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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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制度・マーケット情報 いよいよ消費増税、駆け込み対策と反動減に備える

INDEX 2018.12.21

12月に入り、平成が終わりに近づいてきました。そしていよいよ来年の消費税増税の足音が聞こえ始めています。
前回増税以降、大手ハウスメーカーの持家、戸建注文住宅の受注は苦戦が続きました。その後相続税改正や低金利もあって、アパート特需があったため、ある意味住宅市場は大きな減少とならずに推移できています。ただ持家着工を見ると、17年度は28万戸水準で過去20年の中でも2番目に低い着工数でした。増税による駆け込み、そして反動減という大きな波がこれからやって来ると見られます。
国の方でも次の消費増税後の景気後退を回避するために、様々な施策を講じています。軽減税率、幼児教育無償化、ポイント還元など、複雑なものもありますが、増税後のメリットが大きいと感じられる支援策もあります。住宅に関しても景気に与える影響が大きいこともあって、住宅ローン減税の拡充(期間延長)、すまい給付金の更なる増額、住宅版エコポイント(省エネ住宅ポイント)、フラット35Sの金利優遇延長といったところが具体的に上がっています。今のところローン減税3年延長案で固まりそうです。この支援制度は実質2%増税分が返ってくることになりますので、増税後のメリットは大きく、訴求の仕方を注意する必要があります。
一方、駆け込み期には受注を多く取って、反動減が起きた時のための受注残も蓄えておきたいものです。増税前後の住宅業界での対策について考えてみます。

1戸建は回復基調、このまま駆け込み需要が動き出す?

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今年も後半に入ってから、戸建市場はようやく底を打って、大手ハウスメーカーの受注も前年同月比でプラスとなる月が増えて来ました。改めて大手各社の月次の受注動向を見てみると、例えば住友林業の戸建て受注は既に今年初めから上向きで、今年1月以降1年近くに亘ってプラスを維持しています。特に10月は良く前年比25%のプラスで、上半期均しても9%の受注プラスです。

住友林業の受注好調要因として挙げられるのは、一次取得者と建て替え層の両方に向けて商品を強化し、特に一次取得層には土地情報の充実を図りつつ、セレクトスタイル商品「フォレストセレクションBF」による企画プランの商品で、注文住宅も分かりやすく、商談がしやすくなったことがあるようです。全体の27%にまで増えている平屋の訴求がうまく行っていることもあるでしょう。土地、企画化、富裕層と複合的な要素で全体的に伸びたと言えます。

積水化学工業、旭化成ホームズも住宅事業全体で受注好調を維持していますが、やはり若年層向けの商品や見せ方がうまく行っていると言えます。ミサワホームはセンチュリーモノコック120mmパネルの導入により、少し高品質で単価アップということが奏功し、受注が好転しているようです。

大手各社は、今の受注自体は駆け込みではないと分析しているようですが、10月以降増税に関する問い合わせ自体は確実に増えているということです。消費者が、住宅購入にとって増税前がいいのか、後がいいのか、購入へ向けて前向きに動いているということだと思われます。そうなると、動き出すのはやはり年末年始から。更に言えば本格的に動くのは増税後支援制度がしっかり固まってからということにもなるでしょう。そして経過措置が終了する2019年3月末までは残りわずか3ヶ月余りですが、経過措置後も含めてどういった販促を心掛けるべきか考える必要があります。

2受注確保へ向けての取り組み

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若年人口も減っていることもあり、駆け込みがあったとしても、ボリュームは前回ほどは見込めません。支援制度がうまく消費者に受け入れられれば、増税前の駆け込みは起きてもかなり緩やかになる可能性があります。ただ一定数は動くと見られる駆け込み層に向けて、ハウスメーカー各社も駆け込み需要獲得のための商品を発売するなど、積極的に動いています。

例えば、ミサワホームは10月、スマートスタイルH・新スキップ蔵を発売。これまでのスマートスタイルシリーズでは110m²中心でしたが、今回の新スキップ蔵は更にコンパクト化が進んで100m²サイズとなっています。その中で大収納空間「蔵」やスキップフロアを組み合わせた5層設計としていて、リビング天井高は約3m、4.5mの大開口ハイサッシで、通常の住宅よりも開放感が大きい住宅です。価格も2,000万円台前半ということで、20~30代にも買い求めやすい商品と言えます。

特別キャンペーンで囲い込むケースもあります。富裕層向け住宅のイメージがある三菱地所ホームも全館空調「エアロテックFit」の発売キャンペーン商品として打ち出したスマートオーダーFitセレクションを、19年3月までの期間限定で発売しました。1,430~1,610万円(24~32.5坪)という低価格で一次取得層確保を狙っています。

積水ハウスも、30~40代の共働き子育て世帯がターゲットとし、グループの積和建設で同社初の全国統一仕様商品「パルタージュ」を11月より販売開始しました。「仕立てのいい家、ちょうどいい家」をコンセプトにし、全国統一することでコスパを高めています。駆け込み需要に対して、あおるのでなく適正な受注を確保するということが重要です。

3反動減支援策、ローン減税3年延長の効果は?

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住宅購入に関して、国からは増税後に複合的な支援制度が打ち出されていますが、どうも増税後が得になるケースが増えそうです。制度の併用が出来る、出来ないなどもあるでしょうが、施主によってどの支援策の恩恵が大きいのかを見極めることは重要です。
住宅ローン減税に関しては、「3年間の延長」という案で落ち着いたようで、これは一見すると2%増税分はチャラになるという仕組みです。従来の10年間の所得減税に加えて、11~13年目までは建物価格に対しての2%の金額を3年かけて還付する仕組みを導入するということです。借入残高の1%還付を3年続けるのとどちらか少ない方の金額を減税額とするようですが、消費増税分は減税で返ってくると見れば、非常に大きな支援策です。

低年収で所得税が少ない世帯に向けても、すまい給付金が拡充して支給されることになります。年収775万円以下の人を対象に、最大50万円が支給されます。ローン減税とすまい給付金のメリットを併用すれば、増税後が得というケースも増えると思われますし、加えてエコポイントの一律30万円という支援策が使えることとなれば、さらにお得です。13年のローン減税は、2019年10月から2020年12月までの入居者が対象となります。支援期間なども併せて今後の動きを注視し、訴求方法を考えていく必要があります。
もう一つ付け加えると、最も大きい増税後のメリットとなりそうなのは、贈与税非課税枠が1年間3,000万円に拡充される措置です。対象者は多くはないと思われますが、現行の最大限度額1,200万円を大きく超えるような多額の贈与がある場合には、増税後の期間限定支援となります。
不確定要素は、住宅ローン金利です。金利が上がればメリットも帳消しですので、その辺りをどう判断するかということも重要です。

駆け込み期において、重要なことはまずお客さま目線で対応することです。お客さまが求める情報は、買い時はいつかということ。自分にとって増税前と増税後と比較して、どういうメリットがあるのかということでしょう。増税前に買う方が2%の増税分が少なく済むわけですが、増税後もローン減税拡充を始めとした様々な支援制度があるので、その違いを伝えてあげることは重要です。
最終的に答えを出すのはお客さま自身であるにしても、シミュレーションや選択肢を示して、どの時期にどういった手法で購入すると良いかを自身で選んでもらうのが良いと思われます。増税後のメリットを取る施主がいるならば、そのようなダンドリで商談を進めれば良いでしょう。金利が低いうちに、早く新しい家に住むことを求める施主ならば、増税前(来年3月まで)に契約してもらう方向で進めていくと良いでしょう。今の段階ではどちらが得なのかの正確なシミュレーションは作りにくいですが、伝えられる限りの増税前後の比較は、的確に説明することが求められます。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 博計さん)