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住宅&住宅設備トレンドウォッチ

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ビルダー販促事例 コロナ以降も受注が取れているビルダーの販促事例

INDEX 2020.7.17

新型コロナウイルスの感染予防対策として、今年4月~5月にかけては緊急事態宣言が発出され、住宅展示場もその自粛要請の対象となりました。毎年の集客の大きな山場であるGWに大掛かりなイベントを実施できなくなったということもあり、総合展示場をメインの集客ソースとするハウスメーカー各社の集客は大きく減少し、4~6月、7~9月の受注は前年同期比10~30%減の見込みとしているところが大半です。
その一方で、独自の工夫を凝らしながら、顧客獲得に成功している事例も出ています。WEB、ITツール、キャンペーン等、様々な要素で、この厳しい環境をチャンスに変えている事例を紹介します。

1耐力壁の強度実験をオンライン配信…アキュラホーム

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総合展示場をメインの集客ソースとする広域展開型のビルダーの中で、コロナ対策で積極的な仕掛けをしているのがアキュラホームです。同社では全国17ヶ所の展示場を無人モデルハウスとして、お客様ご案内ロボット「ゴーカンナ君」が来場客を案内できるようにしています。また、130ヶ所のモデルハウスをライブカメラ「スマート君」でつなぎ、双方向でのバーチャル見学を可能としています。
今年4月に発売した新商品「大空間の家」のキャンペーンのため、5月には高性能耐力壁「トリプルストロングウォール」の実大モデルを使った公開実験を実施しました。「トリプルストロングウォール」は、1枚の壁で一般木造の耐力壁7枚分以上の強さを持つ耐力壁です。公開実験では一般的な耐力壁6 枚と「トリプルストロングウォール」1枚の強度を比較しました。進行役としてお笑い芸人を招き、ソーシャルディスタンスを守りながらわかりやすく性能を伝える実験の様子は、Zoomを使ってライブ配信し、延べ5706 組が視聴しました。6月には「トリプルストロングウォール」を100人の人力で引っ張り、荷重に耐えられるかという実験をZoomで生配信しました。展示場に人を集めるのが難しい状況の中で、オンライン動画を上手く活用していると言えます。

集客・受注の苦戦が続いているハウスメーカーに対し、地域密着型のビルダー・工務店では、3月・4月は計画通りに受注を取ることができ、5月も好調が続いているというケースも少なくないようです。元々、総合展示場の大量集客から追客していくというビジネスモデルではなく、SNS等のWEBによる情報発信でファン化し、予約制の見学会で確度の高い集客を行っていたビルダー・工務店は、緊急事態宣言の期間も集客・受注を大きく減らすことがなかった事例も散見され、中には受注が増えたというケースもありました。

2お金・予算の不安解消が、先行きの見えない状況にマッチ…カイテキホーム

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茨城県つくば市を中心に年間50棟内外を手掛ける地域密着型ビルダーのカイテキホームでは、今年4月以降の集客・受注はむしろ増加傾向にあるということです。
同社では10年程前から2名のマーケティング専門スタッフを置き、WEBを中心とした広告戦略に力を入れ、初回接客前からのファン化を図ってきました。県内4ヶ所の単独モデルハウス及び完成見学会はコロナ以前から予約制を基本として、自社への関心の高い客層に絞り込んだ集客をしていました。
コロナ以降の対策としては、モデルハウスは営業マンが帯同しない無人見学会を予約できるようにし、モデルハウスの見学や完成見学会は1時間ごとに時間を区切って、WEB予約時に空き時間を確認できるようにしています。そして、初回接客では建物の説明よりも、お金・予算の不安を払拭するため、ライフプランを実施して予算を確定することを提案して次アポを取るという戦略を取ってきました。最初にお金の問題を解決するという商談の進め方が、コロナという先行きの見えない状況にマッチしていると言えます。

コロナウイルスの感染状況や警戒の心理には地域差があります。感染者数が少ない地域では、影響をほとんど受けていないということもあるでしょう。全国展開のハウスメーカーは、全国一律のルールでコロナ対策をしたため、もう少し受注が取れそうなエリアでも取りこぼしがあったかもしれません。また、全国の支店・営業所でコンセンサスを取らなくてはいけないハウスメーカーと比べると、組織の小さいビルダー・工務店のほうが、即断即決で会社全体の方向性を定め、その施策を全社に行き渡らせるスピード感があり、今回のような不測の事態にも対応しやすいと言えるでしょう。即効性の高いキャンペーンを実施するなどの打つ手も早いということが考えられます。

34月後半から3種類のキャンペーンを実施…エルハウジング

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コロナ以降に受注を落としていないビルダーの一つが、京都No.1ビルダーのエルハウジングです。分譲がメインのため、注文住宅と比べると集客において密となる状況になりにくいということもありますが、3月上旬の早い時期からホームページ等で店舗の感染症対策を打ち出したことで3月の集客は減らさず、4月の集客・受注は若干減らしたものの、3~5月の累計受注は前年同期比105%と好調を維持しています。4月後半からは、緊急事態宣言解除後のユーザーの動きも見据えて、「おうち生活応援キャンペーン」を謳い、3つのキャンペーンを矢継ぎ早に打ち出しています。

一つ目が「宅配ボックスプレゼントキャンペーン」。コロナ感染予防で宅配の配達員との接触を避けたいという需要を見込み、キャンペーン期間中の成約者全員に宅配ボックスを無料でプレゼントしました。
二つ目が「住宅ローン1年間無料キャンペーン」。緊急事態宣言で社内の女性スタッフの夫の残業時間が減ったという話をヒントに、時短勤務や在宅勤務で5月以降の収入が減る世帯が増えると予測して、キャンペーン期間中の成約者に対し、入居後1ヶ月目から12ヶ月目の毎月20日に住宅ローン相当額を振り込むという内容です。このキャンペーンをきっかけに、ホームページ経由の問い合わせが急増したということです。
三つ目が「テレ55キャンペーン」。営業マンと非接触で打ち合わせを進めたいという需要を想定し、分譲地の資料請求や来場予約以降の打合せをオンラインで行って、55日以内に最終図面を確定して申し込めば、最大55万円を値引くというキャンペーンです。

単に「無料オプション」「○%値引き」といったキャンペーンを打つのではなく、コロナという状況下の需要に合わせ、「こんなときこそ、家づくりを考えている人を応援する」という切り口で仕掛けたところが、同社のキャンペーンのポイントと言えるでしょう。

(テキスト/株式会社住宅産業研究所 布施 哲朗さん)