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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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制度・マーケット情報 自然災害多発列島でのこれからの家づくり

INDEX 2018.10.19

今年は自然災害が非常に多い年です。地震、集中豪雨、洪水、土砂災害、台風、酷暑というのが記憶に新しいですが、火山噴火や冬には豪雪による被害もありました。地球温暖化による異常気象が原因とも言われますが、地震に関しては1年中、何処で起きても不思議ではないのが、この日本列島です。
自然の猛威自体は、人には抗うことは難しいわけですが、備えることは出来ます。人々が暮らす住宅には、人の命を守り、また被害を最小限にくい止める役割もあります。地震や台風に耐え、被災してもそこで暮らせる防災の家づくりは、災害列島日本において、極めて重要な自衛策の一つと言えます。今回は防災という観点から、家づくりを考えてみます。

1地震に強く、夏の暑さにも負けない家づくり~高耐震、高断熱

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今年のような自然災害の多い年には、防災への関心が高まります。住宅の防災性能の良し悪しが生死を分けたり、また被災後の生活をも左右すると言っても過言ではないでしょう。住宅の性能において、耐震性は必須項目で、耐震性の低い家は建てられません。同時に台風などにも強く耐久性が高いのも当たり前の性能と言えます。一方で断熱性能に関しては、現段階では省エネ住宅は義務化はされておらず、2020年に今の省エネ基準である平成25年基準が義務化される方向で進んでいるという段階です。

今年の自然現象による災害一つは、連日摂氏35度を超える猛暑(酷暑)でした。室内の場合は、冷房をつけることで、熱中症などの発症は抑えられるわけですが、家の断熱性能を高めることも熱中症対策に効果があります。地球温暖化の影響ということもあって、これからこういった暑い夏が毎年続く可能性も高そうです。高断熱住宅というのは、猛暑から身を守るという防災面から見ても重要な性能と言えます。

住宅業界では、今ZEHの普及を目指しています。高い断熱性能を持ち、エネルギーを作る住宅というのは、住まう人の暑さや寒さ対策という点と、温熱効果ガスを抑制する地球温暖化対策という点からも、本当に必要な性能になって来ています。ZEH基準となる躯体の断熱性能は、これから当たり前とすべきレベルです。日本の断熱性能の基準は世界的に見たらまだまだ低いレベルであり、もっと高い断熱性能であるZEH+やHEAT20の外皮グレードまで高めていく必要性も叫ばれています。

2災害に備える防災住宅

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防災というと、まず地震への対策が最重視されますが、実際には耐震等級1という住宅もまだまだ多く建てられています。やはり耐震性能は最高等級の3を取り、更には制震装置が付いた住宅、またコストは掛かりますが免震機能も備えた住宅が理想です。
そして地震発生時には、外置きの機器が転倒するケースもあり、アンカーボルトの本数や強度、心棒を根本まで打ち込むなど、地震が起きても機器が守られるということも一つの防災と言えるでしょう。

地震だけでも大阪北部地震と北海道地震と震度6~7クラスが2回、そして水害も今年は大きな被害が出ました。岡山、広島などが大水害を受けた平成30年7月豪雨、そして台風21号の大阪圏への被害です。水害は毎年のように起きていますが、今年は平成に入ってからは最大の被害となってしまいました。甚大な被害を生む水害は一過性のものではなく、今後も増加する可能性が高いと言われています。河川氾濫や沿岸部の津波、山間では土砂崩れなど、水害やそれに類する災害の影響を受ける地域は極めて多く、水害対策もこれから住宅建築を考える上では欠かせません。

家づくりで比較的対応しやすいのは、洪水や内水などによって想定される、床上浸水くらいまでの水害対策です。敷地全体に盛土をする、高基礎にするなど、建物自体を高い場所に置くことは一つの防災となります。あるいは、1階部分をガレージなどのピロティにすることで、水流の影響を抑え、住宅内への浸水を防ぐという方法もあります。
そして立地を選べるのであれば、それらの災害が発生し得る場所は出来る限り避けたいものです。住宅を供給する会社としては、どのような水害が発生する可能性があるのかを、ハザードマップを用いて把握しておく必要があります。国交省が公開する、洪水・津波・土砂災害の警戒区域を確認できるポータルサイト「重ねるハザードマップ」などを利用すると良いでしょう。

また備えという点では、保険への加入も見落せません。火災保険は加入していても、地震や水害の保険には入っていないというケースも多いと思われます。そんな中で、7月の豪雨において、岡山のライフデザイン・カバヤでは、水害の保険に入っていた施主が多く、建て替えのための保険金が下りることで信頼を得たと言います。万一の備えをお勧めすることも防災の一つでしょう。

3災害時、被災後のエネルギー確保の重要性

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自然災害の後には、ライフラインが止まるということが大きな問題として出てきます。例えば6月の大阪北部地震においては、大阪府下を中心にして停電が17万件、都市ガスも11万件が止まったということです。自然災害は時間軸で考えることが重要で、災害後の備えとして、創エネや蓄エネ、エネルギー機器は、機器自体が破損したりしなければ、有効に活用できます。
ストックシェルターや耐震雨水タンク、防災井戸、炊事の出来るかまどなども防災のアイテムとして挙げられます。エネルギー供給に関しては、ダブル発電のハイブリッド型、蓄電池型、電気自動車を使ったV2H型といった形で、様々な創エネ・蓄電システムで備えておくことが、各種災害に向けての対策と言えます。蓄電池も2019年のFIT終了に向けて普及も進んでいくと見られますが、まだ価格的に高い面もあります。電気自動車の蓄電池が使えるV2Hシステムが導入されていることも、電気復旧までのライフラインとして有効でしょう。

レジリエンス機能付のエネファームも発売されています。これは、停電時にエネファームが発電しており、都市ガスと水が供給されている場合にエネファームの発電を継続します。また停電中にエネファームが止まっていても、市販の蓄電池や発電機などのAC100V電源でエネファームを起動することができ、もしもの時にも照明や通信機器が使える電力を確保できます。エネファームは一般モデルも含めて、災害時に貯湯タンクにたまった水を取り出し、雑用水として使用することが可能です。市販のホースにつなげば簡単に水が取り出せます。被災後に水や電気がどれほど貴重であるかは言うまでもありません。機器の性能ももちろんですが、東日本大震災の時にも話題になったように、エネルギーを電気だけに頼るオール電化はそれだけリスクもあり、防災面から見ても電気とガスと両方のエネルギーを使えるハイブリッド型の方が安心と言えるでしょう。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 博計さん)