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住宅関連 制度・マーケット情報

住宅営業は地場産業であり、地域密着が基本戦略となります。全国展開している大手ハウスメーカー以上に、「地域密着」を経営方針として掲げているビルダー・工務店は多いのではないでしょうか。ただし、単に地元で長く事業を続けているだけでは、「地域密着」とは言えないかもしれません。例えば、アンケートで「地元エリアで家を建てている住宅会社の名前を挙げてください」と聞いたときに、テレビでCMをやっていて誰もが名前を知っているような大手と並んで、名前を挙げられる程度の知名度があれば、「地域に親しまれている」と言えるでしょう。そのためには、受注・着工棟数を増やして地元エリアでのシェアを高めることが第一ですが、それに加えて、地域における知名度を高める/地域密着を深める方法はいくつか考えられます。

  • ①広告宣伝を集中させる
    テレビなどのマス媒体を使った広告宣伝は、資金力のある大手ほどには経費を投下できませんが、ポスティングや立て看板、地元のフリーペーパーへの広告出稿などによってエリアを絞った広告宣伝を行うことで、地元での知名度を高められます。
  • ②OB客のフォロー
    地域密着型の住宅会社にとって、口コミは一番の広告宣伝となります。自社で建ててくれたOB客のアフター対応を徹底し、OB客に喜ばれるようなサービスを提供し続けることでファン化できれば、口コミ効果が期待できます。
  • ③地域貢献・社会貢献活動
    地域の清掃や山林の保護などの貢献活動を行っている住宅会社は少なくありません。地元スポーツチームのスポンサーやお祭りなどのイベントへの協賛も、地域を盛り上げる地元企業ならではの取組と言えます。
  • ④地域コミュニティの創出
    地域住民が集まって交流することができるサークルや教室、場所を作ることでコミュニティを創出し、地元企業としての価値を高めます。
  • ⑤地域の異業種との交流
    住宅を建てるエンドユーザーだけでなく、同エリア内の異業種他社との交流を深め、地域住民へのアピールで協力し合うことができます。

このように、地域密着を深めるには様々な方法がありますが、今回は⑤の地域の異業種他社を巻き込んだイベントの事例をご紹介します。

1朝市イベントを毎月開催〜鷲見製材

岐阜県岐阜市の鷲見製材は昭和3年に郡上市で製材業として創業し、住宅事業を開始したのが平成10年。現在は年間50棟内外を手掛けています。
主力の営業拠点である「ひだまりの森展示場」は、事務所棟と打ち合わせ棟、モデルハウス2棟の計4棟で構成され、敷地内には池や築山を設けてエクステリアも含めたトータルの空間提案を見せます。ただし、同社ではここで住宅購入を具体的に考える新規客を集めることにはあまりこだわっていません。重視しているのは、この展示場や各地で行うイベントに将来客を呼び込んで、時間をかけてファン化することです。
「ひだまりの森展示場」で行う定期イベントの「暮らしの学校」では、子供向けに絵本の読み聞かせや工作教室、農業体験、主婦向けにクラフト教室などを開講し、毎回10〜20組を集めています。毎月8日には朝市のような形式で、地域の生産者やアーティストが農作物や作品を販売する「ひだまり市」を開催しています。

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出展者は徐々に増え、現在は毎回約50店舗が出展します。出展者は自分で作った作物、商品を販売する場所を毎月確保でき、鷲見製材は住宅の顧客になり得る将来客を囲い込むことができる、ウィンウィンの関係を築いています。いずれかのイベントをきっかけに同社を知り、友人同士の間で口コミで評判が広がり、それぞれのイベントにリピートで参加する客が増えているそうです。

2お祭りイベント→分譲地オープニングイベント〜増木工業

埼玉県新座市の増木工業は、創業144年の老舗ビルダーです。今年4月には、本社前の広い駐車場で、同社としては初となる地域密着型お祭りイベント「暮らし、ツナガル展」を土日2日間で開催しました。会場内には住宅の紹介コーナーを設け、社長による家づくりセミナーも行いましたが、その場で具体的な商談のアポに結びつけるよりも来場者に楽しんでもらうことを目的として、地元で有名なパン屋や雑貨屋、ドリップコーヒーが有名なカフェ等の出展を募り、物販を行うなどの様々な仕掛けを用意しました。
この「暮らし、ツナガル展」は、翌月に販売を開始した分譲地のオープニングイベントの集客につなげることが目的でした。分譲地のオープニングイベントでも「暮らし、ツナガル展」に出展していた店舗の協力によって、パンの販売や家具の展示、ドリップコーヒーでもてなすことで、来場客のほとんどと着座商談ができ、早期完売につながったそうです。
増木工業では本社ビルの一部はフリースペースの「あすかカルチャー館」として地域に開放しています。地元の「大江戸新座祭り」の主催・運営も行い、地域の子供たち向けに夏休み中はラジオ体操も行っています。

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OB客感謝祭などの大きなイベントを年1回行っている住宅会社は多いと思いますが、近隣の飲食店や小売店に出店してもらうことで、新たな客層を集客できる可能性が広がります。このように周辺の異業種他社との連携を強めることも、地域における自社の価値を高めることにつながるはずです。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 布施 哲朗さん)