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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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住宅新商品トレンド 家族の成長を見守る住まいを新提案

INDEX 2018.11.16

住宅の間取りは一般的に「nLDK」で表記されています。このルーツは戦後の1951年、東京大学建築学科の吉武泰己研究室が提唱した「公営住宅標準設計51C型」にあります。通称「51C」は日本の集合住宅の原型である公営住宅の設計提案であり、食事と就寝する部屋を分ける「食寝分離」の考え方を国内で初めて提唱したことでも有名です。当時の公営住宅は「2DK」が主流でした。この「51C」の考え方が全国に広がるなかで、次第に住宅内における「公」と「私」の分離、所謂プライベート空間の確保が重視されることとなります。家族団らんの場としてのリビング「L」と食事の場である「D」、キッチンの「K」に加え、家族の構成人数に合わせた個室の数を「n」として盛り込み、現在の「nLDK」として定着しています。

しかしながら、この「nLDK」の考え方は、間取り提案をする上で合理的であるように見えますが、住宅という3次元の空間を最初から平面で考えるということで、空間形成を限定的にする可能性があります。また、現代人の価値観や住まい方のニーズが徐々に変化しつつあり、新しい住宅提案が必要であるとも考えられます。

今回紹介するハウスメーカーの商品は、家族に着目しつつ、居住者がより自由に住宅空間を活用できる提案がメインとなっています。

1LDKから脱却、「ファミリースイート」で家族の新しい生活スタイルを提案~積水ハウス

積水ハウス「イズ・ロイエファミリースイート」

積水ハウスはこの10月、新コンセプトモデルとなる「イズ・ロイエ ファミリースイート」を発売しました。この商品は、従来の「LDK発想」からの脱却し、家族が思い思いに過ごし、家族みんながワクワクできるような空間を目指すべく、「新しいリビングのあり方」の提案をコンセプトとしています。

同商品は、多用途に利用できる仕切りのない最大7m×7mの大空間リビングを中心とする新しい住まい方提案が特長です。同社は、これからの住まいが居住者に提供する価値を、健康や家族の絆、友人とのつながりなどによる、自分らしさ、生きがい、楽しさなどの無形価値である「幸福感」と捉えています。「ファミリースイート」は、いかなるシーンでも家族の心地よい距離感を保つ空間と、家族の多彩な生活シーンに対応し、「わが家らしい住みこなし」が実現可能です。

「ファミリースイート」実現の要因は、同社開発の「ダイナミックビーム」と称する大断面梁です。高強度梁の採用と当社の技術革新により、同じ外形の従来型プランと比べ、コストを抑えながら、魅力的な空間提案ができます。また、業界最高水準の断熱性能を持つ「超高断熱アルミ樹脂複合サッシ」で断熱性能を強化。室内の温度差が少ない健康で快適な暮らしを実現し、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)にも対応しています。
坪単価は69.5万円~で、販売目標はこの商品を含むイズ・シリーズで6,000棟としています。

2学研と共同開発、子どもの心・体・頭を育てる「こどもっと」~パナソニック ホームズ

パナソニック ホームズ「こどもっと」外観
パナソニック ホームズ「こどもっと」内観

パナソニック ホームズは学研ホールディングスと共に、子育て世帯に向け戸建住宅NEW「KODOMOTO(こどもっと)」を開発し、この10月末より発売しています。参考価格としては、ZEH仕様かつ太陽光発電システム5.1kW、蓄電池5.6kWを搭載して、38.67坪2,877万円。第一弾から3年振りの新商品で、初年度1,000棟の販売目標としています。
この商品では、家族みんなで成長できる3つの要素として、「育ちの基盤」、「育ちの意欲」、「育ちの環境」を提案しています。

「育ちの基盤」は主に子どもが生まれてから小学校低学年までに身に付けさせたい基盤能力である「運動機能」と「正しい生活習慣」の向上が狙いです。成長に合わせた収納家具提案や、子どもが集中できる環境を住宅内に用意し、心の整理を促し、想像力の育成を促します。また、ボルダリング等を設置することで、住宅内で子どもの運動能力を育てる提案をしています。「育ちの意欲」では、家族がお互いに会話を楽しんだり、お手伝いを促すオープンタイプのキッチンや、宿題や仕事をダイニングテーブルで行う「Familyコワーキング」などを提案。「育ちの環境」では、子どもが学ぶ意欲を持ち続けるための空間づくりが特長です。

パナソニック ホームズ、学研の両社は、神奈川県藤沢市のFujisawaサスティナブル・スマートタウン(以下、Fujisawa SST)の開発を進めるFujisawa SST協議会に参画しており、それぞれが目指す「子どもの成長や自立心を育むための良好な子育て環境の実現」と「子育て支援」の目的が合致した経緯から、『こどもっと』の共同開発が実現しました。

今回の新発売にあたっては、Fujisawa SST協議会の協力のもと、現地にモデルハウスを設置し、同住宅のコンセプトについて、実住宅でエンドユーザーに体感・共感していただき、拡販に繋げていくことを狙っています。

3共働き子育て世帯の暮らしをもっと楽しめる「パルタージュ」発売~積和建設

積和建設「パルタージュ」外観
積和建設「パルタージュ」内観
積和建設「パルタージュ」内観

「家事も、楽しみも、わかちあう家。」をコンセプトに開発された商品が積和建設の「パルタージュ」。家事を協力し合いながら子育てをする夫婦にとって、家族みんなが楽しく過ごす時間はもちろんのこと、自分の趣味に没頭したり、独りでリラックスできる時間も大切です。このような家族のために、生まれたのが「パルタージュ」です。

下記の提案により、共働き世帯に配慮しています。さらに住宅性能にもこだわり、耐震性能や断熱性能では住宅性能表示制度の最高等級に標準仕様で適合し、長期優良住宅、ZEHにも対応可能です。

  • ①土間リビング+あらわし梁…子どもの遊び場やくつろぎの場として活用できる空間
  • ②ドライルーム(室内干しスペース)…夜の間に洗濯して干すことで、効率的な家事を
  • ③ファミリークローゼット…洗濯物を干して、畳んで、仕舞う動線に配慮した家族共用の クローゼット
  • ④ワークカウンター…子どもが宿題、大人が在宅ワークなどができるコーナーを確保
  • ⑤タタミコーナー…取り込んだ洗濯物にアイロン掛けして、畳むことが可能
  • ⑥土間収納…靴や雨具、ベビーカーなど玄関から便利に出し入れできる収納

坪単価としては、55万円~に抑え、年間300棟の販売を目標としています。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 斎藤 拓郎さん)