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住宅関連 制度・マーケット情報

20・30代の一次取得層をメインターゲットとするビルダー・工務店にとって、WEB活用が重要であることは言うまでもありません。自社のウェブサイトで効果的なPRを行い、より多くの反響・来場を獲得することが求められます。
しかし、当然のことではありますが、住宅業界の集客・営業活動は、「WEBの中」だけで完結することができません。最終的な契約に至るためには、モデルハウス見学や対面での商談・打ち合わせなど、「WEBの外」での営業活動が必要不可欠です。世のあらゆる商品・サービスが「WEBの中」で申込・契約を完了できる時代において、住宅業界は特殊なマーケットであると言えます。
また、自社のウェブサイトは、ただ開いているだけでは、なかなかお客様は集まりません。テレビCMや折り込みチラシなどのように、広くお客様へ自社情報を届けられるメディアとは異なり、自社サイトは、お客様の方から情報を取りに来るメディアです。ですから、いかに良いサイトを制作しても、誰も見に来なければ意味がありません。より多くの住宅検討客に見ていただくためには、自社サイトへの集客活動が必要です。この集客活動も、SEO対策や各種ウェブ広告のように「WEBの中」で行うことができるものと、チラシや看板など「WEBの外」で行うものがあります。
住宅業界のWEB活用は、この「WEBの中」と「WEBの外」を上手に連動させることが成功のキーポイントと言えそうです。
今回は、この連動で成果をあげているビルダーをご紹介します。

1地元でのブランディング活動+自社の温度感伝えるサイト

奈良県香芝市の株式会社SOUSEIは、2010年設立という比較的若い会社ですが、すでに年間受注50棟規模に達している、現在伸び盛りのビルダーです。
「住宅×IT」のキーワードを掲げ、契約客・OB客向けスマートフォンアプリ「knot(ノット)」を自社開発するなど、IT戦略を得意とする同社。広告においても、創業2年目には折り込みチラシなどの紙広告を全廃し、自社サイトやポータルサイト(住宅情報サイト)などWEBのみで行っています。
しかし同社では、自社サイトのアクセスを増やすためのウェブ広告(検索エンジン広告・ディスプレイ広告など)は、現在行っていません。チラシもウェブ広告も行わず、どのように自社の認知を広げているのでしょうか?
実はSOUSEIでは、創業当初から、地元におけるブランディング活動に注力し、認知向上を図ってきました。一例として、次のような活動があります。

●地元教育委員会の協力を得て「ちびっ子発明王コンテスト」を開催
●慶應義塾大学が開発した『踏むと発電する床』を購入し、地元幼稚園に寄贈
●本社社屋のクリスマスイルミネーション

人口およそ7.8万人の香芝市において、子育て世代をターゲットに様々なブランディング活動を矢継ぎ早に実施し、地元での認知を急速に拡大しました。
これらの活動は、あくまで「SOUSEI」という会社名の認知を広げることが目的です。しかし、子育て世代である20代・30代の多くは、この名前をウェブで検索します。その結果、「SOUSEI=香芝市の住宅会社」として記憶されるのです。
最近では、地元での認知が拡大したことに加え、お客様に対する徹底したホスピタリティも評判となり、受注の3分の1を紹介案件が占めるようになりました。これらの紹介客も、いきなり会社へ足を運ぶのではなく、まずはウェブサイトを見ることが多いようです。
そして、同社のウェブサイトは「若年層の心をつかむスタイリッシュなデザイン」と「会社情報や物件情報を包み隠さずオープンにすること」が特長です。ブランディング活動によって広げた会社のイメージや温度感を、自社サイトにおいてもそのまま表現し、お客様に「やっぱり良さそうな会社だね」と思っていただくことを心がけているといいます。

2会社の顔が見える自社サイト+手作りニュースレター

東京都内に拠点を構えるビルダーA社は、大手メーカーの下請けから元請けメインに転換して10年ほど経つ会社です。都心のベッドタウンという激戦区でありながら、毎年50棟前後を安定して受注しています。
先ほどのSOUSEIと同じく子育て世代をメインターゲットとする同社のウェブサイトの2大特長は“手書き”と“顔見せ”です。サイト内の随所で手書きの文字を多用しており、温かさ・親しみやすさを演出しています。また、同社スタッフの顔写真やコメントも、トップページ・スタッフ紹介をはじめ、サイト内の様々なページに登場します。さらに「お客様の声」ページでは、OB客の顔写真と手書きのコメントが、100件以上掲載されています。“手書き”と“顔見せ”によって、お客様に安心感を与え、資料請求というステップへ誘導しています。

資料請求のあったお客様に対しては、毎月1回ニュースレターを送付しているのですが、実はこのニュースレターが、同社集客の大きなキモとなっています。
封筒には、筆で大書された宛名に、季節の手書きイラスト。1度見たら決して忘れないインパクトのある封筒です。開封すると、手書きによるスタッフの近況報告・子育てのトピックス・OB客紹介・資金計画情報など、様々なテーマのニュースレターが、20枚以上封入されています。もちろん、スタッフやOB客の写真も随所に登場します。これらニュースレターの中には必ず現場見学会のお知らせがあり、常設モデルハウスを持たない同社にとって、商談の大きな足がかりとなっています。
実はこの会社では、元請け転換から数年間は自社サイトを持っておらず、住宅情報サイトなどの資料請求に対して前述のニュースレターを送付することで受注を重ねてきたといいます。自社サイト開設にあたっては「自社サイト・ニュースレター・実際の会社の雰囲気にズレが生じないこと」を意識したということです。“手書き”と“顔見せ”を重視した自社サイトは、ニュースレターや日頃の営業活動から逆算して生まれたものであると言えます。

今回ご紹介した2社に共通しているのは、自社の特長やターゲットを明確にし、「WEBの中」「WEBの外」の双方で一貫して発信できている点です。住宅検討客に自社の名前を知っていただいた段階から、情報収集・現場見学のプロセスにおいて、ブレない自社のスタンスを発信し続けることが、ファン化・商談化の近道と言えそうです。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 高田 宏幸さん)