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住宅関連 制度・マーケット情報

2017年1月時点の公示地価が、先日発表になりました。住宅地が08年度のリーマン・ショック直前以来のプラスに転じ、住宅市場全体としては良い兆候と言えるかもしれません。ただその実態は、大都市部と地方、中心部と郊外といったエリアによる二極化が進んだことに他なりません。上がるところは上がりますが、下がるところは下がり続けるといった地価の二極化傾向がしばらく続いていて、今後もその傾向は大きくは変わらないでしょう。
4月から2017年度がスタートしました。昨年度は賃貸市場の拡大や住宅ローンの低金利という市場牽引要素があったため、予想以上の着工になったかと思われます。地価の動向は、賃貸でも分譲でも、持家においても、影響を与えてくるものです。どんな土地にどんな家を建てるかという選別の目を持つことは、住宅会社にとっては欠かせない要素と言えそうです。

1地価下げ止まり、地方都市も上がるが、自治体内格差も広がる

国土交通省が3月21日発表した2017年1月1日時点の公示地価は、全国の住宅地が9年ぶりに上昇に転じました。前年比0.022%プラスとほぼ横這いですが、前年の0.2%下落から下げ止まったという言い方は出来るでしょう。背景にあるのは、景気の緩やかな回復や低金利。商業地は既に1年前の2016年から上昇に転じていましたが、今回は住宅地でも一応の上昇ということになります。全用途は0.4%プラスと2年連続の上昇です。

上昇したとは言っても、全国の住宅地17,909地点のうち、上昇したのが34%、下落が43%と、残りは横這いといったところで、実は下落地点の方が多いという傾向は変わっていません。地価が上がったところの特徴は、通勤や買い物に便利な駅から徒歩圏内の場所で、地価が下がったところは、駅から離れて交通の便が悪いような場所です。つまり同じ都市においても、利便性の高い都心居住が進んだということで、地価の二極化が進んでいるわけです。

これから人口減少がますます進む地方自治体では、コンパクトシティー構想を進めています。行政や商業や福祉などの機能を集約する必要性が高まっているため、街の中心部に住む人が増えています。つまり自治体内での二極化という方向は今後ますます強まっていく可能性があります。

また大都市部よりも地方都市の中心部の方が、上昇率が高いということも特徴です。これは三大都市圏は、一足早く地価が上昇していたため、上がり方が低下して来て、一方で地方都市の上昇が追い付いてきたということでしょう。三大都市圏の住宅地の地価上昇率は0.5%と前年並みに留まります。東京圏は上昇率がやや上がりましたが、大阪圏と名古屋圏の住宅地の上昇率は低下しました。都心では価格高騰でマンション販売が鈍ったことも上昇の勢いを落としていると言えます。
県別で住宅地の上昇率が大きいのは、宮城県1.9%→2.4%、福島県2.9%→2.1%、東京都1.6%→1.9%、福岡県0.5%→1.1%、沖縄県1.7%→3.0%と、この5都県です。他プラスとなっているのは、埼玉、千葉、神奈川、愛知、京都、大阪、広島のみ。他は依然として、県全体では下落が続いているわけです。
また札幌、仙台、広島、福岡の地方中核の政令指定都市は、2.3%→2.8%と上昇幅は大きく、勢いがあります。地点別では、1位が仙台市若林区白萩町で12.3%上昇、以下も若林区は続き、7位に福島県いわき市四倉町が10.1%、10位に9.9%上昇の福岡市中央区六本松が入ります。都心部では東京都港区南麻布の10.9%が最も高い上昇率になります。他にも、北陸新幹線開業から2年たった金沢市は6.0%の上昇した地点がありました。マンション開発も盛んになっていて、積和不動産中部は金沢駅から徒歩1分の場所に約100戸のマンション、大和ハウス工業は兼六園近くにマンションを分譲しています。

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2業界の土地政策が、これからのストック市場を左右する

三大都市圏を除く地方圏は商業地がマイナス0.1%、住宅地がマイナス0.4%。ともに25年連続で下落しています。マイナス幅は7年連続で縮まってはいますが、下がっていることには違いなく、地方での地価が下げ止まるということは難しそうです。

住宅会社は、これから優良なストックを適正な立地に供給していくことを考えなければなりません。地方圏の地価は下げ続けてはいますが、全てが下がっているわけではありません。これから活かす土地、また建てても将来需要がなくなり、地価は大きく下落する土地といったところで、線引きされてくると思われます。

今回住宅地地価の下落で、最も大きかったのが、千葉県柏市の大室地区。前年比8.5%下落しています。1970年代に開発された分譲地「柏ビレジ」の一角で、街並みが美しい高級住宅街だったと言います。地価の下落要因は、いわゆるニュータウン開発の高齢化で、住み替えによる空き家増加、また元々バス便という交通機関などの利便性といった問題が大きいようです。
柏市全体の住宅地地価は、0.9%の下落に留まっているということですから、当然市内でも地価上昇地区もあるということです。柏市自体、それほどローカルなエリアでもないですし、駅近くの好立地であれば、地価は上昇しているというのが実情です。

公示地価動向からは、将来における住宅のニーズということが読み取れます。連続して地価が下がっているということは、将来のニーズが低いということですから、人口減社会においては、そのエリアでの住宅建築は資産価値低下のリスクがあります。一方で地価上昇エリアは何等かのメリットがあり、将来ニーズが高いということですから、これからも住民が移り住んでくる可能性があります。
住宅業界の土地政策は、日本の将来住宅ストックを形づくるものです。人口減と高齢化、空き家問題が本格化して来ている今、優良な建物を建築すると共に、将来においてニーズの高いエリアを選別する目は欠かせません。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 博計さん)

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