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住宅関連 制度・マーケット情報

10%への消費増税が2年半先送りとなり、住宅業界にとっては今年予想された駆け込みと反動減という激動はなくなりました。ただ住宅着工の減少期を先送りしたということには違いなく、次の増税後に新築市場の縮小のスピードは速まると思われます。
これから3年間、次の増税前の駆け込みが始まるまでは、新築市場は大きな変化がない動きを見せると思われます。低金利の後押しもあって、ある意味まずまずの安定的な市場を維持できると見られますが、やはりその後の新築市場のことを考えると、ストックビジネスや高齢者ビジネスなど、今から新築以外の事業の柱を育てておく必要があります。次の増税後の準備をこの間に整えておくべきです。

1これから3年は安定した新築着工となるか?

2015年度の住宅着工は92万戸と、予想以上の実績となったと思います。持家も回復はしましたが、大きく着工を牽引したのは、低層アパートでした。相続税の改正、また過去最低を更新してきた低金利により、利回りが上昇したことなどで賃貸のニーズが高まったことによります。
今年度に入って、よりスピード感を持って住宅ローン金利も過去最低を更新中で、今年8月のフラット35Sの金利は0.90%と、1%を大きく割っています。2016年度の住宅着工は消費税増税が先送りになったことにより、駆け込みはなくなりましたが、この低金利の後押しにより、住宅市場は依然として買い時感は落ちていないと見て良いでしょう。

2016年度6月までの第1四半期を見ると、大手ハウスメーカーの受注は必ずしも良いとは言えませんが、着工ベースでの持家は2.1%と前年を上回るペースを維持し、また総合展示場などの集客数自体は前年よりも良いと言います。持家に関しては、今年度は熊本の震災の復興需要もあるでしょうから、30万戸近くまで回復するかもしれません。
建売分譲の着工も好調で二桁増というペース。多少駆け込みによる動きもあり、また業者側でもある程度仕込んだ物件が低金利の影響もあって売れているということかもしれません。今年度の着工の滑り出しはまずまずでしょう。

賃貸の方はリーマンショック後に着工を伸ばし続けていて、そろそろ着工の過剰感も出て来ているという見られ方もしています。ただ2013年度までの空室率は増えておらず、建て替え時の築古物件が多いことも事実です。都市部の好立地建て替えが起こる上では、大きな空き家問題にはならないと見られます。それでも相続絡みの需要はある程度一巡してきていると思われますし、ローン金利が上昇ともなれば再び着工は鈍ると見られます。
2016年度は6月までの第1四半期では貸家着工は11%の増加と、前年を大きく上回っています。今後受注は多少鈍ってきたとしても、これまで順調に受注が推移して来た受注残が結構あることから、今年度も貸家着工はプラスで推移すると予測されます。おそらく低層アパートだけで27万戸は突破してきそうです。
マンションの着工はマイナスになると予測しても、着工全体では91.5万戸レベル、2015年度と同じくらいの着工と見ても良いでしょう。

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2新築ニーズの次の施策を考えよ

2017年度は多少賃貸の減少があると見られることから、やや着工は落ちて85万戸内外に落ちるかもしれません。増税はなかったものの、低金利を背景に、2016年度には少し需要の先食いが起こる可能性もあります。次の増税前駆け込みへの狭間でもあり、持家も多少落ち込むと見られます。
そして2018年度には増税前駆け込みが起こることから、最後の盛り上がりを見せると思われます。2019年3月に向けて注文住宅の駆け込みが起こることから、2018年度までは反動減の影響は受けません。久しぶりに30万戸を超えてくると思われます。
貸家は多少一巡もあって、持家が牽引役になるでしょう。それでも93万戸レベルではないかと見られ、前回の増税前である2013年度ほどの着工までは行かないと見られます。今後3年間は安定的ともいえ、85〜95万戸といった着工は見込めるでしょう。

この安定的な市場の動向と共に進んでいくのが、人口の減少と既存住宅流通市場へのシフトです。人口の減少は既に始まっていることで、特に若年層が減り、高齢化が進みながらの人口減少です。住宅需要発生率はますます低下の方向で動きます。
そして今、国の政策もそうですが、ストックを活用しようという動きが活発になっています。良質な新築住宅を増やすのも重要ですが、良質な既存住宅の価値を維持し、うまく流通していく市場が求められています。若年層だけではなく、新築ではなく既存住宅を含めて住宅購入を検討する層も確実に増えていると思われます。

2019年度の新築住宅市場は、受注は反動減からのスタート、着工でも駆け込みの影響と反動減の影響が同時に来ることになります。持家市場を始め、急激な着工減が襲ってくることになるでしょう。
次の増税後に新築着工が増えるという見込みはほぼありません。新築市場だけで事業展開している住宅会社にとっては厳しい市場環境になることは、容易に想像が出来ることです。

今後3年間の比較的安定した市場が見込める間に、増税後に新築以外でどう稼ぐかという対策を立てておく必要があります。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 博計さん)