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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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制度・マーケット情報 消費増税前後の顧客対策と2019年市場の展望

INDEX 2019.2.22

2019年は年号が変わり、消費増税が行われるという変化の大きい年になるでしょう。過去の例からしても、消費増税が住宅業界に与える影響は極めて大きいものとなります。この波を乗り越えることが、次世代の生き残りを左右すると言っても良いでしょう。
今回の消費増税は着工をどう動かすでしょうか。国からは増税後の住宅取得支援策は手厚いものを用意してもらえます。結果として、そもそも大きくはないと思われていた駆け込み需要がより抑えられ、また支援制度の活用で増税後も一定の需要は見込めるでしょう。うまくこの支援策が機能し、消費者が合理的に動くことになれば、従来のような大きな山と谷を抑えられ、しばらくは安定的な市場環境となりそうです。
消費増税の影響を踏まえて、今年以降の住宅市場を展望します。

1住宅取得支援の4本柱を併用すれば増税後が得?

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この2019年という年は、景気の動向は悪いわけではないですが、米中貿易摩擦を始めとした世界情勢、中国経済減速など、あらゆるリスクを抱えて、先が見通しにくい不透明な年であるといえます。消費増税も世界経済が大混乱となれば、まだ先送りされる可能性もゼロではありません。ただそうは言っても、現状注文住宅の8%消費税での契約の期限は、今年3月末まで、おそらく一定数の顧客はあと1ヶ月余りの間に動いてくると思われます。

今回の増税の焦点は、増税後の前と後とどちらがメリットがあるかということと、いつ買うか、住み始めるかということです。
以前にも紹介したように、今回の増税後の住宅取得支援策は非常に手厚いので、単純に同じ価格の建物を買うとしたならば、増税後に買った方がメリットが多い、恩恵を多く受けるという人が多いと思われます。まず簡単に支援制度のおさらいですが、国交省から増税後取得支援の4本柱の制度が打ち出されます。

  • ①住宅ローン減税の3年間延長→建物価格の2%分を還元
  • ②すまい給付金の拡充(対象年収510→775万円以下、給付最高額30→50万円)
  • ③次世代住宅ポイントの付与(新築上限35万ポイント、若年層の既存住宅購入とリフォームを行った場合は最大60万ポイント)
  • ④贈与税非課税枠の拡充(現行上限1,200万円→3,000万円)

この国交省の4つの支援制度は、対象となる条件を満たせば全て併用できるということです。つまり①で、一定の住宅ローンを抱える人であれば、建物価格の2%で消費増税分は相殺され、すまい給付金の拡充分と、次世代住宅ポイントがそのままプラスでもらえるケースが多いということです。すまい給付金は10万円以上の増額、そして耐震、長持ち、エコ、バリアフリーのどれかの基準を満たせば30万ポイント、更に認定長期優良住宅や低炭素住宅、ZEHなどの性能をクリアすれば35万ポイントが付与されます。その部分を合理的に考えれば、増税後に買った方が得と考える人が多いでしょう。但し、資材価格は施工手間賃の上昇などで、建物の価格自体が上がることもありますし、またローン金利という点は上がるか下がるかは分かりません。条件を満たせば絶対に増税後が得ということも言えない部分はあります。そもそもローンを組まずに現金で買う場合やローン自体が少ないというケースでは、ローン減税拡充の効果はありません。
更に、建売住宅など不動産は、今欲しいと思ったときに買わなければなくなってしまうこともあります。また子どもの進学などの時期で、早く住み始めたいという事情がある場合もあるでしょう。ですから損得だけの比較ではなく、やはり増税前に買っておくという選択をすることも一定数あるはずです。

2制度の期限と予算にも注意、2020年のいつまでか

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また注意点として、これら支援制度の期限や予算があるということです。ここにも注意を払わなければなりません。まず今年4月の契約・着工から対象となる次世代住宅ポイントに関しては、終了時期は20年3月末までの契約・着工が対象です。つまり1年間の措置ではあるのですが、注意点は予算がいつ終わるかです。過去のエコポイントなどの実施の時も、予算を使い果たしてしまうことで早期に終了しています。
今回1,300億円が予算計上される予定ですが、仮にリフォームと新築半分ずつとすれば、新築分は650億円分。全て上限35万ポイントで申請されるとすると、単純計算では185,700件分のポイントとなります。これは年間の持家・建売の着工の4割程度であり、予算は着工1年分には足りなく、予定より早期になくなると思われます。
また住宅ローン減税延長に関しても、大前提として消費税10%で購入した場合に適用となり、2020年12月末までに入居した場合に適用になります。つまり今後工事が増えて来ると、着工や工期が先に延びていく可能性は十分にあります。遅くとも2020年の頭頃には契約して、着工に早期に移れるようにしておかないと、20年末の入居には間に合わなくなることもありえます。次世代住宅ポイントの期限である20年3月という1年後が一つの支援制度の区切りになるかと思われます。増税後の支援メリットを受けようと思う場合も、あまりゆっくりはしていられないわけです。

3大型リフォームは増税前、若年層リフォームは増税後

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駆け込み、反動減はおそらく、想定していたものよりも緩やかになるでしょう。一部の現金客や急ぐ客の駆け込み、様子見している客、また最初から増税後を狙って購入しようと考えている客など様々でしょう。これらの客が大きく動くのは、やはり今年の3月から夏くらいに掛けてでしょうか。その後、まだ次世代住宅ポイントの予算があるならば、そこへ向けての支援策終了の駆け込みのような動きもあるかもしれません。いずれにしても住宅購入者を刺激し、今年1年はある程度住宅需要は活性化するはずです。結果として、うまく行けば持家着工は30万戸を超えてくるかもしれません。

またリフォームは新築以上に駆け込みや支援取得での動きがあるかもしれません。リフォームはそもそもシニアの現金客が主体ですから、ローン減税は関係なく増税前に買おうという客はいるでしょう。大型リフォームやキッチン、リビング改装などの工事は駆け込みの可能性があります。
一方で、今回今まで以上にメリットが大きい次世代住宅ポイントは、リフォームにはより大きな後押し効果があります。特に増税後にメリットが大きいのは、若年層や子育て世帯です。若年子育て層が行うリフォームには、最大45万ポイント、更に若年層が既存住宅購入してのリフォームは更に大きい最大60万ポイントが付与されます。新築以上にメリットは大きいため、もしかしたらポイント受付開始後、早期に殺到する可能性もあります。いずれにしても、駆け込みの3月と、支援制度スタートの4月からしばらくは需要が顕在化して顧客が動くことになりそうです。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 博計さん)