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住宅関連 制度・マーケット情報

今年に入って新商品のリリースが少なかった大手各社ですが、4〜5月にかけて新構法投入など戦略的な商品の投入が相次ぎました。
投入された新商品のトレンドとして多数見られたのが、ゆとりのある内部空間を実現する“高天井”を採用したものです。過去を振り返ると三井ホームが標準2.6mの高天井により高級感のある空間提案で差別化を図ってきましたが、最近では大手各社で高天井仕様のアピールが一般化しています。その特徴は、

・標準2.7m程度の高天井仕様
・最大3mを超える大空間の訴求
・折上げ、床下げによるメリハリのある空間

といったものが挙げられます。一般的な住宅の天井高は2.4mを標準とするケースが多いようですが、これよりも大空間を可能にした商品が増えています。狙いは「高級感の演出」で、マンションでは不可能な建物の上下方向への変化を持たせることで、空間にメリハリをつけようという発想です。
またビルダーでは、このような高天井に対応可能な会社がまだ少なく、ハウスメーカーならではの住宅として差別化に繋げようという狙いもあります。天井を高くすればその分、耐震性や断熱性が問われることになりますが、メーカー各社は耐震性やZEH対応に力を入れてきたことから、このあたりも有利に働きます。高天井の実現には住宅そのものの高性能化が必須ですが、ハウスメーカーの住宅は新たな次元へ突入したと言えるかもしれません。

1積水ハウスの主力商品に高天井仕様が登場

プレハブ住宅として型式認定を取得している鉄骨プレハブメーカーは、これまで天井高のバリエーションは少なめでした。
例えば、積水ハウスが長らく主力としてきた「鉄骨ユニバーサルフレームシステム工法」の天井高は2.5mのワンサイズで、場合によっては折上げや床下げで対応を図ってきました。しかし、大手各社で高天井仕様や選択可能なバリエーションが増えてきたことで、この4月に、高天井仕様を可能とする新構法「ダイナミックフレーム・システム」を投入し、天井高2.74mを実現する「新イズシリーズ」を発売しています。本商品により縦横に拡がる空間の実現が可能になりました。積水ハウスは住宅メーカーの中でも大きな家が多いことが特徴で、平均床面積は135m2以上となりますが、高天井仕様の実現により“邸宅”としての魅力をさらに高めたことになります。

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高天井や大空間の実現と表裏一体の関係にあるのが建物の断熱性です。開放的な大空間を実現すると、その分だけエアコンなど冷暖房機器による空調効率が悪くなります。そこで同商品では、一般のアルミ樹脂サッシの約1.4倍の断熱性能を持つ「超高断熱アルミ樹脂複合サッシ(AJサッシ)」を標準化しています。積水ハウスは業界を先導すべく2020年度80%のZEH比率を目標に掲げていますが、一方で大開口、大空間による快適空間「スローリビング」も提案しており、開口部の強化は必須だったようです。同サッシは障子枠をスリム化することでデザイン性も向上させています。

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2大和ハウス工業も床下げ無しで2.8mを実現する仕様を追加

積水ハウスよりも一足先に主力商品の高天井化を図ったのが大和ハウス工業です。14年1月に投入したジーヴォΣは、新構法の採用により「2.72mの高天井を実現可能」と大きくアピールした商品で、直近では月間受注400棟以上まで増えています。
同社がユーザーを対象に行ったアンケート調査では、天井高2m72cmの「グランリビング」への評価が高かったということもあり、15年9月にはリビングの床を36cm(腰掛けや肘掛けに最適な高さ)掘り下げ、最大3m8cmの天井高を実現した「グランリビングモア」を提案し始めました。さらに今年4月には、床下げ無しで2.8mに対応する仕様も追加。細かなバージョンアップを重ねることで、よりフレキシブルな空間を実現する事ができるよう進化させています。

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さらに本商品の開放感を実際に体感できるように、7月末までの期間限定として、大和ハウス東京ビルに「ひろがり体感ブース」を設置しています。2.72m天井高の採用率は直近で75%。また、これまではオプション扱いでしたが、4月以降は標準提案となるようです。同社の天井高訴求はその内容もユニークで、TVCMでは自宅を高天井とすることで最近人気のあるスポーツ「ボルダリング」を可能にするといったアピールで注目を集めています。

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3木造の住友林業は4つの天井高バリエーションをアピール

鉄骨プレハブに比べて、比較的天井高の設定がしやすいのが木造ですが、住友林業では鉄骨系に比べて大胆な取り組みを展開しています。同社が今年4月に発売したのが「The Forest BF(ザ フォレスト ビーエフ)」という商品です。最近、注力を図っているオリジナル梁勝ちラーメン構造「ビッグフレーム構法(BF)」を進化させて、2.25m、2.4m、2.6m、2.8mという4バリエーションの天井高を可能としたものです。さらに、梁あらわし折上げ天井0.3mや、床下げ約0.42mを組み合わせることにより最大で約3.52mという高天井も可能とします。これに屋根の傾斜を活用した勾配天井や、吹き抜けなどを組み合わせることでさらに柔軟性のある空間を実現可能です。

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また同社ならではの提案として、梁現しや室内のウッドタイル、木質素材を貼った天井など、木質感豊かな空間提案も可能で、世界の銘木としてナラ、クリ、ヒノキ、ウォルナット、チェリー、メイプル、オーク、チーク、マホガニー等が選択でき、「大空間+木の質感」により高級感を創出します。
BF構法の社内シェアは16年度の受注ベースで既に8割を超えているようですが、新構法の投入は今後の大きな武器となって来ると見られます。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 和則さん)