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住宅関連 制度・マーケット情報

総務省が5年毎に調査・発表している「住宅・土地統計調査」によると、2013年10月1日現在、国内の総住宅数は、6,063万戸となっています。前回調査時の5年前と比較すると、304万戸の増加で、増加率は5.3%となりました。
「住宅・土地統計調査」では、社会問題化している空き家についても発表していますが、空き家率は13.5%にもなり、今後も既存住宅の取り壊しや有効活用が進まなければ、2033年には空き家数が約2,166万戸、空き家率が30.4%に達するとの予測もあります。空き家の増加という側面から見ても、既存住宅の流通を促進し、住宅ストックを有効活用させる取り組みは待ったなしです。
2016年は、首都圏で新築マンション供給戸数と中古マンション成約件数が、初めて逆転しました。ユーザーの意識としても、少しずつ既存住宅への抵抗がなくなっており、現在はストックが本格的に流通し始める大きな転換期と言えます。

1大手のスムストックは高い資産価値での流通を促す

大手ハウスメーカー10社による、良質な既存住宅の資産価値を評価し、市場に流通させるスムストックの実績が伸びています。スムストックは、2008年に立ち上げられた優良ストック住宅推進協議会に加盟している大手ハウスメーカー10社が過去に建てた既存住宅を、メーカー共通の査定方式で評価し流通させようというものです。
スムストックに適合する既存住宅の条件としては、

①住宅履歴データベースを保有していること
②50年以上のメンテナンスプログラム保有と実施
③新耐震基準(81年施工)レベルの耐震性を保持している(81年以前の建物でも、耐震適合証明を取得出来ていれば要件を満たす)

の3つが必須となっています。 従来の中古住宅は、土地と建物を合わせた査定が通例でしたが、スムストックでは土地と建物の価格を分離表示させ、建物についてはスケルトンとインフィルを分離し、それぞれの資産価値を査定します。建物価格の6割をスケルトン部分とし、償却期間を50年で査定します。内部設備のインフィル部分を4割として償却期間を15年で査定します。また、入居中にリフォームをした場合には、リフォーム費用の70%の価値を評価しています。

一般的な中古住宅の査定の場合には、築20年を経過したものは建物の価値はゼロになると言われています。一方、スムストックの場合では、新築時2,000万円の建物で、築21年以上の建物に平均527万円程度の価値があると査定されます。
スムストックの査定は、優良ストック住宅推進協議会が認定する「スムストック住宅販売士」の資格が必要となります。このスムストック住宅販売士は、査定だけでなく販売も行うということで、不動産営業の知識に加え、建築の知識も必要になります。2016年末時点で、スムストック住宅販売士には累積約4,700人が登録されています。
スムストックの成約件数は、2008年の開始以来、順調に推移しており、累計で約6,000棟に迫っています。2016年度は約1,600棟の成約件数となっており、優良ストック住宅推進協議会では、中長期的な目標として、年間1万棟の供給を掲げています。

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2国は安心R住宅を推進

中古住宅と聞くと、「品質が心配」や、「汚そう」といった悪いイメージを感じる人が多いと思います。ユーザーが感じる中古住宅に対するマイナスイメージを払拭することも、良質な住宅ストックを流通させるために必要になります。
国交省では、中古住宅に対するマイナスイメージを払拭するため、一定の基準を満たす中古住宅を「安心R住宅」と定め、ユーザーが安心して取引き出来る制度を作っています。
安心R住宅では、ユーザーが中古住宅に抱く、「不安」、「汚い」、「わからない」といった3つのイメージを払拭し、「住みたい」、「買いたい」と思えるような中古住宅の流通を目指しています。

「不安イメージ」に関しては、
・耐震性を有すること
・インスペクションを実施し、構造上の不具合、雨漏りが認められないこと
・購入予定者の求めに応じ、既存住宅売買瑕疵保険を付与出来る用意がなされていること
が求められています。

「汚いイメージ」に関しては、
・事業団体毎にリフォームの基準を定め、基準に合致したリフォームを実施していること
・リフォームを実施していない場合は、参考価格を含むリフォームプランを示すこと
・外装・内装、水廻りの現況の写真等を情報提供すること
が求められます。

「わからないイメージ」に関しては、
・各種情報を収集し、広告時点において、それらの情報が「有る」、「無い」、「不明」の3段階で開示すること
・購入検討者の求めに応じて、詳細情報を開示すること
が求められます。各種情報とは、「住宅性能や設計図書など新築時の情報」、「維持管理の履歴」、「保険・保証に関する情報」、「省エネに関する情報」、「共用部分の管理に関する情報」等、多岐に渡ります。

国交省では、上記のような項目を調査・確認し、情報提供している住宅を「安心R住宅」と定め、これにより良質な中古住宅の流通が活発化することを期待しています。「安心R住宅」が誕生することにより、これまでユーザーにとって分かりづらかった中古住宅の質について、良質な物件には国が「お墨付き」を与えるということになり、ユーザーは安心して購入することが出来るようになります。国交省では今後、今夏の詳細な制度内容の告示が予定されており、準備が整い次第、運用が開始される見通しです。
新築からストックへ、国も業者も一体となって、ストック流通本格化へ動き出しています。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 恵美 哲さん)