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住宅関連 制度・マーケット情報

プレハブ住宅(工法)とは建築物の部材を工場で生産し、ある程度まで組み立てを行うものです。建築現場での作業軽減につながるため高品質や短工期を実現することができるもので、積水ハウスや大和ハウス工業といった、いわゆる大手住宅メーカーと呼ばれる企業の主力商品として展開されている住宅(工法)です。プレハブ建築協会のまとめでは、約50年の歴史の中で累計900万戸を超えるプレハブ住宅が供給されてきたと発表されています。
プレハブ住宅は最も多い時で年間30万戸程度が供給されてきました。1990年代には全国の持家に占めるシェアで20%を超えていましたが、2000年以降緩やかにシェアが低下し始めています。特にこの5年程度で大きく落としており、2015年度には15.8%にまで落ち込みました。2015年度の住宅メーカー決算は決して悪いものではありませんでしたが、それはその他の事業によるカバーが大きいからで、戸建の販売戸数(棟数)は大手8社全社が2年連続でマイナスとなっています。その理由の一つは、大手メーカー各社の商品がZEHへの取組みや高耐久化などといった高付加価値戦略によって大きく価格上昇を続けているからで、各社で量より質の向上を図る動きを進めてきたことが関係しています。
また若年層の所得伸び悩みや先行き不安といった状況が続いていることは事実で、住宅価格のボリュームゾーンと乖離が大きくなっているという懸念もあります。そこで大手住宅メーカーがプレハブ工法に縛られず、木造軸組(在来工法)に参入する動きが目立ち始めています。

1施工子会社を通じて別ブランド「積和の木の家」を展開〜積水ハウス

プレハブ系メーカーが在来工法に参入する最大の理由は、人口・世帯数減少による戸建事業の手詰まり感を打開したいという事でしょう。ただし、低価格ブランドを作ることは主力ブランドの共食いを招く危険性があります。
そこで積水ハウスでは、施工子会社である積和建設を通じて木軸商品「積和の木の家」を販売しています。現状年間の販売棟数は400棟内外と見られますが、商品ラインアップも拡充させており、積和建設では本格的な営業マンの募集も始まっているようで、今後は棟数拡大を視野に入れているものと見られます。
一方で主力の積水ハウスブランドでは最高スペックの提案に注力することで棟単価は大きく上昇を続けるという構図で、あくまで別会社(別ブランド)として販売することで共食いを避けながら、グループとしてボリュームゾーンの顧客にも対応しようというスタンスです。

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社内競合や共食いを避けるという意味では、分譲地での展開もポイントで、積和建設では「テラステージ」というブランド名で分譲住宅としての供給もスタートしています。積水ハウス以外にもミサワホームが、2014年度より木造軸組「MJ Wood」による分譲地を「アルビオコート」というブランド名で展開。パナホームが「パークナードテラス」として、北海道、神奈川、兵庫の3ヶ所で販売をスタートするなど、大手住宅メーカーが展開する木造軸組構法の分譲住宅が増えています。

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2主力工法を木造軸組として実績拡大〜住友不動産

プレハブ系メーカーではありませんが、木造軸組工法に参入することで実績を伸ばしているのが住友不動産です。マンションデベロッパーとしては最大手とも言える同社ですが、戸建事業では2×4工法を主力として、年間2,000棟程度を販売しています。その住友不動産の戸建注文住宅が2013年度以降増加しており、直近2015年度は2,500棟弱といったレベルまで伸びています。5年前との比較では700棟以上の増加が見られ、拡大のスピードは大きいといえるでしょう。
同社が戸建事業を拡大させていくための取り組みが、「ウッドパネル工法」という名称による木造軸組工法への参入です。伝統的な木造軸組構法に厚さ9mmのパーティクルボード(耐力面材)をプラスしたハイブリッド構造としてアピールしています。同社が木造軸組商品を展開し始めたのは2013年度からですが、直近2015年度の工法別シェアでは40%強まで上がっています。

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まだ2×4(2×6を含む)の方が多い状況ですが、今後は木造軸組を主力にする計画です。その理由は、今後戦略的に地方の販売強化を進める中で、2×4工法の職人の不足感があるからだといいます。持家に占める2×4シェアは10%強で頭打ちの状況で、これも同工法の職人不足によるものと見られます。今後の住宅業界を考える上で重要なのが職人の高齢化や若手の不足であり、このあたりを見据えた動きも重要になってきます。

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3設計の自由度を上げて、富裕層のこだわりに応える〜パナホーム

プレハブ系メーカーが在来工法に参入し、工場部材ではなく一般部材を用いることで低価格化を目指す動きが目立ちますが、木造軸組構法を使って高級住宅ブランドを立ち上げたのがパナホームです。いわゆるプレハブ住宅は工場で生産をするために、間取りや部材などにある程度の制限があります。これに対して設計自由度が高いのが木造軸組構法で、これを活かしてお客様のこだわりや嗜好に柔軟に応えようという内容です。
パナホームは、昨年8月に木造軸組工法による高級商品「アーティム」を発売しました。参考本体価格は6,500万円程度を見込むもので、東京都内に住む50〜60代の富裕層を主要ターゲットとして展開されます。拠点としては、駒沢公園ハウジングギャラリーにモデルを開設し、11月にはライフスタイルへの共感を醸成する目的の新拠点「サロン青山」をオープンしました。

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WEBやSNS等でも情報発信にも注力するということで、専門拠点や販売手法にも注目が集まります。ここでポイントとなってくるのがブランド戦略だと考えられます。高級客、富裕層は特にブランドに敏感であり、「パナホームが展開するアーティム」ではなく、トヨタとレクサスのように「パナホーム」と「アーティム」が並列の関係となってくるような大胆なブランド戦略も必要でしょう。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 和則さん)