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住宅関連 制度・マーケット情報

住宅業界に限らない話ですが、企業の資本提携やM&Aというのは、頻繁に見られるニュースです。むしろ住宅業界は大型の資本提携が少ない方かと思います。ここ1年くらいでの大きな再編としては、約1年前のトヨタホームによるミサワホーム子会社化があり、この10月からはパナソニックがパナホームを完全子会社化しました。
そして最近ではハウスメーカーとゼネコンの資本提携も活発化していますし、ビルダーでも資本提携や買収といった話題も多く見られるようになっています。
住宅市場が従来の新築を中心とした市場ではなくなり、またいよいよ新築市場も本格的な縮小期に入っていくという、この現段階になって、住宅会社は単独で生き残っていくことが難しくなりつつあります。
これから住宅会社は何処と組んで、何をしていくべきなのでしょうか。昨今の企業提携について見てみます。

1ゼネコンとの資本提携が進むハウスメーカー

住宅会社の業務提携、資本提携といった動きが、徐々に活発化して来ています。今年度の住宅市場は、賃貸住宅の鈍化により、既にマイナス基調です。戸建の建売住宅はまだプラスですが、今年度の着工は前年を下回る可能性が高いでしょう。
そして消費増税の駆け込みと反動減、東京五輪が終わった2020年頃から、新築住宅市場は本格的な縮小期に入ります。何処の住宅会社にとっても、勝ち残るためには、今までとは異なる事業を手掛けることも必要になってきます。つまり単独よりも、何処かと組んで一緒に相乗効果を目指していくということも重要な経営戦略になるわけです。

大手ハウスメーカーにとっては、これから非住宅という分野は、事業として確立していく柱の一つになってきそうです。そこで大手ハウスメーカー各社とゼネコンの業務提携、資本提携がここ最近、活発に行われています。
早くから、ゼネコンと手を組む動きを見せていたのが、大和ハウス工業です。まず小田急建設、更には2013年に約500億円を投じてフジタを買収しました。部材の共通化などによって建築コストを下げるなど、相乗効果は出ていて、海外のホテル開発事業でも協業しています。
大和ハウス工業はM&Aを得意としていますから、その他マンションのコスモスイニシアや介護事業などの企業も傘下に収める他、海外の現地不動産業者など、多くのグループ会社を持ちます。

ゼネコンとの提携では、積水ハウスが鴻池組に33.3%出資して持ち株会社とし、旭化成ホームズは森組に30%出資して提携しています。そしてつい最近では、住友林業と熊谷組が資本提携して話題となりました。住友林業が熊谷組の株式の20%を取得し、熊谷組も住友林業の株を2.85%持つ形で資本提携されます。
住宅部門、建設部門、都市開発で、グローバルな事業展開を行っていくために、ゼネコンのノウハウが不可欠だということです。2018年3月までに具体的なロードマップを策定して、木造・緑化関連の建設事業、海外事業、再生エネルギーなど、5分野で協力を進めていく方針です。例えば、建設分野では、住友林業の木造建築と、熊谷組の鉄筋コンクリート施工の技術といった、それぞれの強みを組み合わせて、ハイブリッドな商品を提供したり、海外事業では、アジアを中心に共同で都市開発などに参画していくことも考えているようです。

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2IoT住宅の時代には異業種との連携が必須

これからの住宅業界において、間違いなく一つの動きとして出てくるのが、IoT住宅です。スマホの普及に伴い、世界的にIoTデバイスの数は大きく増加しています。仕事環境や生活は大きな変革期を迎えているとも言えるでしょう。
このIT技術を取り込んだ住宅は、やはり単独企業ではなく、何処かと組んで開発していく必要があるはずです。例えば、ハウスメーカーとしては、大和ハウス工業がGoogleと組んで商品発表しました。同社の新商品「グーグルホーム」を活用して、家電や住宅設備をインターネットでつなげる住宅「ダイワハウスコネクト」をスタートしています。
これまでHEMSや共通の通信規格ECHONET Liteを通じた住宅のIT化を目指してきたわけですが、やはりグーグルなどのIT企業とは発想やスピード感が違います。近未来の技術を住宅に取り込んでいくには、IT企業との提携、連携ということも欠かせなくなっています。何処と組んで共同開発をしていくのかは、非常に重要です。

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3異業種のM&Aによる住宅業界参入も進んでいる

ハウスメーカーがゼネコンを傘下に収めるといった動きとは反対に、異業種の大きな企業が、住宅会社を買収している事例も増えています。
住宅会社の買収では、家電最大手のヤマダ電機の例があります。同社は新築ハウスメーカーのエスバイエルに続いて、設備メーカーのハウステック、そして最近ではリフォームのナカヤマを子会社化しました。現状、まだ住宅ビジネスで大きな相乗効果は見られませんが、このような大企業によるM&Aはこれからも出てくるでしょう。
最近ビルダーを買収した事例では、岡山のヘルシーホームを傘下に収めたナスタ、北海道の豊栄建設を子会社化したワールドホールディングスなどがあります。ナスタは今ブームを呼んでいる宅配ボックスなどを手掛けている設備会社で、大和ハウス工業とも組んで商品開発をしています。有力ビルダーの買収によって、住宅事業にも力を入れ始めた事例です。
ワールドホールディングスは、福岡のベンチャー企業で、一部不動産ビジネスも手掛けていました。豊栄建設をグループに入れたことで、同社の持つ商品を他のエリアでも展開させようという狙いのようです。

買収というところまで行かなくても、業務提携はこれからも度々出てくると思われます。例えば中古戸建の買取再販業者、最大手であるカチタスは、家具の大手ニトリと業務提携しました。中古再販物件を家具付きで売る、またホームステージングで家具を配置するなど、家具インテリアと物件販売は相性もいいはずです。
これから住宅会社は何を手掛けるべきなのか、自社の目指すべき方向性と一致するパートナーを探して、うまく連携を取っていくことは、これからの住宅業界を生き残っていくためには重要な戦略となりつつあります。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 博計さん)