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住宅関連 制度・マーケット情報

住宅産業研究所では、低層住宅着工に占める業態別シェアを算出しています。業態の分類は、ハウスメーカーとビルダー、工務店の3つ。ハウスメーカーは大手資本の元で全国展開している、いわゆる大手ハウスメーカー。それ以外の住宅会社を、年間住宅着工棟数20棟以上をビルダー、20棟未満を工務店として分類しています。
持家(注文住宅)着工における業態別シェアの推移では、【ハウスメーカー】が約30%で、残りを【ビルダー】【工務店】が二分するという大まかな傾向は以前から変わっていませんが、13年度の消費増税前駆け込みからの反動減以降、市場の回復とともに【ビルダー】のシェアが高まり、【工務店】が徐々に減ってきています。【ビルダー】でも特に棟数に伸びが見られるのが、広域展開型の大型ビルダーや、地域No.1クラスの大手ビルダーです。全国的にもエリア別にも、棟数ランキング上位の住宅会社がよりシェアを高め、中小工務店のシェアは縮小の一途を辿るという市場の寡占化が進行しています。中小工務店は、高齢経営者の事業承継の問題等もあり、休廃業という選択肢も合わせて生き残りが一層厳しくなってきています。
モノづくりにおいてはハウスメーカーや大手ビルダーに負けないと自負している工務店は少なくないでしょう。しかしながら、住宅計画者が様々な方法で情報を集められる現在では、情報を発信し、拡散する力を持たない工務店が生き残るのは難しくなってくるでしょう。個々の工務店のブランド力や情報発信力を補うため、地域の工務店同士が協力し合い、大手に対抗する集客のシカケをしていこうという動きが全国各地で出てきています。

1目標の2.5倍の集客を獲得〜岡山工務店EXPO

現在、様々なエリアで行われている工務店協業プロジェクトの走りとも言えるのが、14年10月〜15年3月に行われた「岡山工務店EXPO」です。地元の大手ビルダーであるアイム・コラボレーションに約1万m²の大型分譲地の購入の話が舞い込んだことをきっかけに、親交の深いビルダーや地元建材流通大手、地元広告代理店を加えてプロジェクトを立ち上げ、地元工務店16社を集めました。全36区画の分譲地の外周に面する16区画に各社が1棟ずつモデルハウスを建て、6ヶ月間公開して集客を図る展示場イベントを行いました。分譲地中央部の20区画分の敷地は、会期中は駐車場として使用し、会期終了後にそれぞれのモデルハウスと残りの20区画を随時販売して行くという流れです。
参加工務店からは1社当たり100万円広告予算を集め、協賛企業からの出資も合わせると広告の総額予算は約2,700万円。会期が始まる前からテレビCMを打ち、新聞や地元のフリーペーパー等で広告宣伝を行ったところ、オープニングイベントには1,000組以上を集め、駐車場は満杯となり、周辺に渋滞ができるほどの盛況となったそうです。6ヶ月間の集客は、目標の2,000組を大きく上回る約5,000組。来場客1組当たり4.5棟のモデルハウスを見学し、1社当たり1,500組弱の新規名簿を獲得できました。ここから受注に結び付けるのは各工務店次第ですが、集客という点においては大成功のイベントだったと言えるでしょう。

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2分譲地に隣接する里山を住民が共有〜里山住宅博 in 神戸

神戸市の郊外の大型分譲地で16年6月〜17年1月に行われた「里山住宅博 in 神戸」は、全62区画の分譲地に地元工務店23社がモデルハウスを建て、より街づくりを重視したプロジェクトでした。分譲地には約2.3万m²の里山が隣接し、この里山は宅地購入者の共有地として、1区画当たり100坪以上が共有持分として登記されます。里山で育った梅、柿、栗、夏柑、枇杷等の果樹は住民が収穫でき、自然を体感できるというのがこの分譲地のアピールポイントです。
各モデルハウスの外構には地域の材料を使うという前提で、「敷地境界と道路接面との段差解消や仕切りにコンクリートブロック積を使わないこと」、「植物以外は、表札とポストと門灯だけとする」、「既製品のアルミ・スチール製のカーポート・物置・ネットフェンスはつくらない」などのデザインコードを設定しました。
19年春には茨城県のつくばで「里山住宅博」の第二弾が行われる予定で、現在は出展者を募集しているところです。

3展示場イベントと催事イベントを今後も継続〜かがわ家博

香川県の工務店協業プロジェクト「かがわ家博」は、地元大手不動産会社の分譲地に13社の工務店がそれぞれモデルハウスを建て、16年3月〜8月の半年間は展示場としてモデルハウスを公開し、会期終了後に分譲住宅として販売する期間限定の総合展示場イベントでした。各社が建てるモデルハウスには、デザインや価格帯等の縛りを設けずに各社の強みを出せるようにしました。参加社からは1社135万円、設備メーカー等の協賛企業45社からの会費も合わせて約2,500万円を集め、折込チラシや新聞全段広告、テレビCM等の広告宣伝を行い、会期中に約12,000人を集客しました。
「かがわ家博」のイベント第2弾は、分譲地でのモデル展示場イベントではなく、地元の大型催事場「サンメッセ香川」で、ブース出展型のイベント「わくわく家まつり」を開催しました。参加したビルダー・工務店は前回から6社増えて19社。協賛企業や飲食店等を合わせて、100を超えるブースが出展し、会場内ではキャラクターショーやワークショップ等のイベントも実施して、17年8月19日・20日の2日間で、約3,000組・10,000人を集客しました。
分譲地でのモデル展示場イベントとしての「かがわ家博」は、18年6月〜12月に第2回を開催する予定です。今後は分譲展示場の「家博」は2〜3年に1回、催事イベントの「わくわく家まつり」は毎年開催し、地元の定番イベントとして定着させて、知名度向上とブランドの確立を図るそうです。
1社では難しいイベント、集客も、複数の会社が一緒になって行うことで、より存在感が増します。住宅市場縮小期においては、他社との連携は欠かせません。知恵を絞り、生き残りを図る時代です。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 布施 哲朗さん)