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住宅関連 制度・マーケット情報

今の住宅業界は、マイナス金利の影響で市場が何とかもっているという雰囲気があります。住宅ローン金利がフラット35Sで1%そこそこと、史上最低金利水準であることが購入の後押しとなっているというわけです。
賃貸市場が良いのも、相続税改正後、その対策としてニーズが活発化していることもありますが、やはり低金利により、利回りのメリットが増すという要因があります。
そして不動産業界においても、マイナス金利の影響で、お金の向かう先の一つとして、不動産市場に流れてきていることがあります。銀行の不動産向け新規貸出規模も10兆円超えとバブル期を超えた水準にも達しており、不動産バブルの懸念もささやかれています。
不動産価格は今年、9年ぶりに基準地価で全国の商業地がわずかにプラスに転じました。今の住宅・不動産業界は、何かの転換点にあるかもしれません。

1基準地価が商業地で下げ止まる?都市部上昇も頭打ち?

国土交通省が20日発表した2016年7月1日時点の基準地価は、全国商業地の地価下落が止まり、前年比0.005%のプラスとわずかながらですが、9年ぶりに上昇しました。この要因としては、訪日外国人が増え続けていることで、店舗やホテル用の地価が上がったということ。またマイナス金利の影響により、マネーが地方の中核都市に流れ込んだこともあるようです。地方全体では地価は下落を続けていますが、札幌、仙台、広島、福岡4都市の商業地上昇率は6.7%と、三大都市圏の2.9%を大きく上回る結果となりました。

一方、全国の住宅地ではまだ下落は続いています。下落率は小さくなっていて、2016年は0.8%の下落とはなりましたが、地方のローカルエリアの下落は続き、都市圏が上昇基調で推移しているということには違いありません。例えば秋田県は住宅地が3.4%、商業地が3.8%のマイナスとなりました。人口減少や高齢化が全国でもっとも進んでいるということもあり、地価の下落率も全国1位となっています。
同じ地方でも、お金の流入しやすい地方4都市では住宅地でも2.5%上昇と4年連続上がり、上昇幅を広げています。仙台は震災以降、住宅地価は上がっていますが、2016年は4.5%上昇と前年の3.6%よりも上昇幅は上がりました。福岡市も2.9%上昇、前年は横這いだった広島市も1.3%上昇しました。つまり三大都市や地方有力都市部と、地方のローカル地域の地価の二極化、乖離は年々進んでいるということになります。

ただ都市部の地価上昇も、頭打ち感も出て来ているとも見られています。三大都市圏は0.4%上昇と上昇率は前年と変わりはなく、東京圏も0.5%上昇と前年と変わりません。大阪は横這いを維持。そして名古屋圏の上昇率は0.5%と前年の0.7%と比べて鈍化しました。また住宅地が上昇した都道府県は前年の8つあったものが、5つに減りました。

では一体、地価は今後どうなるのでしょうか。今後も都市部ではある程度の上昇はあると見られますが、主要都市以外の地方エリアで地価が上がっていくということはないでしょう。人口も減少していく中では地価が上がりようがありません。それでは都市部はどうかというと、基準地価でも出ているように、上昇の勢いが鈍くなっています。投資用の不動産の利回りは落ちて来ており、不動産価格は調整局面を迎えているとも言われます。

実際に首都圏の新築マンションは高くなり過ぎました。2013年の半ばくらいには平均価格が4,500万円程度であったものが、5,700万円程度にまで上がって来ています。都内では6,000万円、7,000万円台という価格です。もはや一般的に購入できる単価ではなく、実需ではなくなって来ていると見られます。
新築マンションは価格が上がり過ぎたこともあり、足元では価格が下がる気配も見せ始めています。マンション価格の推移を見ると、2015年6月以降1年間に亘って、首都圏のマンション価格は前年対比で上がり続けて来ましたが、今年6〜8月の3ヶ月は前年比でマイナスです。価格調整が入って来ているという見方もあります。

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2中古マンションと新築マンションが逆転するかもしれない

中古マンションの価格も右肩上がりで、2013年の半ばから比べると2割程上昇しています。直近8月の首都圏にて成約した中古マンションの平均価格は3,009万円、前年同期比で6.3%上昇です。東京都物件は3,748万円で7.0%上昇。中古マンションに関しては、まだ価格は上昇基調にあると言えそうです。
ただ地価の動向の方向性は、上昇基調から調整局面へと、変化を始めていると言えます。新築が下落を始めれば、中古マンション価格もそろそろ頭打ちになるかもしれないと見ても良いのかもしれません。

さてここで、住宅業界において、一つの変化が起きてきそうな気配です。中古マンションの価格は上昇基調が続いていますが、成約件数に関しても前年比で増加基調が続いていて、1月〜8月までの累計で24,722戸となりました。前年比で4.7%増加しています。このまま行くと前年を上回る成約件数となりそうで、仮に5%程度の増加ということになりますと、成約件数は36,500戸程になる見込みです。
一方で新築マンションの発売戸数が前年を大きく下回っている状況が続いています。2〜3割のマイナス月もあり、8月までの累計では2万戸に届かず、前年対比で2割強の減少になっています。このまま行けば2016年の首都圏マンション供給は、前年を大きく下回り、35,000戸を割ってくるのではないかと思えます。
中古マンションの成約件数の増加と、新築マンションの減少が現状のように続けば、今年2016年という年は、首都圏において新築マンションと中古マンションの戸数自体が逆転する可能性もあるわけです。新築からストックへという動きが進んでいることは確かですが、もしかしたらその象徴のような逆転現象が近いのかもしれません。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 博計さん)