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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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『雨のみち』をデザインすることで得られる豊かな住まい

2018.5.18

建物の外観をデザインする時、図面に雨といまで描く設計者は一体どれ位いるのでしょうか。
雨といの位置や納まりまで細かく指定するのは少数派で、「うまくつけておいて」と工務店任せにしている設計者も珍しくないと聞きます。
そんな状況に対して、採光や通風を考えるように「雨のみちをデザインしよう」と提唱するのは30年以上にわたり、金属製の雨といの製造・販売を行う株式会社タニタハウジングウェア。代表取締役社長の谷田泰さんに、雨とのつきあい方と雨といと建築が三位一体化することの価値についてお聞きました。

目立たないけれど、なくてはならない雨とい

雨といは、実は色んな価値を提供しています。昔は屋根から雨水を集めて有効利用するための道具として誕生し、それが人の出入りをするところや隣家の迷惑にならないための住宅設備として普及しました。
「設計者の多くは、晴れている日を想定して設計を進めているため、雨といの存在を意識することがほとんどありません。雨といは雨が降っている時に役立つのは当たり前ですが、晴れている時の役割として、『ファサードデザインの邪魔をしない』ということは実は大きな価値を生み出しているのです」と谷田さんはいいます。
タニタハウジングウェアは、12年前から販売するガルバリウム製のシンプルな雨とい(写真1)が建築家を中心に人気を集めているといい、これまでに35,000棟の施工実績があり、年々その数を増やしています。軒先を美しく見せるものを選びたいという意識の高まりを感じます。
上:ガルバリウム製の雨とい「スタンダード」 下:箱型形状の雨とい「HACO」
写真1.
上:「シンプルで目立たない雨といが欲しい」という建築家の要望から2006年に誕生した半丸型のガルバリウム製の雨とい「スタンダード」。
下:ミニマムでモダンな現代建築に馴染むシンプルな箱型形状の雨とい「HACO」。

雨といは建築の顔の印象を決める“まゆ毛”

最近は「景観」を意識して、地域から親しまれる建築を望む人が増えています。特に外観は半公共空間という意識を持たなければなりません。「雨との接点になる屋根材や雨といのデザインも建物や街並みとの調和を図りたいもの。顔の表情がまゆ毛で印象付けられるのと同じで、建物の表情も軒先、すなわち雨といが大切な役割を果たします」(谷田さん)
雨といのデザインを省略して現場任せにした結果、雨といが悪目立ちして、外観デザインのバランスを崩すことになってしまっては本末転倒。「外壁と雨といの色を揃える」「建築に合うデザインの雨といを選ぶ」「軒下にうまく這わせて、建築と一体化させる」ことを意識して設計することで、美しい外観デザインとなり、雨の日だけでなく、晴れている日の価値を高められるのです(写真2)。
2015年度の最優秀翔「世田谷の家」(山崎壮一建築設計事務所)
写真2.「世田谷の家」 設計:山崎壮一建築設計事務所
タニタハウジングウェアは、2年に1度、ガルバリウム製品を使い、魅力ある住宅を選ぶコンテスト「TANITA GALVA コンテスト」を実施。写真は2015年度の最優秀賞「世田谷の家」。雨とい・外壁材と建築が一体化した納まりの良さが評価された。

雨をひらいて、水滴や音を楽しむ

建築と一体化する雨といは、閉鎖されているため雨水が流れる様子はわかりません。谷田さんは「雨をひらく」という表現を用いて、雨の日を積極的に楽しむことを提案しています。「昨年、弊社で販売を開始した『ensui』は、雨水を伝わせて地面に落とす構造の円錐型の鎖といです。実は『#ensui』で検索すると、インスタグラムなどのSNSに画像や動画をアップしている人が大勢いて、鎖といを伝う雫や冬の寒い朝に水滴が凍った光景を美しく切り取って楽しんでいる。『雨をひらく』ことで、住まい手さんと雨の距離感をつなげて「今度いつ雨が降るのかな?」という楽しみが生まれるんです」(谷田さん)。
建築の黒子として控え目に隠れて機能し、時には雨にフォーカスさせてその光景を楽しむこともできる雨とい。(写真3)改めてその存在に着目することで、晴れの日の外観デザインの質を高めながら、雨の日のささやかな楽しみを享受できるのです。建築家、工務店、住まい手のみんなが幸せになる、雨とのつきあい方を見直してみてはいかがですか?

ガルバリウム製の「ensui」
写真3.銅製の鎖といの形状を引き継ぎ、装飾性をなくし建物に寄り添うシンプルな形を追求したガルバリウム製の「ensui」。
インスタグラムに「#ensui」のタグをつけて投稿された鎖といの画像
インスタグラムに「#ensui」のタグをつけて投稿された鎖といの画像。雨のシーンを見つめて楽しむ暮らしが伝わってくる。

監修:リビングデザインセンターOZONE
取材・テキスト:阿部博子

製品のご案内

鎖樋で雨水を景観の一部に。

瀬尾製作所 株式会社 鎖樋 竹
メーカー名
瀬尾製作所 株式会社
URL
https://rainchains.jp/
製品名
鎖樋 竹
素材・仕上げ
ステンレスまたは銅、HL仕上げ
シルバー、黒、銅
長さ
オーダーメイド、案件単位で調整可能
価格(税抜)
61,600円 ※2.7m相当

鎖樋とは、住宅の軒樋などから垂れ下がっている鎖状の樋を指します。軒樋から屋根の雨水を受け、雨水を軒樋から地上に流すための意匠性の高い縦樋です。
ご紹介する鎖樋の竹は、多様化する様々な形の建築に合わせやすい形を目指して作りました。シンプルな形の中に、雨水の流れもデザインの一部として取り入れて、日々変わり続ける天候などの自然の変化を楽しめる製品となっています。
素材は水が流れ落ちる鎖樋中央の部分は全てステンレス製となっており、長年の使用に耐えることができます。
長さは建物の高さにあわせ、1本単位のオーダーメイドで変更することができます。
ご紹介した製品の他にもさまざまな形の鎖樋もございますので、詳細は当社のウェブサイトにてご確認ください。

シンプルでスタンダードなガルバリウム雨とい

株式会社タニタハウジングウェア ガルバリウム雨とい 軒とい:スタンダード ・HACO ・クサリトイensui
メーカー名
株式会社タニタハウジングウェア
URL
http://www.tanita-hw.co.jp
製品名
ガルバリウム雨とい 軒とい:スタンダード ・HACO ・クサリトイensui
素材・仕上げ
ガルバリウム基材厚t0.35+高耐候性特殊(両面)塗装
サイズ
ガルバリウム雨とい(軒とい)L1820mm・L3640mm
クサリトイensui(連結時の長さ)定尺 L2700mm(追加連結可能)
カラー
タニマットカラー(ブラック・ブラウン・ガンメタ・シルバー・ホワイト)
価格(税抜)
参考積算価格
スタンダード(105) 4,000円/m〜
HACO(H6号) 6,000円/m〜
クサリトイensui 13,300円/m〜

外装に現れる建材は、できる限り目出せたくない。特に雨といに関しては、試行錯誤して隠す建築が多々あります。そんな背景や、要望から控えめで目立たない金属ならではのシンプルなデザインを心掛けています。雨といは、幾つもの部品から構成されますが、シームレスに見えるのは薄板金属の為せる技です。塗装は、単なるつや消しではなく、表面が微細な凹凸となる特殊な塗装を施し、よりマットで落ち着いた表情にしています。雨が流れる内側へも表面と同じ仕様のリバーシブル塗装で、より耐久性を重視しています。
ガルバリウム雨といを核とした、外装建材製品のカラー統一化を図った新ブランド「TANITA GALVA」は、2017年度グッドデザイン賞を受賞しました。