戸建住宅関連企業さま向け情報

住宅&住宅設備トレンドウォッチTOPへ戻る

印刷用PDF
住宅関連 制度・マーケット情報

モデルハウスや完成見学会での集客を起点として、商談のステップを進めている住宅会社は多くあります。まずは建物を見てもらいながら自社の特徴を説明し、そこから着座商談に進むという流れです。
商談客との最初の接点はモデルハウス・見学会という住宅会社は多いですが、果たしてすべての住宅購入検討者が、まず初めに建物を見たいのでしょうか?建売住宅の場合は、まずは実際に購入することを検討する建物を見たいというのは当然です。注文住宅の場合でも、その会社がどんな建物を建てるのかを見たいという要望はあるでしょうが、モデルハウスも他の施主が建てた完成邸も、そのままの家を建てるわけではなく、あくまでプランやデザインの参考の一つです。
注文住宅を検討している客は、建物を見る以外にも、最初にやりたいことがあるはずです。それは相談=営業マンと話すことです。

  • ・自分はこんな家を建てたいと思っているが、それが叶うのか
  • ・自分の自己資金、年収だと、どのくらいの予算でどんな家が建てられるか
  • ・この会社はどういう会社か

など、建物を見る前に、住宅会社から聞いておきたい・教えてもらいたいこと、逆に住宅会社に伝えたいことがあるはずです。このような要望に対応する“相談会”で集客し、プランづくりの流れの中で、“完成見学会”として建物を見せるという商談の進め方で上手くいっているビルダーの事例をご紹介します。

1設計士が友達の相談を受けるスタンスで初回接客〜コラボハウス

愛媛県の地場ビルダーNo.1のコラボハウスのコンセプトは「設計士とつくるデザイナーズ住宅」。ターゲットは、ハウスメーカーや設計事務所で望み通りの家をつくると予算に合わない、ローコストビルダーや工務店のデザインでは満足できないという客層です。過剰にデザインに凝るのではなく、設計の少しの工夫によるシンプルで行き過ぎないデザインで差別化しています。
常設のモデルハウスは無く、完成見学会もほとんど行いません。随時受け付けている「無料相談会」のみで集客しています。
相談会を行うショールームは幹線道路沿いの立地で、ガラス張りで外から店内の設えやキッズスペースの遊具が見えるようにしています。保育士の資格を持つ女性スタッフ5名を設計アシスタントとして社員登用し、週末にはアルバイトも合わせて各店舗2〜3名の保育士が常駐するようにして、子育て世代の来場客が住宅の相談に集中できるようにしています。

商談イメージ

設計士の服装はスーツではなく私服です。ショールーム内は決まったデスクがなく、接客している以外のスタッフは、各自が空いている打ち合わせテーブルにノートPCを広げて日常業務を行うことで、来場客に身近に感じてもらいます。
まずはショールームに気軽に相談に来てもらうことを最優先し、そのために様々な方法で来場のハードルを下げているということです。
そして、建築士の資格を持つ設計士が、土地選びや予算のことがわからない友達にアドバイスをするというスタンスで家づくりの相談に応え、聞かれるまで自社の売り込みはしません。初回からの相談相手である設計士がヒアリング、プランニング、クロージングまでを一貫して担当することが「設計士とつくるデザイナーズ住宅」の根幹であり、満足度の高いプラン提案につながっています。完成見学会は、プランづくりの参考として、商談客を案内するという位置づけです。
2008年設立のまだ若い会社ですが、この集客〜営業の進め方が上手く機能したことで、短期間で県No.1まで成長しています。

2相談会で予算を先に決め、プランに落とし込む〜プライムハウス

秋田県のプライムハウスは、土地無し一次取得者をターゲットとして、コンパクトで低価格な家づくりで、家だけではなく、趣味や子供の教育などにお金をかけられる暮らし方を提案しています。キャッチコピーは「アナタにちょうどいい家」。平均価格は外構や地盤調査も合わせて約1600万円。ローコストを売りにする他社と比較しても、省エネ基準等級4の性能や設備は見劣りせず、コスパの高さで差別化し、急成長しているビルダーです。
同社の集客も、毎月2回開催する住宅相談会のみです。チラシや地域のフリーペーパー、自社ホームページなどの媒体から、昨年2月に開設した2階建360坪のショールーム「おうちの情報館」で行う住宅相談会に集客します。初回接客では会社説明のムービーを見せて、無理のない支払計画で、建ててからの暮らしを大切にするという会社の理念を説明します。そして顧客カルテを作成し、ライフプランに合わせて総予算を立てて、土地探しとそこに当て嵌るプランの提案に進みます。自由設計ですが、そもそもこだわりの強い客が少なく、予算に見合う土地の広さや形状に収まるプランは限られるため、最初に提出したプランで決まることがほとんどです。予算を先に決めているため、オプションを加えることもほとんどありません。

商談イメージ

エリア内には常時見せられる分譲モデルを複数建てていますが、商談中の客にプランのイメージを確認してもらうために見せることが目的で、新規客の集客や見学会は行っていません。建物を見せることよりも、まずはショールーム相談会の初回接客でいかに自社を気に入ってもらえるかを重視しています。そのため、営業マンは外出するよりもショールームにいる方がいいという考えで、昼食もショールームでとれるように社員食堂を設け、訪問営業は禁止しています。

「相談会で集客し、建物は後から見せる」という2社の成功事例をご紹介しました。初回接客で建物の説明をしない分、営業マンのヒアリング技術や人柄がより重要となりますが、上手くいけば、商談期間の短縮や成約率の向上につながる方法です。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 布施 哲朗さん)