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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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ビルダー販促事例 DIY提案で付加価値を訴求する

INDEX 2018.9.21

テレビやWEB等のメディアで「DIY」という言葉を目にすることが増えてきています。主婦向けのワイドショーでは、掃除や収納等の生活の知恵等の情報と関連して、ちょっとした棚や内装をDIYで作るような提案や、芸能人がDIYで古い住宅をリニューアルするような番組が放送されています。

「DIY」というと、かつては「日曜大工」という言葉に近く、男性的な趣味のイメージが強かったですが、女性に好まれるようなお洒落な壁紙や輸入建具を取り揃える業者も増え、電動工具を使えば女性でも簡単にできるというイメージに切り替わってきています。減少が続いていた大手ホームセンター5社の新規出店数は6年ぶりに増加に転じ、今年度は前期比3割増となる見通しです。工房スペースを設けてDIYの講座を開いたり、小物づくりの動画をWEBで配信するような試みを行うホームセンターも増えてきました。

モノ消費よりもコト消費が重視されるようになった昨今では、完成されたモノを買うのではなく、自分で手を加えるコトを楽しむDIYが受け入れられやすくなっています。また、Instagram等のSNSの普及により、自分の体験や作品を投稿してシェアする文化は、若者を中心に定着してきています。

1新築でもDIYの提案が増える

住宅業界においては、DIYというと新築よりも賃貸住宅や住宅リフォームの領域で先行していましたが、新築戸建においても、内装の一部を未完成のままで引き渡し、施主が自らDIYで仕上げるような商品やプラン提案が増えてきています。
DIYをすることの施主のメリットとしては、
  • ①すべて業者に依頼するよりも費用を安く抑えられる
  • ②自分好みの建材や設備を採用できる
  • ③家づくりに参加することで充実感・達成感がある
と言ったことが挙げられます。
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DIYを提案する住宅会社にもメリットがあります。建物の構造部分である「スケルトン」は、確かな性能のものをプロの技術で完成させることが求められますが、内装などの「インフィル」の一部は施主のDIYでも仕上げることができます。これによって現場の手離れを良くして工期を短縮することができ、施主の満足度向上にもつながります。引き渡し後もDIYの相談等をきっかけに顧客とつながり続けることで、将来的なリフォーム需要の捕捉にもつなげられます。

2ラフな内装を施主が仕上げる…BESS「ワンダーボイド」

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住宅FCのBESSでは、住宅性能や価格よりも感性で家選びをする客層をターゲットとして、ログハウスを中心に暮らしを楽しむ住宅商品を取り揃えています。同社がOB客を対象として実施したアンケートでは、自宅のメンテナンスをほぼ・半分以上を自分でやる人が61%、ガーデニングや庭造り、DIYを始めた人が約6割と、購入した家に手をかけて暮らしを楽しんでいる人が多いという回答が得られました。

このようなDIY志向の客層をターゲットとして、昨年4月に発売した商品が、同社の主力商品である「ワンダーデバイス」からの派生商品の「ワンダーボイド」です。延床面積32坪の総2階を基本形として、2階を間仕切りの無い1部屋の大空間とするプランを設け、内装の一部は無塗装の合板で仕上げています。施主が自ら家具や布で空間を仕切って自由な間取りにしたり、ペンキ等の塗料で内壁を好きな色に塗れるようになっている商品です。

BESSの展示場は、デザインの異なる複数のモデルハウスを建てて世界観を作り出す単独展示場を基本形としていますが、今年からは展示場の名称を「LOGWAY」と改め、より暮らし提案を重視した集客拠点としています。展示場内にDIYや薪割り、薪ストーブを使ったアウトドア料理等を教えるコーナーを作り、BESSのOB客を「LOGWAYコーチャー」として週末等に展示場に招いて、コーチャーが自分の暮らしや体験の話を交えながら、来場者にアドバイスをするようにしています。アウトドアやDIYといった共通の趣味を介してOB客と新規客とを交流させることで、ファン化を図るという試みです。

3完成レベルを3段階から選択するDIY住宅~9(ナイン)

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大阪の9(ナイン)は、住宅や店舗のデザイン・リノベ、ゲストハウスやシェアオフィス等の事業を展開しています。新築事業においては「未完成住宅」というブランドで、DIYで完成させる住宅購入の方法を提案しています。

「未完成住宅」では、住宅の完成レベルを3段階から選択できます。《50%》は躯体と電気・設備工事までを完成させた段階、《90%》は壁と天井の内装仕上げのみを残した段階、《99%》は一部の壁の仕上げを残した段階です。《50%》はプロ及びセミプロ向けと位置づけ、エンドユーザーからはほぼ《90%》か《99%》が選ばれます。《90%》は一週間程度、壁の一部と棚等を設置する《99%》は半日程度のDIY工期を想定しています。施主は完成レベルを選ぶと、どの部分をDIYで施工するかを選び、家族や知人のみで施工するか、職人や同社のスタッフの手を借りるかを選択できます。

完成後はDIYに参加した家族・知人やスタッフ、DIYに参加していない友人も集めて完成パーティを開くことを推奨しています。パーティの様子や施工中の写真は同社のホームページやSNSにも掲載しますが、施主も自身のアカウントでSNSにDIYの工程を投稿することが多く、施主の友人達や、DIY志向を持つ第三者に情報が自然に拡散されるようになっています。
単に新居を手に入れるのではなく、DIYを楽しむという「コト消費」を意識した商品の打ち出し方と言えます。

未完成の住宅をDIYで完成させるという住宅の取得方法は、コスパを重視し「コト消費」を楽しむ若い世代を中心に今後も広まっていきそうです。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 布施 哲朗さん)