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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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ビルダー販促事例 新築と同時にインテリア・エクステリアを提案する

INDEX 2019.1.25

住宅購入者は、建物を引き渡されたその日からすぐに新生活を始められるわけではありません。家具や家電製品などの家財道具を揃えて、ガス・電気・水道等のインフラを通して、引っ越してからが新生活のスタートです。直前まで住んでいた住居で使用していた家具・家電をそのまま使うこともありますが、新居に合わせてこれらを新調するというケースは少なくありません。また、敷地に建物だけが建った段階では、新居が完成したという実感は湧きにくいでしょう。外構工事が終了し、外観もすべて整ったところで、新居が完成したと実感する施主が多いのではないでしょうか。

家具・家電(インテリア)と外構(エクステリア)は、住宅購入後の新生活に必須と言えます。しかしながら、インテリアは施主が自分で購入するもの、エクステリアは外注の専門業者に丸投げというのが一般的な考え方で、これらを内製化しているビルダー・工務店は多くはありません。これは勿体ないことで、取れるものなら自社で取りたいものです。今回は提案により、インテリア・エクステリアを一括して請け負うメリットや、事例を紹介します。

1インテリア・エクステリア提案のメリット

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新築と同時にインテリア・エクステリアを提案し、自社で受注することのメリットは、第一に顧客満足度の向上。建物のプランづくりと同じように、好みや要望、予算に合ったインテリア・エクステリアを提案し、全体をトータルコーディネイトすることで、他社と差別化でき、引き渡し後の満足度も高まるはずです。特に間取りやデザインにこだわりのある施主の場合は、建物のデザインテイストに合った家具や庭の提案は差別化となります。

第二に客単価アップ。これから新築を購入する若年層は、そもそもの所得が低く、年功序列的な昇給で給料が増えて行くことが確約されているわけではありません。住宅にかけられる予算が今後大きく高まっていくことは考えにくく、建物本体の価格は安いに越したことはありません。建物で客単価を高めにくいとすれば、従来は施主が他社(家具店・専門業者)で購入・発注していた、インテリアやエクステリアを自社で販売・受注することは、客単価を維持、もしくは高めていくための有効な手段の一つと言えます。

第三に総予算に幅を持たせられること。総予算を考える際には、建物本体価格だけでなく、土地無し客の場合は土地の価格、この他にかかってくる付帯工事や申請費用等も合わせて説明します。自社で外構まで請け負わなくても、だいたい外構にいくらぐらいの予算を残しておくべきかを伝えている住宅会社も少なくないでしょう。これに加え、新築時に新調するかもしれない家具や家電の費用も説明して予算も確保しておくと、オプション等で建物の見積りが予定よりも上振れた時に、調整できる予算の幅ができます。また、住宅以外にもかかる様々な費用を含めたライフプランをベースに予算決めを進めることは、信頼獲得にもつながります。

2建物とセットで家具・家電を販売…正栄産業、ヤマダホームズ

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富山の正栄産業では、家具・インテリアショップのアクタスの販売店として、富山市と金沢市で1店舗ずつ家具ショップを運営しています。同社の住宅商品の一つ「アクタスラボ」は、「インテリアで完成する家」をキャッチコピーとする定額制の自由設計商品です。1,680万円~の本体価格には、照明やエアコンの他、200万円分の家具代金が含まれ、同社の店舗で家具を自由に選ぶことができます。
住宅の購入を具体的に考える前に、店舗で200万円分の家具・インテリアを選んでみるという体験イベントも行っています。家からインテリアを考えるのではなく、家具店での商品購入をきっかけに家づくりを考え始める客層も少なくないそうです。

家電と住宅の同時提案では、ヤマダ電機を親会社に持つヤマダホームズがグループの強みを活かし、他社を一歩リードしています。同社には、建物本体価格に家電・家具を含で販売する「スーパーフル装備住宅」という商品があります。元々家電も家具も一括受注できる仕組みです。また主力商品の「フェリディア」にも、全室エアコン・照明・カーテン・家電等をセットにして、ヤマダ電機のポイントを付与するオプションを設けています。
全国約700店舗を展開するヤマダ電機の家電店については、家電と家具、リフォームを同時提案できる「家電住まいる館」への移行を進めており、現在は約40店舗が「家電住まいる館」にリニューアルされています。

3専任部署を設けてエクステリアの捕捉率アップ…アイム・コラボレーション

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新築時に同時提案できる外構・エクステリアは、土間コンと門扉・フェンスのみといった最低限のものから、本格的な庭づくりまで幅広く、最近では第二のリビングとして1階開口部に面して広いウッドデッキを設けるような提案も増えてきています。最低限のところまでだと、外構だけではあまり大きな利益は取りにくく、施主としても、建物とは別に専門業者に依頼するほうが安く上がります。建物とエクステリアの同時提案で客単価アップを図るのであれば、独自の商材や設計力・デザイン力で差別化することがポイントとなります。

岡山のアイム・コラボレーションでは、5年程前にエクステリアFCのエスティナに加盟し、社内に専任部署を設けて外構提案を強化しています。昨年10月にオープンしたモデルハウスは、子育て世代向けのプランをテーマとして、庭に鉄棒等の遊具を設置し、植栽を植えて外構を作り込んで、建物とセットで外構の提案もしやすい設えとしています。現在は新築と外構の同時受注率は約70%に高まり、一件当たり平均約120万円の受注が取れるようになっているそうです。

住宅商品のトレンドとして、住宅設備や家電等をインターネットでつないで管理・制御する「IoT住宅」の開発が進められています。家電メーカーからは、IoT住宅のネットワークで制御できる製品が今後続々と開発されることが予測されますし、玄関ドアや窓、門扉、宅配ボックス等のエクステリアに関連する製品もIT化が進んでいくことでしょう。今後、IoT住宅が進化して行けば、建物+住宅設備+家電+エクステリアのセット販売とその初期設定、エネルギーを供給するガス・電気会社の選定等も合わせた、パッケージ提案型の住宅商品や、新たな販売方法も出てくるでしょう。住宅会社には、建物に加えてインテリア・エクステリアも同時提案するだけでなく、更に周辺のIoT機器やインフラも提案できるコンサルティング力が求められるようになるかも知れません。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 布施 哲朗さん)