を意味する言葉で、高齢者、障害者、子育て世帯など多様な世代が、安全・安心・健康に暮らすことを目標としたもので、これをスマートハウスに組み込んだものを「スマート&ウェルネス住宅」と呼びます。国の方でもこれを推進していくために、2014年に「スマートウェルネス住宅等推進モデル事業」を創設し、優れた提案に対して補助金を出すなどして普及に努めています。
このような動きを背景に大手住宅メーカーでは、住まう人の健康を考慮した商品を投入しています。その傾向をまとめると、

・建材から発生する「化学物質」の抑制〜シックハウス症候群等への対策
・室外から「有害物質」を取り込まない〜PM2.5(微粒子状物質)、花粉
・空調で快適な「温熱環境」をつくる〜ヒートショックの抑制

といった提案が見られます。従来、住宅内の安全というテーマでは、バリアフリーやユニバーサルデザインといったように、室内の段差をなくし事故やケガを未然に防ぐというものが多く見られましたが、最近ではこれに加えて室内の空気環境を整えることで、快適で健康に暮らすことができるという提案が進んでいます。

1独自基準の空気環境配慮仕様の採用率が上昇〜積水ハウス

積水ハウスは住宅メーカーの中でも早くから室内の空気環境へのこだわりを訴求してきた会社で、2011年に空気環境配慮仕様「Airkis(エアキス)」を投入しています。これは、積水ハウス独自の基準をクリアした部材を使用した住宅の仕様の事です。
一般的に、住宅に使われる建材には、VOC(揮発性有機化合物)といった化学物質が含まれています。この中で、特に危険な有害物質として耳にすることが多いのがホルムアルデヒドで、建築基準法では同物質を発散する建材の使用が規制されています。一方、品確法の住宅性能表示制度ではさらに4つの化学物質(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン)が特定測定物質として定められており、濃度指針値を公表していますが、今のところこれらの物質に規制はありません。

スマートウェルネス イメージ

積水ハウスの「エアキス」仕様では、この5つの物質について国の指針の1/2以下とする独自の基準を設けることで、よりきれいな室内の空気環境を提案しています。同社では、体の小さな子どもほど、化学物質の影響を受けやすいとしており、子どもを基準に化学物質の低減を目指しているとのことです。
2011年投入時の採用率は67.4%でしたが、年々採用率を伸ばしており、2015年度は85.5%に達しています。

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2空気コントロール技術とPM0.5対応のHEPAフィルター搭載〜パナホーム

パナホームは、「エコ」を主力テーマとしている会社ですが、最近では「ウェルネス」というテーマにも力を入れています。同社の商品には「ピュアテック」という空気環境をコントロールするオリジナル技術が採用されています。これは、床下の澄んだ空気を室内に循環させるもので、地熱を活用することで、夏は涼しく、冬は暖かい空気を取り入れることで室内を快適に保ち、同時に冷暖房負荷を抑えるものです。
さらに2014年以降に発売された商品では、「エコナビ搭載換気システムHEPA+(プラス)」としてシステムの進化を図りました。中国大陸からの飛来物質として話題となったPM2.5(2.5μm以下の微粒子状物質)よりもさらに小さい0.3μmの微粒子を99.97%除去できる「HEPAフィルター」を搭載することで、きれいな空気を吸気するとアピールしています。

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また2016年4月に発売した主力商品NEW「CASART(カサート)」では、建材などから発生する化学物質の室内濃度において国際的な基準をクリアしたことをアピールし始めています。規制値・指針値が設定されていない300を超えるVOCに対して基準値を設定し、米国の第三者安全科学機関UL Inc.によるお墨付きをもらうことで安全性をアピールしています。このようにパナホームでは、家の内部からも外部からもアレルゲンを抑制して健康に配慮するというアピールを進めています。

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3室内の温度差を無くしヒートショックを抑制する〜積水化学工業

住宅内に潜む危険は、建材に含まれる化学物質や、外から入って来る微粒子物質だけではありません。居室間の温度差により心筋梗塞や脳出血といった症状を引き起こすヒートショックによる突然死が、高齢者の増加とともに増えていると言われています。
これに対し、積水化学工業では独自の空調システム「快適エアリー」により、ヒートショックを抑制し、安全かつ快適な空気環境を実現すると訴求しています。これは、鉄骨系商品の7割程度に採用(2014年度)されているもので、同社を代表する付加価値設備でもあります。同設備は1階の床下に、換気システムと空調(ヒートポンプ式冷暖房)を設置して、床下の上質な空気を住まい全体に供給するものですが、換気だけではなく空調も兼ねているため、住まい全体の温度差を少なくしヒートショックの不安を低減するというアピールに繋がります。

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また、同社ならではの切り口として見られるのが、LCC(ライフサイクルコスト)と絡めた説明です。今年4月以降に搭載された新機能として、HEMSによる空調システムの省エネ運転制御を訴求しています。換気システムは24時間動かすことが基本であり、ユーザーが気になるのが光熱費の問題です。新しいシステムでは、翌日の天気予報を基に運転方法をコントロールする機能を搭載しており、設備に任せるだけで自動的に「快適エアリー」を制御するとして、光熱費に対する不安を取り除いています。このようにICT技術も上手く活用しながらスマート&ウェルネス住宅を実現させています。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 和則さん)