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住宅関連 制度・マーケット情報

初回接客の際に、自社のアピールとして伝えるべきことはたくさんあります。信頼できる会社であること、構造や性能、デザインといった自社の商品の特徴、今後の家づくりの進め方等です。一方で、客の不安を解消することも商談を進めて行くためには必要なことです。特に初めて住宅を購入する一次取得者の場合は不安に思っていることは多いでしょう。
各種調査機関のアンケート結果では、家づくりに当たって不安に思っていることとして、「手抜き工事や欠陥がないか」といった建物や工事に対する回答と並んで、必ず上位に入っているのが「予算内に収まるか」「将来の収入や生活」「住宅ローンの選び方」といった、お金に対する不安です。内閣府の調査によると、「住宅を所有する必要はないと思う理由」として、「多額のローンをかかえたくないから」が20.9%で最も多い回答でした。一般のサラリーマンの平均所得は年々低下しています。一方で今後は税金や年金などの社会保障費も上がっていくとなると、長期の住宅ローンをかかえて生活することに不安を感じる人は多いと思われます。

商談初期の時点で住宅購入に関するお金の不安を解消しておくことで、その後の商談を進めやすくなります。モデルハウスや見学会に訪れる住宅購入検討者に対し、来場アンケートやヒアリングで年収を掴み、そこから借りられる住宅ローンの額を算出して、だいたいの予算を伝えている住宅会社は少なくありません。この場合の予算は「銀行から借りられる額」であり、「無理なく返済できる額」ではありません。住宅購入にかかるお金の不安を解消するためには、後者の予算の考え方で商談を進めるべきです。
そのために有効なのが、ライフプランです。家庭のお金の使い方を長期的に計画するライフプランを一緒に考えることで信頼を獲得できれば、住宅のプラン・価格ではなく、会社・営業マンで選ばれることができ、無駄な値引きや商談の長期化を解消することもできるはずです。

1オープンセミナーで集め、相談会でランクアップ

ライフプランを進めるため、まずは誰でも参加できるオープンセミナーで集客するという方法があります。ここでは、付帯工事や申請等の諸費用を含めた住宅の総額予算の考え方や、賃貸と持家のどちらが得か、住宅ローン減税や補助金の制度等の、住宅購入の際にかかるお金に関する一般的な情報を伝えます。そして、架空の人物をサンプルとしてライフプランのシミュレーションをして、「住宅の購入を考えているなら、会社を比較検討する前にライフプランを考えておくほうがいいですよ」と、ライフプランの重要性を伝えます。講師として、ファイナンシャルプランナー等の外部の専門家を招く方法もありますが、できれば自社の営業マンが話せるようにする方が良いでしょう。住宅のプロである営業マンが、お金のプロでもあるということで信頼の厚みが増し、先生と生徒という関係を築いて主導権を握ることで、具体的な家づくりの段階に進んでからの商談を進めやすくなります。

このセミナーに参加したお客様との心理的な距離を縮め、より正確な情報を出してもらうために有効なのが個別相談会です。
セミナーの参加者は、セミナーで聞いた内容を自分に置き換えて、「自分の年収だったら予算はどのくらいで考えるべきか」、「いくら借りたら住宅ローン減税はいくらぐらい戻ってくるか」、「今住んでいる賃貸の家賃と、想定する住宅ローンの支払い月額はどれだけ差があるか」等の情報を知りたくなっているはずです。このような質問・相談に個別に応える場として個別相談会のアポを取ります。
相談会ではライフプランを作るためのヒアリングシートを見せながら、同じ年収でもそれぞれの家庭の家族構成や生活スタイルによって異なることを説明し、次回までにヒアリングシートに必要事項を記入してもらいます。ヒアリングシートに記入してもらう内容は、家族構成とそれぞれの年齢、現在の収入と支出、子どもの進学や親の介護等の将来の予定・計画です。家族の趣味やどんな暮らしをしたいか、住宅に関する要望等もここで記入しておいてもらうと、住宅の商談に入ってからのプラン作りを進めやすくなります。

2ライフプランの目的は「信頼を獲得すること」

ライフプランの本番では、まずは記入してもらったヒアリングシートを読み合わせながら、書き忘れていた項目や、見直しできる保険料等、基本となる数字の微調整をします。そして、ライフステージ(年齢)ごとの収支計画をすり合わせながら、住宅にかけられる予算と住宅ローンの借入額、金利等をシミュレーションします。
金利が1%違えば支払総額にどれほどの差が出るか、ボーナス払いをするかしないか、現在ある貯金を頭金として入れるか、万が一のために取っておくか、繰り上げ返済をいつ行っていくか等、様々なパターンをシミュレーションして、理解・納得してもらい、お客様自身で選んでもらったプランをベースとして住宅にかけられる予算を決めます。

ここからは具体的な家づくりの進め方を説明します。入居希望日とローン開始日から逆算して、家づくりの進め方のスケジュールを立て、総額予算から土地と建物にかける予算を決めます。ライフプランの終了時に、土地探しやプラン打ち合わせ等で次回アポが取れればベストです。
ライフプランは、お客様の立場からすれば、お金に関する不安を解消し、住宅の予算を決めることが目的ですが、住宅会社が目的とすべきは実はそこではありません。ライフプランを通じて信頼関係を構築することが真の目的です。「他の展示場では、自社の住宅のアピールポイントばかりを話し、すぐにプラン提案のアポを取ってきたが、この会社はまだ住宅を契約するとは決まっていないのに、ここまで親身になって将来のお金の使い方の相談に乗ってくれた」ということが会社・営業マンへの信頼となり、差別化となります。お金の話ができることは住宅会社にとって大きな武器になるはずです。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 布施 哲朗さん)