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最前線!SDGsと国産木材活用法

2021.3.19

地球規模の気候変動や地球温暖化への対策として持続可能な開発目標「SDGs」。世界を変えるための17の目標に掲げられた問題解決を図る動きは、国や地方自治体、民間企業、そして個人の生活意識にも広がりを見せています。
建築界においても「SDGs」に貢献する試みがなされるなかで、今回注目するのが国産木材。なぜ国産材を使用することでSDGsに貢献し、環境を守ることにつながるのか。国産木材を活かしながら人と木材のネットワークづくりをサポートしている東京都森林課に話を聞きました。

都市の木質化でCO2を閉じ込める

今、日本で使われる木材の約6割が外国産であることをご存知でしょうか。日本には利用可能な豊富な森林資源があるにも関わらず、木材の自給率は4割程度に留まっています。こうした状況を打開し、林業の活性化と国産木材の自給率を高めるべく、政府や地方自治体はさまざまな施策に乗り出しています。

東京都森林課は国産木材を使う意義について、次のように話します。「木を伐る=環境破壊だというイメージを持つ人がいるかもしれませんが、実はその逆で、日本の人工林においては、適切に木を伐って、使って、苗木を植えて、育てるという循環こそが、林業や森林を守ることにつながります。
また、花粉の少ない品種への植え替えを進めることで、花粉の飛散量の削減にもつながります。都では平成30年に、東京における森林整備と木材利用の未来の姿を描いた「50年、100年先の『東京の森林の将来展望』~東京フォレストビジョン~」を策定し、東京の森林や都市における木材利用の姿を7つのメッセージに込めて発信しています。木材利用を進め、東京を『木の都市』に生まれ変わらせることなども盛り込んでいますので、建築に携わる多くの人の目に触れてほしいと思います」。

「持続可能な開発目標(SDGs)」の観点から見ると、森林・林業・木材産業は、目標15「陸の豊かさを守ろう」を中心に、様々な目標の達成に貢献します。森林そのものが、水を育む、気候変動を緩和する、山地災害を防止するなどの多面的機能を持っており、これらの多面的機能の発揮は様々なSDGsの達成に寄与するのです。都市の木質化、特に国産木材の利用は、全国各地の森林の整備・保全や、地域の活性化につながるとともに、二酸化炭素を吸収して炭素として木材に貯蔵するという、地球温暖化の防止にも役立つのです。

森林循環に貢献
森林循環に貢献
SDGsイメージ

最新の木材技術が国産木材の未来を切り拓く

日本の建築での木材利用は、木造住宅での需要が主となっていましたが、近年、国では、中高層建築や非住宅建築における木材需要を拡大するため、建築基準法の改正や、CLT(直交集成板)・木質耐火部材などの新たな製品・技術の開発と普及が進められています。

国産木材の未来については、次のように話します。「様々な建築物が集中する東京には、新たな木材需要の拡大が期待されていますが、木造の設計や木質材料に精通した技術者が限られている現状です。そのため、都では木造建築を担う建築士の育成などに今後取り組んでいきたいと考えています。」そのほかにも内装材に木材を使用することで、木材の調湿作用による室内環境の改善や、ストレス軽減などの心理面での効果など、医学的なエビデンスを含めた検証が、国や民間でも行われているといい、こうしたことも国産木材の利用への注目度の高さが伺えます。

東急池上線 旗の台駅
東急池上線 旗の台駅
South hill(渋谷区南平台)
South hill(渋谷区南平台)

国産木材の情報発信基地で情報収集

MOCTION
MOCTION

では、実際に「国産木材を使いたい」「国産木材について知りたい」場合、どうしたら良いのでしょうか。
「東京都には多摩地域で育って生産された、『東京の木 多摩産材』があり、東京都が運営する「多摩産材情報センター」にて、多摩産材を購入できる供給事業者の紹介のほか、ウェブサイトにて多摩産材についての情報発信を行っています。各地方自治体でも県産木材についての窓口があるので、お近くの地域のサイトを検索してみると木材の購入方法などを知ることができますよ」(東京都森林課)。
さらに2020年12月にリビングデザインセンターOZONE5階にオープンした「国産木材の魅力発信拠点 MOCTION(モクション)」に来れば、東京都を含めた地方自治体の国産木材についての情報収集が可能です。2週間ごとにさまざまな地域の木製品を紹介する企画展示が行われ、直接木の感触や温かみを感じることができます。常駐スタッフもいるので、最新の木材技術や各地方自治体の補助金制度など、さまざまなご相談に応じてくれます。こうした施設も有効利用しながら国産木材を積極的に活用することは、SDGs目標達成に貢献し、地球環境を守っていくことにつながっていくはずです。

取材・文=梶原博子
監修=リビングデザインセンターOZONE

製品のご案内監修=リビングデザインセンターOZONE

テレワーク用に開発した3Dデスク&チェアー

ウッドソリューション 株式会社SAKAMOTO
参考:HADOW2
メーカー名
ウッドソリューション 株式会社SAKAMOTO
URL
https://eco-sakamoto.co.jp/
製品名
HADOW Cockpit (デスク&チェアーセット)※写真は「HADOW2」
素材・仕上げ
多摩産材スギ合板 *オプション:着色塗装/保護塗料
サイズ
デスク:L1,150mm×W850mm×H950mm(キャスター5個付き)
チェアー:L1,000mm×W900mm×H920mm
価格(税抜)
746,000円

多摩産材を使用したHADOWブランドの家具シリーズです。「HADOW cockpit」や「HADOW2」をはじめとした、この家具は直線基調が多い木製品の中で、流れるような曲線を使ったデザインが特徴となっています。ボンドやビスを使わない日本伝統技術の「組木」の仕様を採用することで、購入後も解体&組立が可能です(実用新案取得商品)。「HADOW cockpit」のデザインは“包み込む“をコンセプトに、未来の乗り物をイメージした商品です。テレワークやe-Sportsなどに、集中できる空間を提供します。

世界遺産・熊野古道に育つFSC認証材

株式会社マルホン
メーカー名
株式会社マルホン
URL
https://www.mokuzai.com/Product/Detail/7881
製品名
尾鷲ヒノキ 無垢フローリング105~120mm巾 国産材
素材・仕上げ
Arbor針葉樹白木用オイルワックス仕上げ
サイズ
厚み15mm×巾105~120mm×長さ1,818~2,727mm
価格(税抜)
16,500円~29,000円/m²

世界遺産・熊野古道に育ち、吉野スギ、天竜スギと並んで「日本三大人工美林」のひとつとして名高い尾鷲ヒノキ。比較的温暖な気候である尾鷲で育つヒノキは、油脂分を多く含み、色が鮮やかで光沢があるのが特徴です。自律神経を安定させ、ストレスを軽減する働きを持つ“フィトンチッド(芳香成分)”も豊富に含まれています。強度の高い晩材の比率が高いため、傷にも強く、関東大震災の際、尾鷲ヒノキを使用した住宅の倒壊は少なかったと伝えられています。日本で初めてFSC®認証を取得した速水林業の尾鷲ヒノキを使用して製造された無垢フローリングです。

※1年間の成長期間で成長期のはじめに形成された材を早材、後半に形成された材を晩材といいます。