お問い合わせはこちら

住宅&住宅設備トレンドウォッチ

印刷用PDF

ビルダー販促事例 ビルダーの営業現場でのAI、VR活用

INDEX 2018.3.16

世の中の技術革新は日進月歩で常に新しいものが生み出され、歴史の中ではその後の産業構造を大きく変化させる革命が起こってきました。現在は人工知能やロボットが産業を大きく変革する第4次産業革命の時代と言われています。
特にインターネットの技術と周辺サービスは、ここ数年で加速度的に進化してきました。従来のインターネットは、ヒトがIT機器を通じてインターネットにつながる世界でしたが、モノが直接インターネットと接続し、モノとヒト、モノとモノとがつながるIoTによって、新たなサービスや市場が生まれてくることが期待されています。
すでにIoTを住宅に取り入れた提案も始まっています。大和ハウスが昨年11月にプロジェクトを開始した「ダイワコネクト」では、音声で動作するスマートスピーカー「グーグルホーム」を住宅に導入し、住宅設備や照明、家電などを声で制御できるようにして、家事の効率化や高齢者世帯の暮らしの負担を軽減すると提案しています。ミサワホームでは、渋谷の総合展示場モデルハウス内に50点のIoTアイテムを展示し、実証実験をしながらエンドユーザーも体験できるようにしています。一部のアイテムにはQRコードを添付し、その場で「Amazon Launchpadストア」から購入することを可能としています。

テクノロジーの進化が住宅業界に与える影響は、商品開発だけではありません。営業の現場でも様々な技術の導入が進んでいます。自社の施工事例や実証実験映像等をわかりやすく伝えるために、紙のカタログではなくiPadを営業ツールとして使用することは一般的になったと言えるでしょう。最近では、AI(人口知能)やVR(バーチャルリアリティ)などのさらに新しい技術が、営業の現場に取り入れられることが増えてきています。これらの先進的な技術の導入は、エンドユーザーにとって新鮮で、自社への関心が高まるだけでなく、社内の業務効率を高め、生産性を向上することにもつながります。

1来場者アンケートをペーパーレス化~桧家住宅

桧家住宅では、新人営業マンの営業スキル向上にAI技術を活用しています。昨年11月から導入している「ひのくまコンシェルジュ」は、LINE WORKSのトークで文字入力または音声で質問をすると、これまでに同社が注文住宅事業で蓄積してきたQ&Aデータを元に、最適な回答を複数表示するという対話式サービスです。質問と回答はAIによって常時分析され、使用頻度の高い回答が上位に表示されるという仕組みで、質問回数を重ねるごとに精度の高い回答が構築されます。新人の営業マンが展示場来場客から質問を受けた際に、的確な回答や提案をできるようにして、顧客の信頼獲得と受注増を目指します。
今年からは、展示場来場者へのアンケートを紙からデータ管理に切り替えています。来場者にはiPadを手渡し、住所や家族構成、土地の有無、予算のイメージなどの基本情報を打ち込んでもらいます。ここで得られたデータはサーバに上げられ、営業マンが持つスマホからもアプリで情報の閲覧や記入ができます。一元管理されたデータは顧客管理システムに反映され、管理客に対する各営業マンの進捗状況を店長やリーダーが確認できます。これまでデータ入力にかかっていた時間や、営業会議の時間を短縮することができ、生産性を高めることが狙いです。

2不動産仲介業者からの質問にAIが回答~ケイアイスター不動産

埼玉から北関東エリアを中心にエリア拡大を図っている分譲ビルダーのケイアイスター不動産では、一昨年頃からは新規エリアへ進出する際には、地元不動産仲介業者と業務提携して土地情報を提供してもらう一方で、代理店として同社の物件を販売してもらうことで、早期に新規エリアでの営業を軌道に乗せています。
昨年11月からは、仲介会社からの物件問い合わせに対し、AIが回答する商談サポートシステムを導入しています。このシステム「KEIAI.net」はAIキャラクターの「ケイコ」が、住宅商品の物件説明やセールストークのポイントなど、仲介会社向けの商談サポートをチャットで行うサービスで、24時間365日対応可能となっています。同社ではこれまで直販を主力としていたため、自社物件を販売するための営業ノウハウが蓄積されています。このノウハウをデータ化して、不動産仲介会社から寄せられる問い合わせに対し、無人でAIが自動的に対応します。新たに提携した不動産仲介会社や、仲介営業の初心者でもスムーズに顧客対応ができるようにして、仲介会社による商品販売の水準を高く均質に保ち、物件情報を的確に伝えることで、購入後のトラブル発生を防ぐことが目的です。

3VRを使ったプランプレゼンで顧客満足度アップ~北洲

3Dの立体映像を、まるでその場にいるかのようにリアルに体験できる新たなツールであるVR技術を、ショールームに導入しているビルダーも増えてきています。宮城県の北洲では、「紙の図面だけでは実際にどのような家が出来上がるのか想像出来ない」という商談客からの声を受けて、仙台支店、岩手支店のショールームに3Dバーチャルシステム(VR)を取り入れています。ショールームに設けたVRルームでは、天井、床、壁の4面にCADの3D画像をリアルサイズで投影し、バーチャルの室内を移動しながら間取りやデザインをリアルに体験できます。
商談初期ではサンプルのプランを取り込んだデモを見せて興味を惹き、商談でプランが固まってくると、実際に提出するプランで体感させてプレゼンをします。以前はプランのプレゼンは間取り図やパース図、模型を使っていましたが、それをVRに置き換えることで、窓の配置や色・素材の変更をすぐにリアルに見せて、イメージしやすくしています。

AIもVRも目新しい技術ですが、あくまで業務効率を向上するためのツールの一つです。どのように使って活かすかは使用者次第。目的をもって上手く活用したいものです。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 布施 哲朗さん)