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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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住宅新商品トレンド 鉄骨プレハブ系ハウスメーカーは高コスパ木造ブランドでビルダーに対抗

INDEX 2018.9.21

大手ハウスメーカーはこれまで住宅業界を牽引してきました。現在においても年間で1万棟内外の住宅を手掛ける住宅会社はメーカー系のみで、全国的に見るとこれらの勢力は衰えていないように見えます。しかしながら、メーカーシェアという見方では大手ハウスメーカーは若干減少傾向にあります。住宅産業研究所によれば、2008年度は3階建て以下の低層住宅のハウスメーカーシェアが28%だったものが、2016年度は25.6%まで減少。その一方で伸びているのが年間着工20棟以上の住宅会社が属するビルダーのシェアで2008年度39.4%→2016年度48.9%まで増加しています。
また、都道府県毎に見るとビルダー勢力の躍進がはっきりと分かります。住宅産業研究所よる都道府県毎の住宅会社戸建て着工棟数ランキングでは、2008年度、47都道府県中、31のエリアでハウスメーカーがトップに立っていましたが、直近2017年度においては15エリアまで減少しています。

この要因として考えられるのはハウスメーカーが手掛ける住宅の平均単価の上昇と、エンドユーザーの価値観の変化です。近年は、ハウスメーカーから外壁材などを筆頭に高耐久な建材が多く開発、採用されてきました。これが要因の1つとなって、棟単価の上昇を招き、多くのハウスメーカーで平均3,000万円を超えてきています。これらのメーカーではライフサイクルコストを抑えることができると訴求していますが、イニシャルコストの高さに二の足を踏むエンドユーザーが一定数おり、メーカー離れが起きていると考えられます。また、価値観の変化ということでは、一次取得者層である若者の間でコストパフォーマンスを重視するユーザーが増えているということが挙げられます。最近では、メーカーの住宅ほど性能は必要としなくとも、住宅性能としては性能等級全項目で最高を取得できる住宅を販売している地場ビルダーが多くなってきており、このようなコスパの高さを訴求する住宅会社にシェアが奪われているのが実情です。

今回紹介する大手ハウスメーカーの商品は、木造住宅で価格を抑えつつも住宅性能の高さを訴求したものとなっています。

1新工法「PSJ工法」による分譲住宅を販売~パナソニック ホームズ

パークナードテラス 桜区大久保~パナソニック ホームズ

パナソニック ホームズ社はこの7月、さいたま市に木質系工法「PSJ工法」を採用した分譲住宅を建設し、販売しました。この分譲地は共用地である「センターガーデン」を囲む形で住宅を配置し、ゆとりあるランドスケープが魅力の1つです。各戸の建物と外構は親和性を持たせて町全体を一体感のあるデザインを取り入れています。土地の所有は定借権とすることでイニシャルコストを削減し、建物価格としては2,608万~2,862万円です。

この分譲地の住宅は、パナソニックES社が開発した木造住宅の新工法「PSJ工法」を採用しています。「PSJ工法」は邸別に構造設計や設備設計を行い、柱、間柱、梁、構造用面材、外壁断熱材、外部建具が一体となった大型壁パネルを工場で生産して現場で組み立てる工法です。この大型壁パネルは最大4,550mm幅まで製造が可能です。構造材や羽柄材、接合金物を標準化することで、加工の合理化や現場での効率化を図っています。また、構造躯体だけでなく、水廻りや換気設備、配線・配管等を工場にて組み立て製造したコアユニットや、大型屋根パネル等のオプションを組み合わせることも可能です。床組みは構造用合板を梁に直接留め付けることによって、床根太や火打を省略でき、水平剛性も確保できます。
建てる際は、クレーンを用いて大型パネルの建て込みを行い、1日で上棟から戸締りまでを完了することができます。工期に関しても従来から10日間の短縮が可能です。

22×4ブランド「MOKUA」、部材はグループ会社から調達~トヨタホーム

MOKUA~トヨタホーム

トヨタホームは 1977年に戸建商品を発売以来、40年にわたって鉄骨住宅を開発、販売してきました。同社は2018年度、自社初の木質系ブランドとして「MOKUA」を投入し、木質住宅事業へ参入しています。この商品は、同社が手掛ける鉄骨ユニット住宅と比べ2~3割安く、坪単価は約50万円を想定。第一弾プロジェクトとしては、神奈川県足柄上郡開成町で全戸「MOKUA」による11戸の分譲地を開発し、この7月に発売しました。今後に関しても、首都圏や愛知県でも「MOKUA」の分譲地を開発、販売していく方針で、今のところ分譲住宅ブランドに位置付けています。

この住宅は、グループのトヨタウッドユーホームが手掛ける2×4工法の技術を応用しています。躯体を一体化した構造とすることで、 外部からの地震や風といった外力を分散させ、高い耐震性、耐風性を確保。また、高い気密性を持つため、 断熱性能や防音性能にも優れ、安全で快適な住まいを実現し、性能等級としては耐震、耐風、断熱、維持管理、劣化対策の主要5項目において最高を取得しています。
そして、この住宅に使用するパネルを、グループのトヨタウッドユーホームから仕入れていることも特徴の1つです。同社は宇都宮市に本社を構えるトヨタを冠した住宅会社ですが、従来は69年に地元宇都宮に設立された地域密着型のビルダーで、97年にトヨタ自動車と業務提携したことをきっかけに現在の社名となりました。2016年度は、年間実績800棟内外を手掛けるなど北関東有数のビルダーに成長しており、トヨタホームの「MOKUA」はグループシナジーを活かした商品と言えるでしょう。

3積水ハウスより下の価格帯で攻める「積和の木の家」~積和建設

積和の木の家~積和建設 積和の木の家~積和建設

今年3月、積水ハウスは経営計画説明会を開催し、今年度を「戸建て復活の年」と位置づけ、戸建住宅事業において、グループの積和建設が展開する自由設計住宅「積和の木の家」との2ブランド戦略を積極的に推進していくことを明らかにしました。同社では、これまで中高級路線を邁進したことで、17年度の2階建て棟単価が3,807万円まで上昇しています。一方、積和建設の「積和の木の家」は平均単価が2,200万~2,300万円と比較的安価で一次取得者層に訴求しやすい商品と言えます。「積和の木の家」の年度実績としては、受注棟数529棟。現在の目標としては、営業を200名に増員し、1,000棟販売体制の構築です。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 斎藤 拓郎さん)