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住宅関連 制度・マーケット情報

これまで、このメールマガジンでは、地域ビルダーを中心とした新築住宅のウェブ集客事例を紹介しました。今回は、リフォーム会社のウェブ集客事例をご紹介します。

まずご説明しておきたいのは、リフォーム業界は、新築業界とはウェブ集客の事情がやや異なるということです。
新築が自社サイトやポータルサイト(HOME'S・SUUMOなど)での資料請求獲得がメインであるのに対し、リフォームでは「マッチングサイト」と呼ばれる、ウェブ上でリフォーム検討者とリフォーム会社が商談を行うサービスが広く利用されています。マッチングサイト最大手の「ホームプロ」に参加するリフォーム会社は1,000社を超え、発注に至った工事は227億円(2015年度)にのぼっています。消費者・企業の双方で、このようなサイトが一定の支持を集め、利用されていることがお分かりいただけるかと思います。
このようなサイトが発達しているリフォーム業界では、新築に比べてウェブでの受注獲得に前向きな企業が多く、ウェブ上での接客スキルも高いようです。その一方で、マッチングサイトでの受注は好調であるものの、自社サイトでの反響・商談獲得に苦戦しているケースが少なくありません。
今回は、このような状況下においても、自社サイトでの反響獲得が好調であるリフォーム会社を2つご紹介します。

1リノベーションを明快に解説、30代中心に支持獲得〜リノベる

東京都渋谷区に本社を構えるリノベるは、住宅購入の検討客に対し、中古物件探し・リノベーション工事の設計施工・資金計画をワンストップで提供するサービスを展開しています。2010年の設立以来、20代から40代を中心に支持を集め、年間工事件数は400件(2015年度)と、この2年間で約3.6倍に増加しています。店舗数も着実に増加しており、現在ではFC店も含め全国22店舗に拡大しています。
同社の集客の要となっているのが自社のウェブサイトで、顧客の大半を占めています。制作は自社内で行っており、デザイナー・プログラマー・ライターなどで構成するウェブマーケティング専任チームが運営しています。
サイト内には非常に豊富なコンテンツが用意されていますが、各コンテンツに共通しているのは、「30代を中心とする一次取得層に対して、リノベーションの特長や自社の特長を、いかに分かりやすく伝えるか?」という考え方です。

例えば、はじめてサイトに訪問したお客様を対象とするページには、自社のサービスの内容やメリットを紹介するだけでなく、「賃貸vs購入」「新築vs中古リノベ」など、住宅購入の検討段階にある方にとって気になるポイントをピックアップし、比較検討のポイントや中古リノベーションのメリットを解説しています。自社のメリットをより明快に伝えるため、文章ではなくマンガで説明するコンテンツも設けられています。
また、中古物件紹介のページも、一般的な物件紹介とは一線を画しています。通常の物件概要に加えて、物件を印象付けるキャッチコピー・物件担当者の推薦コメント・周辺施設の写真紹介などが並んでおり、一般的な不動産情報サイトを大きく上回る情報を掲載しています。これらの情報が、各中古物件の魅力をお客様へ強く印象づける役割も果たしているようです。多くのお客様が関心を持つ価格面においても、各エリアの相場情報をサイト内に掲載するなど、積極的な情報公開を図っています。
「リノベーション」という言葉は、最近は一般の住宅購入検討者にも知名度が上昇していますが、詳しい内容が分からず不安を覚えるお客様も少なくありません。リノベるのサイトは、まずリノベーションの全体像を伝えて、その後に自社のメリットや豊富な情報を見せることで、ウェブだけで自社のファンを創出し、資料請求・来店に至るための工夫が施されていると言えます。

27年間欠かさないブログ更新、60・70代の反響獲得〜ナイスさんいん

鳥取県米子市のナイスさんいんは、本社から車で60分以内の範囲(鳥取県西部〜島根県東部)を営業エリアとする、地域密着型のリフォーム会社です。2016年8月期の売上は5億円に迫り、県内のリフォーム専門会社としてはトップクラスです。
この会社では、OBのお客様との密なリレーション構築で継続的な受注を獲得する一方で、新規のお客様獲得は、チラシではなく自社サイトで行っています。自社サイトからは週に少なくとも1件以上の問い合わせがあり、全面改修や水回り改修などの、比較的大きな案件が多いようです。
また、ウェブ経由の反響で多いのが、60代・70代のお客様。サイトを見て電話で問い合わせるお客様が多いといいます。同社の矢田代表は「50代後半より上の世代は、ワードやエクセルを使うのは苦手という方が多いかもしれないが、ウェブの閲覧や情報収集には抵抗は無い」と話します。実際、総務省の通信利用動向調査などを見ても、近年は60代・70代のウェブ利用率が上昇していており、この層のお客様に上手くアプローチできていると言えます。

同社のサイトを見ると、前述のリノベるとは切り口が異なるものの、やはり「自社を丁寧に説明する」というスタンスは変わりません。例えば「サービスガイド」のページでは、自社の対応エリアや対応可能な工事に加え、工事価格の例なども掲載しています。また、100点以上のリフォーム事例紹介や各種コラム、自社の創業ストーリーなど、そのページ数は約500ページにのぼります。
さらに、トップページ上部からリンクされている「社長ブログ」は、2004年に開設され、2009年以降の7年間は、ほぼ毎日欠かすことなく更新を続けています。ブログの内容で多いのは自社の施工事例紹介で、ただ施工写真を載せるだけではなく、リフォーム業界で50年近い実績を持つ社長自身の考え方や工夫点を交えて紹介しています。
ブログの累計アクセス数は38万件を超え、お問い合わせするお客様も、多くがこのブログを読んでいるということです。
リフォーム・新築を問わず「地域密着の会社はウェブ集客に向かない」と考える会社は少なくありません。しかし、実際に住宅の情報を探しているお客様は、地域・世代を問わず、ウェブで情報を探しています。これらのお客様を自社のファンにするためには、ウェブ上での的確かつ積極的な情報発信が欠かせません。同社の事例が、そのことを如実に示していると言えるでしょう。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 高田 宏幸さん)