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住宅関連 制度・マーケット情報

住宅業界に限らず、何年かに一度巡って来るのが「和風ブーム」です。最近では、2020年の東京オリンピックが3年後に控えていることもあり、「和モノ」や「和風回顧」といった動きを目にすることが増えました。また、日本の製品や産業、アニメ・ゲームといった大衆文化等が国際的に評価され始めており、政府でも海外に向けた文化の宣伝として「クール・ジャパン」という言葉を用いて日本の魅力を発信しています。
最近では、大手住宅メーカーが発売する新商品についても「和風」を取り入れたデザインを訴求するものが増えてきました。一般的にインテリアデザインで人気があるのは、モダンテイストといった無難なものだと思われますが、あえて「和」を選びたいというユーザーは、いつの時代においても一定数はいるもので、しっかりと訴求することで受注棟数の底上げにつなげたいところです。
また、「和風」というとシニア層や富裕層というように比較的お金を持っている人向けの住宅というイメージがあり、若年層では和室不要という人も少なくありません。しかし、これは「和風」が嫌いという事ではなく、「和室」の使い勝手が悪いから要らないという事のようです。事実、古民家を改装した町家カフェは若い女性に人気があります。我が子に付ける名前についても、最近では「大和」や「さくら」といったような古風な響きの人気が高まっているようで、住宅取得意欲が高いと言われている出産前後の若年層にも「和」の提案は有効だと思われます。

1若年層をターゲットにした木質系商品を投入〜積水ハウス

若年層に向けて和テイスト商品を投入したのが積水ハウスです。同社は鉄骨プレハブ住宅を主力としている会社ですが、木造シャーウッドも販売しており、最近では木造のシェアも高まっています。過去に「縁(ゆかり)の家」という本格的な純和風住宅を展開してきた同社では、鉄骨よりも木造の平均価格が高く、高級住宅としての展開が目立ちます。
その中で、いわゆる和モダンテイストを追求した商品として、昨年4月に投入されたのが「グラヴィスリアン」という商品です。ターゲットは比較的所得水準の高い30〜40歳代としており、大手企業勤めの共働き夫婦といった層が当てはまります。前述したように和風を好む若年層は増えているようで、実際このような若年層の和風ニーズが高まっているということから商品化が進んだということです。

積水グラヴィスリアン外観

商品特徴としては、秋田杉、吉野杉など全国の林産地と連携し、国産のブランド材を標準採用しています。また木質商品「シャーウッド」の象徴的な外壁である陶版外壁ベルバーンにはクシビキボーダーという新柄を投入しています。こちらは釉薬にもこだわって質感を高めたようで、本格志向の若年ユーザーに対して、材料や質感にまでこだわった住宅を提案しています。

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2日本古来の暮らしを現代風にアレンジして取り入れる〜大和ハウス工業

日本家屋を象徴する空間に「縁側」があります。部屋に居ながら四季の風情や自然の豊かさを味わえる魅力的な空間の事ですが、最近の住宅では大開口を採用して屋内外のつながりを感じさせるものも増えてきました。また、子育て若年層に人気があるオープンリビングは、日本古来の「続き間」というような部屋が連続する構造に近しく、家族の気配を感じることができる空間として人気があります。このように日本古来の暮らし方に学び、それを現代風にアレンジしたものが多く見かけられることも最近の新商品の特徴です。
昨年10月に大和ハウスが投入した「ジーヴォΣ和暮らし」は、14年1月の発売以降ヒット商品となったジーヴォΣの構造躯体を活かし、開放感のあるグランリビング(2.72mの天井高)や、大開口(最大7.1m)と和のテイストを掛け合わせたものです。

Σ和暮らし 和のグランリビング

一般的には和風=木造というイメージが強くありますが、鉄骨新構法ならではの大空間・大開口と深い庇、ウッドデッキによって部屋の延長のような縁側を実現しています。更に「オープン欄間付障子」というアイテムも追加することで「縁」や「続き間」を作ることが可能で、フレキシブルな新しい和風住宅としての特徴を強調しています。縁側での家族とつながりや楽しみといった日本的な暮らしを訴求することは、最近の「モノ」より「コト」を訴求するというやり方にも合致する提案と言えます。

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3洋風外観が特徴の三井ホームでも和テイストを取り入れる〜三井ホーム

三井ホームと言えば、西洋風の外観を特徴としたフリー設計商品というイメージがあります。しかし最近では、内外装に和のテイストを巧みに取り込み、資金にゆとりのあるシニア層や富裕層を開拓しようという動きも見られます。
同社が昨年9月に投入した「NEWオークリー」は天然木に囲まれたコリドー風半戸外空間「和テラス」の採用など、様々なところに和を盛り込んだ商品となっています。きっかけとなったのは2014年にオープンした川越展示場(埼玉:川越ハウジングステージ)で、こちらは日本風情がある小江戸をモチーフとしてモデルを設えました。このジャパニーズモダンインテリアが評判を呼び、オープン後しばらくは、他社に倍以上の差をつけてトップの集客数だったということで、「三井ホーム+和風」といった意外な組み合わせが評判を呼んだようです。

三井ニューオークリー

住宅のプランニングにおいて「和風テイスト」を実現することは難しいことではなく、濃い色の瓦を採用した切妻屋根、壁は塗り壁風の吹き付けを採用するといったことで、外観デザインは和風になります。内装に関しても琉球タタミによる小上がりの和室や、置き畳などちょっとした和のテイストを取り入れるやり方は、プラン提案の小技として展開されています。ただし、商品として和風で差別化を図る場合には、もうワンランク上のこだわりが必要でしょう。三井ホームでは、ガラス加工、木材・石材加工など素材感を活かしたアイテムを採用したり、職人による一点ものの部材を採用したりする事で差別化を図っています。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 和則さん)