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住宅関連 制度・マーケット情報

最近の住宅業界のトピックは、トヨタホームがミサワホームを子会社化したというニュースでしょう。元々ミサワホームとは資本提携しておりましたが、今回持ち株比率を51%に引き上げて、子会社化するということです。
M&Aは国内外問わず、多くの企業にとっての事業拡大策や生き残り策です。住宅業界でもビルダー同士であったり、また大手ハウスメーカーが異業種や海外の企業を傘下に入れたりと、度々M&Aが行われてきました。
今回ニュースになったトヨタホームのミサワホーム子会社化の背景には、今後の新築住宅市場縮小へ向けて、協力体制を取り、勝ち残っていくという経営戦略、市場背景があります。これをキッカケに、更なる大型の企業統合が起こってくる可能性もあるでしょう。

1トヨタホームがミサワホームを子会社化

世間一般で企業の経営統合、何処かが何処かを買収したというM&Aのニュースは、頻繁に見られます。最近ではソフトバンクが、IoT事業への布石として、英国のアーム社を巨額で買収したという事例が記憶に新しいでしょう。
住宅業界でもビルダーの中では度々大きなM&Aの事例は出てきましたが、ハウスメーカー同士というのは、出て来ませんでした。いつかは出てくるだろうという雰囲気はありましたが、今回、ハウスメーカーの中でも大きな経営統合の話が持ち上がりました。11月22日、トヨタホームは、ミサワホームを子会社化すると発表しています。TOB(株式公開買い付け)と第三者割当増資を組み合わせて、持ち株比率を現在の27.8%から51%に引き上げるということです。ミサワの上場は維持するということですから、連携を強化しながらも、当面は現状維持ということになりそうです。

M&Aイメージ

従来から資本提携していた両社は、資材の共同調達、土地の共同購入や分譲事業、人材交流も進めてきました。近年はリフォーム分野での連携や賃貸住宅の共同開発も行っています。今回の子会社化により、部材の調達や商品の共同開発などの協業を拡大し、今後の住宅市場が縮小していく中でも、大手の一角として、強いハウスメーカーとして、生き残りを図っていくものと見られます。

両社が一緒になることで、巨大ハウスメーカーが誕生することには違いありません。規模としては、15年度の連結売上高が、トヨタホームで1,671億円、ミサワホームは売上高3,993億円です。これを合わせると、5,664億円の売上高規模になります。
また戸建住宅棟数では、トヨタホームが3,855棟(住宅産業研究所調べ)、ミサワホームが7,549棟ですから、両社を合わせて11,400棟規模になり、積水ハウスに次ぐポジションまで来るということになります。マンションやアパートなども全部ひっくるめると、17,500戸規模になるという発表数字もあります。いずれにしても、大手の中でもトップクラスの位置に立つ企業になるわけです。

ミサワホームへの資金の払い込みは、2017年3月末までに完了する予定で、今年度決算からトヨタホームの連結対象子会社になると見られます。ミサワホームが発表するリリースによりますと、自己株式売却と第三者割当増資で調達する資金は、147億円になるとされています。
調達資金は、主にシニア向けや単身向けコンパクトマンション事業や、収益不動産事業の資金として充てることになると見られます。地方都市における駅前再開発のスマートウェルネス提案など、ミサワが資産活用事業として、事業多角化の柱の一つとしてきた、不動産関連事業に投入される予定です。

多くの経営統合がそうであるように、今回の目的は、市場縮小に向けて既存の戸建住宅で、技術や商品開発、部材調達などの共通化部分を増やすなど、効率化・合理化を図り、協力体制を強化することで、生き残りを図るということ。
もう一つは、上記のような新規事業への取り組みを強化し、事業多角化のノウハウ共有をするということが目的でしょう。まだトップレベルで進められている案件ですが、現場での連携もこれから具体化していくはずです。

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2ビルダーのM&Aもこれから活発化する

住宅業界では大手ハウスメーカー同士の経営統合というのは起きて来ませんでしたが、大手ハウスメーカーが、他業種企業などを買収する例は度々見られます。またビルダー同士のM&Aという事例は、比較的よく起きています。
ハウスメーカーでは大和ハウス工業が、M&Aの巧者と言えます。大きな案件だけでも、中堅ゼネコンのフジタ、マンション業者のコスモスイニシアが記憶に新しいところです。ゼネコンの買収では、積水ハウスが鴻池組、旭化成ホームズが森組を傘下に入れています。またミサワホームは今年、オフィスや店舗の設計・施工を手掛けるアルゴスペースデザインの全株式を取得しました。住友林業は豪州や米国の地元住宅会社を買収して、海外事業をスピーディーに進めるほか、少し前のことになりますが、国内では介護事業者のフィルケアも子会社化しています。
ハウスメーカーが異業種の子会社となった事例では、ヤマダ電機のエス・バイ・エル買収が代表的な事例でしょう。

M&Aイメージ

ビルダーの経営統合は更に盛んです。大きな相乗効果を生んでいると言えそうなのは、オープンハウスと子会社のアサカワホームです。今年10月からは、アサカワからオープンハウス・アーキテクトと社名も変わりました。都市型分譲で営業力のあるオープンハウスと、郊外型で施工力があるアサカワホームの連携ということで、うまくタッグが組めます。直近9月期にはアサカワホームの売上高も過去最高の375億円規模まで成長していて、本体も大幅増収で、年商が2,400億円を超えました。
桧家ホールディングスも、多くのビルダーを傘下に収めています。代表的なものでは、880万円で住宅を売ってきた新潟のパパまるハウスの買収で、最近は性能も上げて単価も上がっていますが、桧家本体以上に伸びは大きく、パパまるハウスだけで売上高は100億円を超えて来ています。
飯田グループの経営統合も丸3年になり、用地仕入れなどもグループ内の競合がなくなり、スムーズに適正価格で仕入れられるようになったと言います。グループの1社である一建設も、城南建設(現住宅情報館)を傘下に収めたことは、販売強化という面でも相乗効果を生んでいそうです。
最近では岡山No.1ビルダーのヘルシーホームが、建材会社のナスタの子会社になったことも驚きのM&Aの事例です。

住宅会社は何処も将来の生き残りを図るべく、M&Aで経営統合したり、またビルダーの場合は、次世代への事業承継という意味で、第三者である他社の傘下に入るケースもこれからますます増えてきそうです。業界の再編が着々と進んでいます。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 博計さん)