住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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健康で楽しむ浴室のデザインと設備計画

2019.12.20

今年も冬を迎え、寒い季節がやってきました。家に帰って暖かいお風呂につかり、一日の疲れを取りながらゆったりするのが楽しみという人も多いのではないでしょうか。入浴は体を清潔にするだけでなく、体を温めて血液循環を良くしたり、ぬるい温度で入浴することで副交感神経が優位となりリラックスしたりと、健康・美容に繋がる効果も期待されています。
浴室には、ヒートショック防止、給湯、断熱、節水、省エネなど様々な課題の対処が求められます。快適でエネルギー消費の少ない住宅に精通する建築家・大川直治さんから、健康で快適な入浴が叶う浴室のヒントを、設備の視点からご紹介いただきます。

健康で楽しむお風呂ライフのために

本来楽しいはずの入浴ですが、「ヒートショック」で命を落とす人が年間17,000人(*1)と推計されていることをご存知でしょうか。交通事故の死者が4,000人(*2)を切る今日では実にその4倍以上であることは驚きです。ヒートショックとは、暖かいリビングなどから室温の低い脱衣室・浴室やトイレなど、部屋間の温度差で血圧の変動が大きい場合に、脳卒中や脳血栓・心筋梗塞などが引き起こされることです。

ヒートショックを防ぐ為には、部屋間の温度差を無くすことが必要です。現在お住まいの家でしたら入浴前に脱衣室・浴室を暖めておくことが有効です。新築や改修の場合は、家全体の断熱を強化して熱の逃げを防止し、部屋間の温度差を少なくすることが出来ます。同時に冷暖房など家全体の省エネにもつながり、普段の生活でも体感温度(*3)が上がって快適に毎日を過ごすことが出来るようになります。

(*1)2011年東京都健康長寿医療センター研究所による
(*2)2018年の交通事故死者数は3,532人
(*3)体感温度=(室温+床・壁・天井の温度)÷2で示される

浴室からの省エネルギーの工夫

家のエネルギー使用量(*4)を見ますと、「給湯」に約3割のエネルギーを使っています。この割合は欧米と比較すると大きく、お風呂好きの日本人を表す数字です。この給湯エネルギー節約は他のエネルギー削減より取り組みやすいと言われていますので、設備や生活の工夫でぜひ実践して行きたい所です。

お湯を作る給湯設備には、「瞬間式」と「貯湯式」の給湯器が有ります。瞬間式給湯器では、ガスや灯油からお湯を作る効率を従来製品より15%程度上げた「潜熱回収型給湯器(エコジョーズ)」を使用しましょう。貯湯式給湯器では、従来深夜電力を利用した電気給湯器がマンションなどで多く普及していましたが効率が悪く、また深夜電力の割引も小さくなっている中、取り替える場合は「ヒートポンプ式給湯器(エコキュート)」が挙げられます。また、発電しながらお湯を作ることができる「コージェネレーションシステム(エネファームなど)」もエネルギー使用量を少なくする上で有効です。

無限に降り注ぐ太陽熱を利用することも省エネに大変有効です。畳2帖程度の集熱パネルを屋根に設置するだけで、太陽光発電より多くの家庭で設置が可能です。単に水を暖めてお風呂に給湯するタイプから、台所や洗面所の給湯+床暖房など広い使い方をするシステムなど多くの製品が出ていますので、ぜひ利用したいものです。

家族で入浴する場合、なるべく間を空けず入浴することと、浴槽を断熱してお湯を冷まさないことが省エネに有効です。また、手元留めシャワーや水優先式水栓などは節水効果もあり水道代の節約にもなりますのでお勧めです。

(*4)エネルギー白書2018より 2016年の一般家庭のエネルギー消費割合では給湯は28.3%

お風呂を楽しむためのデザインと設備

省エネの設備を整えた後は、浴室自体も快適に楽しむ場としてデザインすることも検討しましょう。音楽や映像を楽しむ機器を設置したり、浴室の照明にコントローラーを付けて照度を落としたり、ゆったりした気分になる仕掛けも良いでしょう。ミストサウナやジェットバスなど手軽に設置できる設備では、ご家庭でも温泉に行ったような気分になります。

デザイン的には浴室に面して中庭を作り入浴しながら庭を見たりして、ちょっとした露天風呂感覚で利用するのも良いでしょう。浴室より直接出られる外部デッキなどを設けると夏など入浴後のホテリをさましながらビールなど楽しめます(事例1「上原の家」)。もちろん、外部より見えない工夫は必要ですね。トップライトなどで広さを演出し、日中青空を見ながら入浴する事などは週末の楽しみとなること請け合いです(事例2「善福寺の家」)。浴室の広さを確保するのが難しい場合は、洗面所・脱衣室と浴室の間仕切りをガラスにすることにより、双方ゆったりした感覚を得る水回りとする事が可能です(事例3「蔵前の家」)。

省エネしてお財布に優しい浴室で、健康で快適な入浴を楽しみましょう。

事例1「上原の家」
事例1「上原の家」
ジェットバス付きの2人で入れる大きめの浴槽。
外部デッキに直接出られます。
事例2「善福寺の家」
事例2「善福寺の家」
トップライト付きの出窓を付けて広い浴室に
事例3「蔵前の家」
事例3「蔵前の家」
ガラスの間仕切りで広さを演出

テキスト=大川 直治(大川建築都市設計研究所)
監修=リビングデザインセンターOZONE

製品のご案内

きれい好きな方・ゆったりとした居心地のよい空間で寛ぎたい方へお勧めアクリアバス

クリナップ株式会社 浴室空間
クリナップ株式会社 7Smileコンセプト
メーカー名
クリナップ株式会社
URL
http://cleanup.jp/
製品名
AQULIA-BATH(アクリアバス) ※2020年2月3日より新発売
参考サイズ
1616(1坪)タイプ
参考価格(税抜)
1,058,000円~

アクリアバスは、浴室の基本ニーズである「あったか」「あんしん」「きれい」を実現しながら、住む人のインテリアスタイルに合わせた空間を創り出します。
『7Smile』のコンセプトで、掃除のしやすい仕様・入浴前に室内を20℃にする床夏シャワー・浴室まるごと保温で、ヒートショック対策も万全と機能満載なシステムバス。浴室フロアも、【アクリストン】人工大理石素材を標準としており、ペットを飼っている方には、傷のつきにくい最適なフロアとなります。
また浴室の印象を大きく左右する壁面に「腰壁デザイン」を取り入れました。壁の下側に違う素材を用いる建築手法で、意匠的表現力の高さが注目され近年人気のデザインです。また、腰壁デザインは空間を広く感じられる視覚効果もあり、ゆったりとした居心地のよい空間を実現します。

『徒歩30秒の楽園リゾート』をかなえる空間 ─非日常をかなえる機能性と、感性に響く美しいデザイン─

パナソニック株式会社 徒歩30秒の楽園(リゾート)
パナソニック株式会社 Lクラスバスルーム
メーカー名
パナソニック株式会社
URL
https://sumai.panasonic.jp/bathroom/new/
製品名
Lクラスバスルーム
サイズ
戸建住宅用9サイズ マンション用5サイズ
価格(税抜)
戸建住宅用:約153万円~(1616サイズ)
マンション用:約153万円~(1418サイズ)

自分らしさをかなえるくつろぎ空間。
パナソニックのバスルームは、心とからだを整える「わたし」だけの楽園。
非日常をかなえる機能性と、感性に響く美しいデザイン。
バスルームという枠を超え、もっと自由な発想で自らの価値観、こだわり、美意識をひとつひとつかたちにできます。
Lクラスバスルームは大きな泡で全身を心地よく刺激し、素早く身体を温める「リゾートバブル」を標準搭載。
微細な泡で身体をやさしく包み温める「酸素美泡湯」もご用意しております。
先進の機能と上質な素材。この組み合わせであなただけの特別なバスルームが生まれます。

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