お問い合わせはこちら

住宅&住宅設備トレンドウォッチ

印刷用PDF

制度・マーケット情報 増税対策で強化、建売分譲は好調に推移

INDEX 2018.8.24

消費増税が来年10月、もう1年と少しという時期まで迫って来ました。その経過措置として、来年3月までの注文住宅契約の経過措置の終了までは、もう半年余りです。その割にはまだ消費増税の前に住宅購入へ動こうという消費者の動きは鈍いような気がします。
今、着工でプラスに推移しているのは、建売住宅です。2017年度を見ても、建売住宅のみは前年から2.7%増加しました。対して持家は3.3%の減少で、持家と建売住宅の着工戸数は、ちょうど2:1くらいの割合になっています。かつては3倍近い開きがありましたが、この10年くらいの間に2倍程度の差になって来たということです。
今年の増税へ向けて、建売住宅市場は更に仕込みを強化していくと見られます。今回は利用関係別の着工動向を中心に見ていきます。

※建築主が自分で居住する目的で建築するもの

1増税前の動きはまだ鈍い、持家着工はいつ戻るか

イメージ1

本来ならば、既に持家着工はプラスになっていても良い時期かと思います。持家着工を見てみるとまだ前年割れの状況が続いています。消費税が8%になった前回と、5%になった前々回、2回の増税が行われた時には、増税の1年前という段階では、持家は完全にプラスの方向で推移していました。例えば、2014年増税の時には、経過措置終了が、2013年の9月まででした。その1年前の2012年9月には既に持家着工は前年比で二桁増となっていて、その後も2014年1月まで、17ヶ月連続でプラスを維持しました。

ところが、今の持家着工の動向を見ると、今年2月以降5ヶ月連続マイナス。それどころか昨年6月以降、プラスになったのは今年1月の0.1%増のみで、1年以上に亘って、前年割れが続いている状態と言っても良いでしょう。非常に厳しい状態が続いていると言っても良いと思います。工法別では特にプレハブの落ち込みが大きく、これは大手ハウスメーカーの受注動向も反映しています。

前回増税に照らしてみれば、既に今年3月から着工はプラスとなっていても良いわけです。つまりは駆け込み需要の動きは、前回に比べてかなり鈍いということは言えそうです。大手ハウスメーカーの受注は、5~6月で少し底を打って回復して来たようではありますが、増税前の段階で2018年度の持家着工が30万戸を超えられるかどうかも、微妙な動きと言えます。

2貸家は失速続く、13ヶ月連続マイナス

イメージ2

貸家の着工は13ヶ月連続でマイナスとなりました。8%増税後に市場を牽引してきたのは貸家でした。需要が収束し、その他融資の問題等も含めて、貸家ブームは一旦終了。相続税改正以降、好調に推移して来た分の反動減が今続いているという状況です。それでもまだ前年度は40万戸を超えていますし、今年度も低層アパートは4~6月で7.4%減とマイナスが大きいのですが、逆に中高層の賃貸住宅は9.3%増とプラスで推移しています。中高層は大型物件が多いためブレが大きく、またマイナス方向に動くことも考えられますが、給与住宅を除く貸家全体の着工が激しく減少して来たという状況にはなっていません。6月までで3.5%減少です。ただおそらく貸家に関しては、駆け込み需要の期待も薄く、今年度はマイナスで推移していくかと思われます。

3建売分譲のみは堅調、増税前の仕込み強化

イメージ3

唯一堅調な動向を見せているのが、建売住宅です。建売住宅に関しては、足元でも4~6月は前年同期比2.1%プラスですが、中期的にも着工はプラスという状況です。持家とは逆の傾向を辿っていると言えるでしょう。持家は直近10年の着工の平均は30.2万戸。ピークとなったのは、駆け込みのあった2013年度の35.2万戸です。一方建売の10年平均は12.5万戸。駆け込み前の13年度よりも2016、2017年度は着工が多く、最多が17年度の14.3万戸です。

こういった建売市場の盛り上がりはプレイヤーの動きとも連動していて、特に市場占有率が高い飯田グループHDなどが好調に着工を伸ばしているということもあります。また都市部のマンションが高騰し、一般消費者には手の届かない物件となっていることも、建売市場への流入を促進させていると見られます。東京のオープンハウスが強いのは、こういった従来のマンション客を取っているということもあるわけです。

大手ハウスメーカーも建売住宅用に用地を仕込んでおり、ビルダーにシェアを取られている建売分譲や土地付き住宅を強化しているといったところです。大手もビルダーも、各社が次の増税へ向けて今考えているのは、駆け込みとその反動減対策です。経過措置終了後の来年4月以降に売り出すため、用地を仕込み、注文住宅が売れなくなった後は、来年9月末までに建売住宅を売ろうということです。つまり今年度はまだまだ建売着工が増えていくことが考えられます。

但し、土地・不動産に投資し過ぎることは、当然リスクも伴うことは言うまでもありません。多く用地を確保し過ぎて、それを全部売り切ることが出来なかった場合は、値下げをして売って行くことにもなります。当然利益を圧迫していくことにつながって、その在庫処分売りが多くなればなるほど、経営にも響いてくるわけです。どのレベルで用地を仕込み、どういった売り方をしていくかということを、リスクも踏まえて計画していくことは重要になってきます。
将来的に、ストックの流通がもっと盛んになれば、新築の建売住宅も今のようには売れなくなってきます。市場全体の動向を見ながら、どんな住宅を売って行くか、増税前後は少し先を見据えた戦略的な目線が欠かせません。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 関 博計さん)