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いま気になる住宅・設備 新しい光の考え方、これからの照明計画

2022.1.21

近年注目される「サーカディアンリズム(概日リズム)」。生物の生命活動にとって重要な役割である生体リズムを司る重要な鍵が、自然界の光の変化だと言われています。今回は、光・照明に関する様々な情報を収集・発信している遠藤照明のウェブマガジン「光育(ヒカリイク)」の担当者に、サーカディアンリズムを取り入れた照明計画について聞きました。

生体リズムと光の関係

「サーカディアンリズム」という言葉をご存じですか。概日リズムとも言い、生物が体内で刻む約24時間周期の生体リズムを指します。サーカディアンリズムは体内時計によって調整され、私たちの生命活動にとって重要な役割を果たしています。睡眠や覚醒のサイクル、血圧、体温、ホルモン分泌がサーカディアンリズムによって変動していることが、近年の研究で分かってきました。遠藤照明「光育」担当者は次のように話します。
「サーカディアンリズムは厳密には24時間ぴったりではなく、現代人の多くは24時間よりもやや長いと言われています。このズレを修正しないと生活リズムが乱れ、体調に不調をきたす恐れがあります。規則正しいリズムを刻むために重要なのが『日中は明るく、夜は暗い』という自然界の光の変化です。人類史のスケールで考えると、人工照明を使うようになったのはごく最近で、その歴史は短い。人間の身体が人工照明に完全に適応しているとは考えづらく、今も昔も私たちは太陽の光に連動し、サーカディアンリズムを刻んでいると言えるでしょう。どのタイミングでどんな光を浴びるべきか、光が生体に与える影響について、近年、研究や議論が活発に行われています」。

ブルーライトとうまく付き合う

「朝明るくなり、夜は暗くなる」という自然界の一日の光の変化に同調することで、サーカディアンリズムを整える。その際にキーワードとなるのがブルーライトです。
「青い光を指す『ブルーライト』という言葉を聞いたことがあると思います。パソコンやスマートフォンなどもブルーライトを発しており、一般にブルーライトカットの製品が出回っていることで、青い光=悪いもの、という捉え方をされている方もいるかもしれませんが、決してそうではありません。
近年の研究で、私たちの光受容体には、明暗を識別する桿体細胞と色を識別する錐体細胞の2つ以外に、内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)という第三の光受容体が発見されました。この細胞はサーカディアンリズムの司令塔としての役割を担っており、青い光のエネルギーの影響を強く受けることがわかっています。つまり、光受容体の特性を理解し、効果的にサーカディアンリズムを整えるには、本来自然光が存在しない夜間は光の影響力が強いブルーライトを浴びることは避け、反対に、朝は屋内であっても積極的に青白い光を浴びることが重要です。サーカディアンリズムへの理解を深めつつ、シチュエーションに応じた光との付き合い方を考えてみるといいですね」
まずは一般的な照明の光色(色温度)と自然界に存在する光の色を関連付けて考えることが、サーカディアンリズムを整えるはじめの一歩になるでしょう。

調光調色照明を制御して一日の光の変化を表現

では具体的に、サーカディアンリズムを取り入れた照明計画とは、どのようなものでしょうか。
「調光調色のコントロールができる照明器具を導入すれば、プログラムによって朝は朝日が昇るように徐々に色温度を上げて目覚めを促し、日中は5000Kぐらいの白くて明るい光で活動的に、16時以降は色温度を下げていき自然な睡眠へと誘う、といった光の演出が可能です。当社では『Synca』という製品シリーズが対応しています。従来の照明器具の色温度範囲は2700K~6500Kでしたが、『Synca』はろうそくの炎と同じ1800Kから青空光の12000Kまで光色範囲を広げ、より自然界に近い光を再現することで、サーカディアンリズムを考慮した光の制御を実現します。スマートフォンのアプリや専用コントローラの操作によって照明器具を無線でコントロールできるため、電気工事の手間もかかりません」
「かつての住宅は一室一灯という考え方が主流でしたが、最近では一室多灯が当たり前になり、さらに明るさや光の色も制御できるようになりました。そこから一歩進んで、一台一台を個別に制御できる照明コントロールシステム等を用いることで、ひとつの部屋でもシチュエーションに応じた光の制御ができます。例えば夜のリビングを、勉強や仕事をする人とソファで寛ぎたい人が共有していた場合、前者の手元には覚醒や集中力を促す青白い光を当て、ソファの周囲は色温度が低い暖色系の光を当てる、といったことも可能です。サーカディアンリズムをベースとしながら、シチュエーションに応じて光を切り替えて、気分をスイッチさせることができるのです」。
近年の研究では、サーカディアンリズムを整えることで、肥満や認知症を防止できるとの研究結果もあり、さらに注目を集めています。サーカディアンリズムと光を考慮した照明計画を取り入れ、心と身体に配慮した住まいの設計に役立てていきたいですね。

「ジューテックホーム まちかどモデルハウス都筑の家」での光の運用例

体感コーナーのリビングにおいて、朝・昼・夕・夜間と、時間にあわせた心地よい光の提案を行っている。

リビング「晴天 12000K」:朝に青空のような爽やかな光を浴びて気持ちの良い一日をスタート。
リビング「晴天 12000K」:朝に青空のような爽やかな光を浴びて気持ちの良い一日をスタート。
リビング「カフェ 4000K」:開放的でありながら、柔らかなすごしやすい雰囲気に。
リビング「カフェ 4000K」:開放的でありながら、柔らかなすごしやすい雰囲気に。
リビングダイニングキッチン「クッキング 2700K」:リビングとキッチンで雰囲気を変えられる。キッチンは作業効率の上がる明るさ。
リビングダイニングキッチン「クッキング 2700K」:リビングとキッチンで雰囲気を変えられる。キッチンは作業効率の上がる明るさ。
リビングダイニングキッチン「おちつき 1800K」:一日の疲れを癒すくつろぎの光。
リビングダイニングキッチン「おちつき 1800K」:一日の疲れを癒すくつろぎの光。

※遠藤照明 次世代調光調色「Synca」・無線調光システム「Smart LEDZ」使用。

取材・文=梶原博子
監修=リビングデザインセンターOZONE

製品のご案内

室内に差し込む自然光を再現

株式会社遠藤照明
メーカー名
株式会社遠藤照明
URL
https://www.endo-lighting.co.jp/
製品名
Synca トップライト照明
品名・品番
SXK4020W(特注対応品)
素材・仕上げ
白艶消 乳白アクリル/透明プリズムアクリル
価格(税込)
オープン価格

ろうそくの光や日の出の赤みを帯びた1800Kから、清々しく晴れ渡る空のような青色光12000Kまで、幅広い光色範囲で自然の光を再現することができる次世代調光調色シリーズ『Synca(シンカ)』。
まるでトップライトのような建築化照明によって、窓のない場所でも、日の出、日の入り、青天の空といった一日の光のうつろいを室内に取り入れることができ、自然と同調した快適空間を演出します。加えて、色味(赤み、緑み)の調整機能、121色のカラーライティング機能を備えています。
明るさや光色の選択操作は、無線調光システム『Smart LEDZ SYSTEM(スマートレッズ システム)』 のスマートフォンアプリ(無料)や専用コントローラによって、直感的に行うことができます。

浴室にも設置可能!防湿タイプのLEDライト付き鏡

オリンピア照明株式会社/MotoM
メーカー名
オリンピア照明株式会社/MotoM
URL
https://www.motom-jp.com
製品名
防湿タイプ全面光LED一体型ミラーライト 電球色
品名・品番
MBK011-LWP
素材・仕上げ
ガラス、鋼板
サイズ
幅450×出幅54×600mm
価格(税込)
143,000円 (税込)

創業55年の照明メーカー・オリンピア照明の自社ブランドMotoM(モトム)では、鏡の中にLEDライトを埋め込んだスタイリッシュなオリジナルミラーライトを豊富なデザインと機能のバリエーションにてご用意しています。防湿タイプのミラーライトは、ホテルや戸建ての浴室・洗面室、ホテル・レストラン・エステ・ジムのパウダールームなどに設置できます。浴室に限らず、玄関や廊下の照明としても使用可能です。あたたかみのある電球色の光で、空間を明るくし、スタイリッシュな空間を演出できます。別型番にて600×900mmの大きいタイプや、LEDライトが白色のタイプもご用意。
カフェ併設の外苑前ショールームで、実物をご覧いただけます(*)。お気軽にお立ち寄りください。

*型番により在庫がない場合があります。事前にお問い合わせいただきますとスムーズです。

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