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住宅関連 制度・マーケット情報

2017年は、大手ハウスメーカーが発売する一部の商品にある特徴がありました。共通するキーワードは、従来よりも価格を抑えた「普及価格」。通常の商品では平均単価3,000万円を超えてくる中で、今回紹介する新商品は建物販売価格2,000万円内外を想定しています。
この低価格商品の開発背景には、近年の地場の有力ビルダーの躍進があります。住宅産業研究所調べでは、全国年間住宅着工棟数に占める大手メーカーシェアは、
2014年度:27.2% → 2015年度:26.6% → 2016年度:26.0%
と年々低下しており、マクロ的にもハウスメーカーが受注に苦戦していることは明白です。ハウスメーカーは、受注棟数が伸び悩む中、住宅1棟当りの単価を高めることで増収を図ってきました。高単価ではあるものの、品質の高さやアフターフォローの充実化することによる安心・安全を訴求することで、ビルター商品と差別化しています。
メーカーとビルダーが販売する住宅の大きな違いは、「価格」です。比較的安価なビルダーの商品は、若年一次取得層にも手が届きやすいと言えます。棟数シェアをビルダーに取られている実態には、国民の平均所得の慢性的な減少トレンドが発生していることも影響しているでしょう。これまで坪単価100万円内外の商品を発売するなど高級化路線の動きが顕著でしたが、ハウスメーカーの普及価格帯商品の発売は、ビルダーへの対抗戦略と考えられます。

12×6工法住宅を2,000万円内外で販売「グランツーユーV」~積水化学工業

積水化学工業「グランツーユーV」 積水化学工業が2017年10月に発売したのは、「グランツーユーV」。創立70周年記念商品として、一部拠点に先行発売していた新2×6ユニット工法による木質系ユニット住宅を、北海道と東北、沖縄を除いて全国展開しています。
同社は2017~2019年度の中期経理計画「SHIFT 2019-Fusion-」の中で、「ボリュームゾーン攻略に向けた新商品の投入」の推進を掲げており、同商品はその一端を担います。坪単価50万円台後半からスタートし、建物価格2,000万円内外を設定しています。
同商品は、ツーユーホームの中でも、中高級商品グランツーユーで使用されている2×6を用いた新工法「W5工法」を採用しています。ユニットのコーナー部は、新開発の金物で接合することで精度を高め、誤差±3mm程度だった従来のユニット施工精度を±1mmまで向上しています。また、この新工法により、天井や建具・設備等の工場内取り付けを実現し、同社特有である工場内でユニットをどれだけ仕上げられるかを意味する「工場生産化率」の向上に寄与しました。現場施工の工数を従来から約15~20%削減し、職方の1名当たりのコスト削減につながっています。
エリア限定で販売していた2017年4月~9月の期間は、600棟を受注するなど好調な売れ行きでした。建物本体価格2,000万円をボリュームゾーンと想定しており、ここの需要を確認できたことで全国展開する運びとなりました。2018年度は、目標販売棟数を2,000棟に据えています。

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21,000プランの規格化商品「フォレスト セレクションBF」~住友林業

住友林業「フォレスト セレクションBF住友林業は、2017年11月、注文住宅のような選択肢の豊富さが特長の規格住宅「フォレスト セレクションBF」を発売しました。創業以来約30万邸の注文住宅の実績を基に、家事動線や収納など暮らしやすいプランを厳選し、1,000プラン、5つのインテリアスタイルと4つの建物外観を組み合わせることを可能としています。
ターゲットは、一次取得層や共働き世帯、子育てが終了した夫婦など幅広く設定しており、設備、仕様に関してもこれまで人気の高かったものを採用しています。豊富な選択肢を持つ同商品をセレクトスタイル商品と銘打ち、年間1,000棟の販売を目指しています。
1,000種類のプランは、東西南北の玄関位置や平屋、2階建のパターンがあり、土地形状への対応力も高いと言えます。さらにBF(ビッグフレーム)構法の住宅用に改良したSI間仕切壁は取り付けかつ取り外しが容易で、子供の成長など顧客のライフスタイルの変化に応じて自由に空間構成を変えることができます。その他、収納充実のキッチン、天井までの書棚などを標準とし、外装材は30年間メンテナンス不要の高い耐久性を持つ同社オリジナル「LS30」を採用している点も訴求ポイントでしょう。
内装スタイルは①あたたかみのあるチェリーの床が醸し出す北欧スタイル、②ウォルナットの床がヴィンテージな空間を作り出すブルックリンスタイル、③オークホワイトの床が特徴的なフレンチスタイル、④華やかなチーク材の床で設えたリゾートスタイル、⑤オークナチュラル床に匠の家具や伝統的な日本の要素取り入れた和スタイルの5タイプです。
1,000プランを用意することは大きな労力とも捉えられますが、元々これまでの過去に手掛けたOB邸がベースのため、非常に効率的です。これまで満足させてきた住宅のブラッシュアップ版として、坪単価58万円から販売しています。

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32017年度期間限定商品「40周年記念Thanksモデル」~トヨタホーム

トヨタホーム「40周年記念Thanksモデル」 トヨタホームは、戸建住宅販売開始40周年を記念し、「40周年記念Thanksモデル」を発売しました。2017年度中の受注限定ですが、発売開始17年9月だったため、わずか7ヶ月間の短期間販売となっています。
同商品は、ユニット工法「シンセ」シリーズの延床面積110m²以下のプランに限定することで価格を抑え、一次取得層を狙っています。コンパクトな間取りながら収納をしっかり確保することで、すっきりした暮らしを提案しており、「シンセ」シリーズの特徴を生かしたLDKの大空間かつ大開口も訴求ポイントです。また、同社はこれまで「建てるときの安心」「建てたあとも安心」「支える安心」の3つの安心を推進してきましたが、同商品に関しても60年長期保証等で生涯サポートを提供しています。
充実した仕様設備も特長で、全館空調のスマートエアーズやHems、LED照明、玄関ドアに関しては電気錠「ラ・ロックⅡ」を採用しています。内装・設備コミコミで坪単価60万円、建物価格2,000万円での販売を想定しており、高コスパ住宅として人気が高まりそうです。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 斎藤 拓郎さん)