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住宅関連 制度・マーケット情報

国土交通省が発表している住宅着工統計において、低層持家に占めるプレハブシェアの低下が顕著になっています。1990年代には20%を超えていたプレハブシェアは2000年以降緩やかに下降を始めました。
特にこの5年程度で大きく減少しており、直近2015年度は15.8%というレベルとなっています。前回のレポートではこのような状況下の動きとして、鉄骨プレハブメーカーの在来木造進出の動きを取り上げましたが、一方でプレハブメーカーの原点として工場をテコ入れして、生産能力を高めたり、集客施設としての機能を拡大させたり、といった動向も見られます。
その方向性をまとめると

①大量生産→邸別生産へ、住宅の質向上
②「工場でつくる」ことの価値を再訴求
③環境問題など社会的な課題の解決

といった動きになっています。住宅を工場生産するということは、多くのプレハブメーカーにとってのアイデンティティーであり、職人不足や高齢化といった業界全体の課題への解決策としても期待されます。また、家をつくる際に発生する廃棄物の減少や100%リサイクル(ゼロエミッション)など、大手企業として社会に貢献する点も訴求されています。

1「工場魅力化計画」が完了。来場者10万人を目指す〜積水化学工業

積水化学工業は、2014年度から「工場魅力化推進計画」というプロジェクトを進めてきました。これは総額170億円の設備投資をして全国8ヶ所の住宅生産工場のテコ入れを図るもので、今期までに全ての工場でリニューアルが完了し、その魅力を伝える段階に差し掛かっています。
同社の主力である鉄骨ユニット工法は、工場内の徹底した品質管理の下、顧客ニーズにきめ細かく対応する形で邸別に生産されます。また、80%以上と言われる高い工場生産比率を誇っており、工場内でユニットを組み立て大型トラックで現場まで運ぶことで、現場での作業をできるだけ省力化し、高品質・短工期を実現しています。
今回の「工場魅力化計画」では、最新の工作ロボットを導入するなど工場自体の生産性アップも図られましたが、それ以上に“魅力化”という言葉にあるように工場見学に適した通路の整備などに重点が置かれました。

セキスハイム九州新工場

その中でも最も注力されたのが九州工場です。約60億円の投資により工場建屋を建替えるなど大掛かりなテコ入れを図ったようで、同工場では土日にも稼働しているラインを見ることができるということです。
また同社のホームページには、「一生モノ工場」といったサイトが登場しています。品質管理といった点で共通した思想を持つ山口県の日本酒「獺祭」とのコラボなど、ユニークなコンテンツを取り揃え、工場見学に行きたくなるような仕掛けを施しています。同社では上記のような取り組みにより、2017年度の工場見学来場者の目標として、リニューアル前の倍にあたる10万人を計画しているということです。

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2住まいに関する体感や、環境貢献活動の情報発信の場として活用〜積水ハウス

積水ハウスでは各地の生産工場に併設される形で、宮城、茨城、静岡、富山、京都、山口の全国6か所に「住まいの夢工場」という見学用施設を展開しています。施設内には実物大の構造を展示したコーナーや各種の体感設備があり、見学を通じて積水ハウスの技術や品質、住まいについて、楽しみながら学ぶことができるという内容です。施設の見学は完全予約制となっており、住宅の検討客はもちろん、不動産業者や金融機関など業者の来場も多く、全体で年間約8万人が訪れるということです。
また2015年5月には、同社の関東工場(茨城県古河市)に「エコ・ファーストパーク」という施設もオープンしています。こちらは積水ハウスが率先して取り組んでいる“環境問題”をテーマにした施設で、環境配慮型住宅やゼロエミッションに関する取組みを見学できるメモリアル的な施設でもあります。

エコファーストパーク内展示棟「風の家」

利用者は、住宅関連分野を専攻する学生や、環境問題を学びたいと考えている小学生やその親が想定されており、社会教育の場としての利用が可能です。「住まいの夢工場」が、ある程度ニーズが顕在化した顧客を呼び込む施設だとすれば、同施設はその先の客も集めてファン化しようという狙いであり、今すぐに住宅を検討していない人でも楽しむことができる実証実験住宅等の展示が特徴です。開設から1年間の来場者は、5,000名を突破したということです。

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3日本初の住宅専門工場を建替え、技術力アピールの場に〜大和ハウス工業

大和ハウス工業は2014年1月に投入した同社の最上位商品ジーヴォΣが好調で、発売当初は岡山工場のみで生産されていた同商品の生産ラインを、栃木二宮工場にも新設しました。全体で月産350棟体制にまで拡大させており、これまでより高性能な住宅の量産に乗り出しています。
また日本初の住宅専門工場として1965年に創業した奈良工場を建替え、14年1月に同工場内に戸建検討客向けの体験型施設「住まいまるごと体験館」をオープンしました。こちらではジーヴォΣの耐力壁「D-NΣQST(ディーネクスト)」や、収納体験が可能な「収納ラボ」などの展示を行っています。また、14年4月には東京本社(千代田区)に「TRY家Lab(トライエ・ラボ)」をオープン。15年7月には三重工場敷地内に戸建住宅体験施設「TRY家Chubu(トライエ・中部)」をオープンしており、東名阪の主要エリアに体験型施設を揃えた形となります。東京本社併設施設は予約制による個別見学、奈良工場や三重工場では、バス見学などのルートとして効果を上げていこうという狙いです。

大和ハウス工業奈良工場

また奈良工場の建替えのポイントは、同社が法人向けに提案している生産施設建築のメニュー「D's SMART FACTORY」の技術を用いている事です。これは屋根の上のメガソーラーや自然エネルギーを利用したパッシブ技術を応用し、工場そのものが環境負荷低減につながるという訴求です。工場建築を検討している法人向けに工場見学も開催しているということで、経営多角化を進める同社ならではの取組みとなっています。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 和則さん)