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住宅関連 制度・マーケット情報

テレビや雑誌、WEB等のメディアで「DIY」という言葉を目にすることが多くなりました。芸能人がDIYで家具やインテリア雑貨を制作・リメイクする内容のテレビ番組や、DIY商品を訴求するショッピングサイト等が増えてきているのではないでしょうか。
最近では、若い人たちを中心に「DIY」への関心が高まっているようです。リクルートの調査によると、DIYに対して、高齢層ほど「特別な道具が必要」「技術の習得が必要」といった、ややハードルが高いイメージを持っています。その一方で20代、30代は「おしゃれ・かわいい・かっこいい」「楽しい・ワクワク」というイメージを持ち、より身近なものと捉えているようです。

1DIYのメリットは、満足やコスト

DIYをすることのユーザーのメリットとしては、

①既製品ではない自分好みのものを選べる
②自分でやることで、充実感・達成感がある
③業者に依頼するよりも価格を安く抑えられる

といったことが考えられます。
特に③の価格を抑えられるということは、無駄にお金をかけない、背伸びをしない現代の若者世代のニーズに合致しているのかもしれません。実際に、注文住宅やリフォームに使用される住宅設備や建材の一部は、ホームセンターや家電量販店でも購入し、取り付けることができます。インターネットの普及によって、住宅会社が提案する設備・建材と同じものを、より安く売っているところを簡単に調べることができるようになり、「おしゃれ・かわいい・かっこいい」商品も増えたのではないでしょうか。

DIY イメージ

DIYは新築戸建よりも、アパート、リフォームで浸透しています。
アパートでは、国交省が「借主負担DIY型」の賃貸借契約のガイドラインを設けました。貸主は原則として、入居前や入居中の修繕の義務を負わず、その代わりに借主は自己負担で修繕や模様替えを行うことができ、借主がDIY等で変更を加えた箇所については、退去時に原状回復義務を負わないという内容です。これまでは自由に手を加えられなかった賃貸住宅に、DIYで自ら手を施して自分なりに快適に住まうというスタイルが、若い年代に定着していくかもしれません。すでにDIY可能な賃貸物件は多数流通しています。
リフォーム業界では、DIY商材を販売することで潜在的なリフォーム需要を掘り起こすような戦略を取るリフォーム業者が増えてきました。自分でできることはDIYで楽しく、安く手を施し、手に負えない部分は業者に任せてもらうといったリフォーム提案は需要が高まりそうです。
次に、新築戸建住宅の集客・営業でも、DIYをキーワードとして顧客とつながっている事例をご紹介します。

2詳細メニューで、自分で仕上げる箇所を選べる仕様〜小川建美

岡山県の小川建美は「DIYホーム」を自社のブランドとし、施主のワガママを低価格で叶える家づくりで、30代を中心としたこだわり層を掴んでいます。
同社の掲げる「DIYホーム」は、DIYもできるぐらいに自由度が高いという意味です。標準仕様はありません。その代りに、選べる屋根、外壁、床材等のバリエーションが豊富で、その一つ一つの個数やm2の単価が明記されているメニュー表を設けています。メニューには収納の棚板1枚からあらゆる部位が記載され、珪藻土や無垢床材などの自然素材を多く揃えているのが特徴です。
基本的にはこのメニュー表の中から仕様を選んで行きますが、インテリアコーディネーターが施主の要望を聞き取って、メニューには無い建材や設備も探してきて提案します。施主が雑誌や店舗で見かけたものを付けたいという相談にも応じます。施主が自分で購入した建材・設備を使う、施主支給による施工も推奨しています。

DIY イメージ

メニュー表によって各箇所の価格が明快であるため、総額を抑えるために、施工を任せる箇所と、施主が自分で仕上げる箇所を選びやすいというメリットもあります。造作収納の取っ手や棚、コンセントプレートの取り付けなどの簡単な作業は、施主がDIYで仕上げることも多く、構造材をそのまま仕上げ材とすることでもコストダウンしているため、家族の思い出づくりも兼ねて、内装のクロス貼りや珪藻土塗りをDIYで行う施主も少なくないといいます。自由な発想で価格を抑えた家づくりを「DIY」というキーワードで上手く訴求している事例ではないでしょうか。

2常設モデルで集めて見学会で具体化〜大鎮キムラ建設

内装の仕上げ等、新築の施工と同時並行で施主が行うDIYの場合、手を貸してくれる工事担当者や職人が現場にいて、部資材や道工具も住宅会社側が用意しておくことができます。一方、引き渡し後に施主が住まいながらDIYで自宅に手を加えていきたい場合は、専門的な知識や技術がなく、道工具も自前で揃えるのはハードルが高いです。
このようなニーズに応えるため、北海道の大鎮キムラ建設では、本社ショールームに併設する形で「DIY工房」を設けました。工房には現場で出た廃材や道工具が置かれ、OB客はそれらを自由に使ってDIYや日曜大工ができるように、工房を開放しています。同社では自社で大工の採用・育成も行っているため、事前予約で時間の折り合いが付けば、大工の手を借りたり、DIYのアドバイスを受けることもできます。
DIYを接点としたOB客との関係強化は、住まいの不具合の早期発見やリフォーム受注、顧客紹介につながる可能性もあります。同社の取組は、基本的にはOB客の満足向上を目的としていますが、家具や雑貨を作る木工教室を定期的に開催して、OB客以外の一般客も集客しています。将来の新築客との接点を持つ入り口として、DIYを活用しているということです。

DIY イメージ

新築で建てた家でも、DIYによって楽しく、安く住まいを変化させていくことができます。新築の会社がDIY商材を供給することは、顧客との接点を持ち続けるのに有効な手段の一つとなるかもしれません。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 布施 哲朗さん)